性転換
コメント返信は今夜します!
せっかくバーサーカーをちまちまと書いてたはずなんだけど、気づいたら半日かけてこれ書いてた。コメント返信を優先しないといけないのに何やってんの僕は……。もうこんな時間だし! 早く寝ないと仕事が……ぎゃああ!!!
仮タイトル(悪の組織に女幹部がいるでしょ?あれ俺です)
この世には偏見や差別や不平等が満ちている。
優しく真面目な人間が損をする一方で、卑劣で卑怯な人間が得をする。
恵まれた環境に育った人間がいる一方で、どんなに頑張っても不幸から抜け出せない人間がいる。
生まれつき優れた肉体を持った人間がいる一方で、生まれつきの貧弱さや障害を抱えている人間がいる。
誰しもに機会は均等に与えられず、己のせいではない理由で周囲から蔑まれ、チャンスを奪われ、社会から排除される。
例えば、この俺がそうだ。
俺は生まれて間もない時に親から捨てられ、小さな孤児院に保護された。今にも潰れそうな孤児院で、ひ弱な身体を引きずりながら育った。暗くなりがちの孤児たちの中心になってみんなの和を取り持つ元気な奴もいたが、そういう将来性のある子どもほど引き取りたいという大人が多い。施設の孤児たちが養父母の目に止まって次々と引き取られていく中、病弱でリスクの高い俺はずっと孤児院に残ったままだった。病気ばかりで手間がかかる俺に対して、周囲の大人たちからの視線は同情と忌避だけだった。
中学を卒業した後、俺は追い出されるように施設から退去となった。あの施設は万年赤字で、孤児を高校に入学させる金どころか、置いておける余裕すらなかった。ほとんど着の身着のままで施設を後にした俺には絶望しか見えなかった。
引きこもって勉強ばかりしてたから頭はそこそこ良かった。だけど勉強できる環境も材料も限られていたし、中卒という社会のレッテルが邪魔をしてどこの企業も雇ってはくれなかった。肉体的に恵まれていれば何かしらの仕事があったかもしれないが、体つきが女のように細く低い俺を見ればみんな首を横に振った。「若いんだから働けるでしょ」と言って、生活保護も断られた。病気で休んでばかりの俺なんて、ヤクザだって雇ってくれないのに。
その内住む場所も金もなくなり、気づけば俺は橋の下で雨に打たれながら孤独に咳き込んでいた。口の中に血の味がした。もう長いこと薬を飲んでいない。息苦しい。もはや立つことも這いずることも出来ない。目の前が真っ暗だ。こんなに生きたいと願ってるのに、世界は俺が生きることを認めてくれない。
この世界は、ちっとも優しくなんか無い。愛も正義も存在しない。援助の手など、実際には限られたほんの一部にしか差し伸べられない。この世に蔓延しているのは利己的な意思と自己中心的な欲望、身内にしか向けられない貧しい心だけ。腐ってる。間違ってる。こんなどうしようもない世界は―――ぶっ壊すべきだ!
『ならば、我がクロイシス大国に来るがいい』
一体どこから滲み出てきたのか―――いつの間にか、その声の主は俺の前に仁王立ちしていた。ドスの効いた低い声がコンクリートに反響して鼓膜を怪しく引っ掻く。
世界征服を企むクロイシス大国―――。噂でなら聞いたことがある。この数年、日本各地で恐ろしい怪人が出現しては街を破壊するという事件が頻発していた。その影には必ずクロイシス大国がいるという。警察ではまるで刃が立たず、自衛隊でも犠牲覚悟でようやく撃退できるほどの恐るべき能力を持った怪人たち。その怪人を製造し、日本各地で暗躍する正体不明の影の組織……。
曇っていく視界の中、異質な騎士鎧を身にまとった男がニヤリと誘う。
『我が大国は、貴様のような弱者こそを必要としている。さあ、私の手を取れ。今より貴様も、この世の破壊者となるのだ』
そうだ……。こんな、こんなクソッタレな世界は早くぶっ壊すべきだ。こんな世界だから、誰も俺を見ようとしなかったんだ。誰彼も自分勝手になってしまうんだ。既存の枠組みを全部ぶっ壊すんだ。国家という隔たりも、人々の意識すらも、全てを洗いざらい打ち壊して、もう一度一から作り替えるべきだ。そのためになら、俺は、悪の組織にだって入ってやる!!
吐血が迸るのも無視して、俺は最後の力を振り絞って男の手に掴みかかる!
「俺は―――この世界を壊したい! 作り直したい! もっと優しい世界にしたい! お願いします、俺に力をください! 強い身体をください! 俺を―――怪人にしてください!!」
『……ほお、なかなか気骨のある若造だ。気に入ったぞ。私の名は海軍隊長ボスグン。我が権限により、貴様を238番目の戦闘員と認める!』
こうして俺は、悪の組織の戦闘員となった。もう、4年も前のことだ。
「うーん……。あ、戦闘員238番君、ちょっと聞きたいんだが」
「なんですか、係長175番」
「あのさ、先々月の東京での戦闘で戦闘員に負傷者が出たよね。そいつらの装備なんだけど、これの処理ってどうしたんだっけ? 買い換えてる? 急ぎで確認したいから戦闘部に内線かけてるんだけどみんな昼飯に行ってるみたいなんだよ。ったく、」
「えーっと、ちょっと待って下さいね」
愚痴っぽい係長175番の突然の問いにも動じず、俺は背後のキャビネットから先々月の総勘定元帳をよろよろと引っ張りだす。お、重い。製本担当ももうちょっと考えて作って欲しい。
先々月の東京―――ああ、仮面バイカーとの戦闘のことか。なら、これだな。
「ああ、ありましたよ。買い換えてませんね。修繕費で予算計上してますから、全部修理してます。なんなら研究開発部に内線掛けて聞いてみましょうか?」
「いや、そこまでわかればいいよ。最近、仮面バイカーのせいで戦闘部も金かかってるみたいだし、これからしばらくは修理で行くのかな。前もって費用引当で準備しとくように戦闘部の部長に進言してみるよ。ありがとう、238番君。ホント、君が管理部に来てくれて助かってるよ」
「あはは、ど、どういたしまして」
係長175番にバシバシと肩を叩かれ、俺は苦笑を返した。
………どうしてこうなった!
俺は心の中で拳を振り下ろす。本当に振り下ろすと腕を痛めてしまうから心の中だけだ。色々な情けなさに襲われ、顔をすっぽりと覆う真っ黒な戦闘員用マスクの下でほろりと涙を流す。
怪人にしてもらいたくて悪の組織の勧誘に入ったのに、なぜか俺が通された先はクロイシス大国の管理部だった。
意外に思われるだろうが、悪の組織も「組織」というからにはそれなりの体裁が整っている。しかもこの大国はけっこう体系化と役割分担がされていて、クロイシス大国を指揮する幹部たちを筆頭に、戦闘部、作戦立案部、企画推進部、人事部、健康管理部、保安部、研究開発部、システム部、営業部、そして俺が現在所属している管理部などなど、多くの部署が歯車のようにそれぞれの仕事をこなしながら組織を動かしているのだ。
当初は、まずは仮雇用ということなのかもしれないと自分を納得させて、俺はこの事務仕事に専念した。勤務待遇はよかったし、病弱な戦闘員への対応も柔軟で、病休を取得することに関しても寛容、さらに組織内の医療サービスも充実していた。外出規制という制限があったが、戦闘員寮の施設環境には大きな図書館もあったりと充実していたし、昔から病弱で引き篭っていた俺には大して苦痛ではなかった。もともと資質があったのか、仕事内容にもそれなりにやり甲斐を感じていた。この仕事で存在感を示せばいつかは怪人にしてもらえると信じて、俺は懸命に仕事に励んだ……。
「で、気がついたら4年も経ってて、俺は管理部で係長と220番先輩の次に古参になっちゃってるわけですよ」
「はは、238番は俺たちよりもこの仕事に精通してると思うけどな。係長175番なんて、お前のことを他部署の連中に自慢してるぜ。“若いのに関心だ!”って」
それはそれで複雑だ。今まで社会から疎まれていたから必要としてもらえることは嬉しいが、本当にやりたいことはこの仕事ではないからだ。俺は怪人になって、既存の世界の破壊を行いたいのだ。
はあ、とマスクの下で溜息をつく俺の背中を、一期上の先輩、戦闘員220番が笑って叩く。220番先輩は戦闘員の中でも一際明るくて声も通るから、自然と周りの視線と笑顔を集める。この戦闘員用食堂ではいつもの光景だ。
「238番は怪人になりたくて組織に入ったんだったよな。ま、気長に待つことさ。俺と同期の戦闘員にも怪人志望の奴がいるが、怪人採用テストは厳しいらしいぜ? 体力テストがでっかい関門だな」
「でも、どんなにひ弱でも、改造してもらえば強くなれるんですよね?」
「まあな~。でも素質は大事だろ? あの全身メカの機甲隊長ガテズーン様だって、頭脳の優秀さだけでああなったわけじゃない。素質があったんだ」
「でも……それでも、俺は……」
ぎゅっと拳を握り締める。分かっていたはずだった。チャンスは平等に訪れるものじゃない。生まれる前から持つ者と持たざる者の間には大きな隔たりがあることは、身に沁みて知っていた。ここでも俺は、世界の理に付き纏われている。
「お、おい、泣くなよ! お前を泣かせると女を泣かせたみたいで後味が悪いんだよ!」
「……俺は女じゃないです」
「わかってるっつーの。でもほら、お前は女っぽいし、俺らはあんまり、なんというか、な、馴れてないっつーか……。だーっ、この話はもう無し! ほら、今日は俺が奢ってやるから、お代わりしていいぞ!」
「……そんなに食べれないです」
ガシガシとマスクの後ろ頭を掻いた先輩が困ったようにそっぽを向く。
こういう荒事専門の組織にはありがちのことなのかもしれないが、クロイシス大国には女っ気が皆無だ。女性の戦闘員といえば、地下の研究開発部を根城にしてるマッドサイエンティストの老婆しかいない。
戦闘員に採用するのはほとんど肉体的に素質のある体育会系ばかりで外出も制限されるとあっては、自然に戦闘員は男ばかりになる。男所帯が出来上がってしまえばそこに女を入れるのは抵抗が生じてしまい、今現在までクロイシス大国に女性戦闘員はいない。というわけで、ここにいる連中はみんな女慣れしていないのだ。男子校の生徒を想像すれば分かりやすいかもしれない。
「ほ、ほら、アレだ。238番は毎年、適性試験は受けてるんだろ? 何時かはそれが認められる日が来るさ。それまで頑張ろうや。な?」
先輩の慰めも、心には響かなかった。俺自身が諦めてしまっていたからだ。
おそらく―――いや、間違いなく、怪人になれるチャンスが回ってこない。俺はこうしてずっと、下っ端戦闘員として地下基地の中から出ることはないのだ。
その日は、寝付くまでずっと涙を流していた。
「―――ぉい! 起きろ、238番! いつまで寝てんだ!」
「ふぁ、ふぁいっ!? いま起きまひゅ!」
しまった、遅刻をしてしまった!
ドンドンと扉を叩く騒々しい音に叩き起こされ、呂律の回らない舌で返事をする。目元をグシグシと拭って枕元のマスクを探す。ずっと泣いていたせいで目元に違和感がある。きっとクマでも出来てる。マスクをしないと恥ずかしい。
ふと、マスクの隣の置き時計を目にして首を傾げる。時間は勤務開始時間より一時間も前だった。締め日でもないし、組織内の行事の予定もないのに、一体全体何事だろうか?
訝しげながらも寮の扉を開ければ、そこには寮長をしている戦闘員195番が肩で息をしながら俺を待ち構えていた。動揺に血走った目に見下され、俺は思わず後ずさる。
「ど、どうしたんです?」
「どうしたもこうしたもない! お、お前、いったい何しでかしたんだ!?」
「へ?」
目を丸くして195番を見上げる。ドッキリとかそういう類ではなさそうだ。でも、俺にはまったく心当たりがない。資金計画もキッチリと創りあげたし、仕事の失敗はないように何度もチェックしてるはずだ。
「とぼけるなよ! お前宛に召喚命令が来てるんだぞ!」
「す、すいません。でも本当にわからないんです。し、召喚って、どこの誰からなんですか?」
「決まってるだろ―――幹部の方たちがお前を呼んでるんだよ!!」
……うそん。
クロイシス大国は、この四人無くしては語ることは出来ない。
神がかり的なカリスマ性と指導力、そして幹部最強の戦闘力を有する金色の仮面の男、ジャーキ将軍。
クロイシス大国で唯一、クロイシス皇帝からナイトの称号を与えられた猛者にして、俺をこの組織に引き入れて下さった騎士、海軍隊長ボスグン。
全身をサイボーグ化し、己を戦うための兵器と化して戦場を駆け抜ける鋼鉄の一匹狼、機甲隊長ガテズーン。
体躯こそ小柄で華奢なように見えるが、その残虐性と俊敏性、そして貪欲さでは他の幹部たちにも引けをとらない異形の戦士、牙士長ゲドリン。
下っ端の戦闘員であればほとんどお目にかかることも出来ない幹部たちが、今、俺の目の前にいる。
ジャーキ将軍を筆頭に、5つの椅子に4人が深く腰掛けている。一番左端、ガテズーン様の隣はなぜか空席になっているが、この幹部会に出席するのが初めてである俺にはその意味が理解できない。
床には真っ白な霧がわたあめのように敷き詰められ、照明はおどろおどろしく揺らいでいる。いったいこの部屋の広さがどれほどのものなのか、見通せない。
何よりもこの空気はなんだ。まるで頭から押しつぶしてくるような圧迫感は、目の前の4人から発せられているに違いない。なんという迫力だ。さすがは、世界征服を主眼とする組織の幹部たちだ……!
気を抜けばその場にへたり込んでしまいそうなプレッシャーに堪えながら、俺は幹部たちの観察するような視線を全身で受け止める。太ももがガクガクと震えて歯の根が鳴る。
そんな俺を見兼ねたのか、4年間聞いていなかったあの声が響いた。
『……久しいな、戦闘員238番。壮健のようで何よりだ』
「……! お、覚えてくださっていたのですか、ボスグン様!?」
『ま、まあな。己が手を差し伸べた戦闘員の顔は、全て記憶している』
さすがはボスグン様だ!こんな俺のような戦闘員にも気をかけて下さっているとは!
感動に打ち震えていると、ジャーキ将軍がサッと手を上げる。その仕草だけで俺の総身はキリリと引き締まる。
ボスグン様の好意的な口ぶりからして、叱責のために呼び出されたのではないことは違いない。もしかして―――もしかすると―――俺を、怪人にしてくださるのか!? ようやく俺の夢が叶う! 怪人になって、憎っくき仮面バイカーも倒して、いずれは幹部たちと共にこの世界の再生者となってやる!!
拳を握り締める俺の目をじっと見詰め、ジャーキ将軍が命令を下す。
『率直に告げよう、戦闘員238番。晴れて貴様を怪人に改造し、それが終わり次第、幹部に昇格させる。これは決定だ』
しばしの思考停止。停止寸前のベーゴマのような思考回路がくるくると頭のなかで回っている。
「……あ、患部って、怪我とかそういう……?」
『そっちの患部じゃねえ。俺たちの仲間ってことだ。俺の隣の席にお前が座るんだよ』
『そういうことだ! 不快極まりないが、お前は怪人として功績を積む段階をすっ飛ばしてクロイシス大国の幹部になれるのだ! ありがたく思えよ! キシシシシ!』
ガテズーン様が隣の席を顎で促し、ゲドリン様が鼻を鳴らして左端の席を指さす。
だけど、その台詞を聞いてもまだ意味が分からなかった。というより、現実とは思えなかった。そんな都合のいい事があるはずがない。チャンスなど回ってこないのだと諦めた次の日にこんなラッキーが舞い込んでくるなんてあり得ない。もしかしてコレは夢の続きではないのか。そうだ、きっと泣き疲れた俺がつかの間の慰めを得るために俺に見せている、都合のいいタダの夢に過ぎないのだ。
はは、ははははは! そうと分かれば何のことはない! こんな素敵な夢は滅多に見られるものじゃない! 開き直ってしまおう!
「わーい! あははは! ありがたき幸せ! どうせ夢なのですぐに覚めてしまうでしょうから、さっさと俺を怪人にしてください! 夢が続いてるうちにドッカンバッカン街をぶっ壊させてくだしゃひっ! へへ、噛んじゃいました!」
『……おい、ボスグン。なんか変な勘違いし始めたぞ』
『将軍が説明なしに命令するからですよ』
『元はといえば、お前が女と間違えて勧誘したのが原因じゃろ』
『そ、それは、雨に濡れて分かりにくかったし、容姿も女の子そのままだったし、それにガテズーンが女性戦闘員連れてこいとか無茶ぶりするから……!』
『あれは賭け麻雀で負けたお前が悪いんだよ』
『う、うるさい! 戦闘員238番、研究開発部に行くがいい! そこで改造手術を受けるがいい!』
『言っとくが、改造内容はお前にも秘密だからな! 後のお楽しみってやつだ! キシシシシ!』
「はーい、わっかりましたー!」
幹部たちがこんなフランクな会話をするわけがない。ましてやマージャンに興じるなどあり得ない。俺も不敬な夢を見ているものだ。まったく、俺って奴はどうしようもないな! でもこんな良い夢を見せてくれるのだから感謝しよう!!
さーて、どんな怪人にしてもらえるのか楽しみだなあ!!
『ところで、将軍。女怪人にするってアイツにちゃんと言いましたっけ?』
『……あ、』
『またど忘れしちまったんですか』
『本人は夢だと思ってるみたいだし、いいんじゃねえの! キシシシシ!』
研究開発部は本部基地の最深部にある。地下何百メートルに達しているのか想像もつかない基地の最深部だけあって、ここは魔窟といってもいい。分厚い壁のすぐ向こうは強烈な圧力を発する地殻に囲まれている。
だが、この巨体の老婆はきっとその圧力を腹肉で跳ね返してしまうに違いない。
「お邪魔します、博士14番様! 幹部怪人に改造されてこいと言われてきました!」
「……こりゃまた、ハイテンションなガキンチョがやってきたもんだねえ」
外科技術、遺伝子操作技術などを駆使して多くの怪人を生み出し、さらに高性能な兵器製造にも造詣の深い万能の天才にしてマッド・サイエンティスト。それが、還暦を軽く通りすぎて久しいだろうこの怪しい老婆だ。ガテズーン様のサイボーグ化を行ったりと、幹部たちの出自や組織の成り立ちに深く関わっているらしい。クロイシス大国の戦闘員でただ一人、マスクの着用を義務付けられていない特別な人間でもある。
「だって夢ですし! 夢なら精一杯楽しまなきゃいけませんからね! あははは―――ゲッホエホ!」
「ああ、もう。身体が弱いくせに無理やり元気出すんじゃないよ。騒がしいったらありゃしない。でも、夢だと思ってたほうがこっちにとっても説明が省けるから助かるね。後の始末は幹部にやらせときゃいいし」
ふんと鼻息一つをついて、貫禄のある博士は巨大な試験官のようなものに俺を案内する。この機械は組織内の広報誌で見たことがある。素体を遺伝子レベルから変異させるための改造カプセルだ。中には薄緑の液体が満たされている。準備は万端のようだ。
「何の話です?」
「アンタは気にしないの。夢の話だよ。ほら、裸になってこのカプセルの中に入りな。培養液が冷たいけどすぐに意識が薄れて何も感じなくなる。おや、ボスグンから聞いてた通り、可愛い顔してるじゃない」
「俺のコンプレックスです! それも今日でお別れです! この女みたいな弱っちい身体とはオサラバして、カッコイイ怪人に鳴るんです! 首を洗って待ってろよ仮面バイカーブラックBX! ゲホゴホ!」
「あー、うん、そういうことにしとこう。身体が強化されるのは間違ってないからね。これから一週間は、このカプセルの中でゆっくり改造されていくことになる。まあ、その間、本当の夢を見てるといいよ」
「ごぼぼぼぼ(分かりまし、た)……」
本当の夢? 夢のなかでまた夢を見るなんておかしくないか? あれ、なんだか眠くなってきた。これは夢じゃないのか? だったら、本当、に……。
『―――もっと胸は大きく―――』
『―――背は今くらいがちょうどいい―――』
『―――声はコロコロしてて可愛い感じ―――』
『―――顔は弄らなくてもいいんじゃねえのキシシシシ―――』
『―――くびれをもっと引き締めて―――』
『―――ワシはお尻の形にはこだわるタチで―――』
『―――毛は適度に、できれば少なめで―――』
『―――このロリコンめ―――』
ボンヤリと鈍くなった聴覚に、幹部たちの声がうっすらと聞こえた気がした。きっと幻聴だ。
一瞬のようでもあり、永遠のようにも感じる奇妙な時間が過ぎていく。意識が溶けて、記憶の海を揺らめく。遥か昔、思い出したくもない孤児院にいた頃の思い出が蘇る。
同年代の孤児たちでもっとも早く引き取られていった、孤児らしくない大らかな性格の少年が俺に何かを語りかけている。
「☓☓☓ちゃん、オレ、きっとお前をむかえに来るよ。せいぎの味方になって、お前を助けに来るよ。ずっとまもってあげるよ。だから、それまでげんきでいろよな!」
「あの、南君、何度も言ってるんだけど、ボクおとこの子―――」
「じゃあな、☓☓☓ちゃん! ぜったいまた会おうな!!」
「うん、なんかもういいや。ばいばーい。げんきでね、光次郎くん」
……思い出した、南光次郎だ。ずっと俺を女だと勘違いしてた失礼な奴だ。俺はアイツが羨ましかった。自分の境遇を屁ともせずに他人を慮れる、バカだけど優しくて元気いっぱいなアイツの姿が、俺には太陽のように眩しかった。
そういえば、アイツは馬鹿正直に施設に迎えに来たりしたんだろうか? いや、あるわけがないな。とっくに忘れてるさ。今頃、どこでなにしてるんだろう。
あ、何だかほんとに光が見えてきた。眩しい。瞼が開けられない。久しぶりに肺呼吸するようだ。空気の味を知覚するなんて生まれて初めてだ。肌が濡れている感覚がする。胸の上に何かが乗っているようで、重い。
「ほら、起きな、戦闘員238番。改造は終了したよ」
「あふぁ……あ、おひゃようございまひゅ……ふえ、改造?」
「容姿に似合った話し方だね。声もガテズーンの希望そのままだ。その萌えな路線で行くとアイツラも大喜びかもしれないけど、同性から見ると媚び媚びしててイラつくもんさ。
ほら、しっかりおし! さっさと起きるんだよ!」
「いひゃいっ!?」
老人の技とは思えない強烈なチョップを脳天に食らう。クワンクワンと頭蓋骨の中で音が反響する。不思議とそれほどの激痛は感じなかったが、意識を強制的に覚醒させるほどの衝撃は伴っていた。
自分は金属の寝台に横たわっている。構造材が剥き出しになった研究室の天井を見上げている。記憶が瞬く間に蘇り、自分が研究カプセルの中にいたことを思い出す。これは夢ではない。これは―――現実だ!
「ハッ!? こ、ここは研究開発部!? お、俺はいったい!? まさか本当に怪人になれたんですか!? 幹部になれるんですか!?」
「あー、その通りだよ」
「夢だと思っていましたが、現実なんですね! やった! これで理想が叶った! ありがとうございます! 俺はどんな怪人になれたんですか!? 見た感じはどうですか? 強そうですか!?」
「あー、それは自分で確かめてみるのが一番早いんじゃないかね」
「それもそうですね! 本当にありがとうございます!」
博士に促されるままに部屋の隅に備え付けてある大鏡まで走る。身体が異様なまでに軽い。まるで全身が羽毛になったかのようだ。地面を蹴る力が強すぎて、軽い一歩でも2メートルはジャンプできる。今までの這いずるような動作が嘘のようだ。鎖のように俺を縛っていた肉体が、今では俺を羽ばたかせる翼になっている。
これはきっと、物凄くカッコイイ怪人になっているに違いない! ペガサス怪人とか、オオワシ怪人とか! でも少し目線が低いから、小柄だけど高速で動けるフォックス怪人とかかもしれない!
ぴょんぴょんと飛び跳ねれば、鏡にはすぐに辿り着いた。ドキドキと緊張と興奮で胸が高鳴る。さあ、ご対面だ。一体、俺はどんな力を手に入れたのか―――。
クリクリした瞳の女の子と、目があった。
「わひゃあッ!? は、は、博士! 女の子がいます! ガラスの向こうに、は、は、裸の女の子がいます!」
その場から飛び退って、慌てて掌で目を覆い隠す。言わずもがな、他の戦闘員たちと同様に俺も女の子に慣れていない。そういう経験どころか女の子の裸だって拝んだことがない童貞野郎なのだ。そんな俺には、初対面の美少女の裸なんてシゲキが強すぎる。
そう、美少女だった。ひと目視界に入れただけでハッキリとそれが分かるくらいの美少女だ。まだ幼さが残る顔立ちと大人びてメリハリのある身体の絶妙なアンバランスさが何とも言えない魅力を放っていた。一秒以上視界に入れていたら下半身が反応してしまうのは目に見えている。
「もう一度、鏡を見てみな」
「でも、これはガラスです! 鏡代わりに使うんじゃなくて、ちゃんとした鏡はないんですか!?」
「それは普通の鏡だよ。いいから、覗いてみな」
言われている意味がわからないが、呆れたような老婆の言葉に嘘は無さそうだった。では、あの少女は何だったのだろうか。
ゴクリと生唾を飲み込み、おそるおそる目を覆っていた指を開いて鏡を覗いてみる。
果たしてそこには―――指の間からそっとこちらを覗き見る、美少女がいた。生まれて初めて異性の姿を見るように頬を桜色に染める、初心な女の子―――俺がいた。
「……怪人に、してくれるって」
「女怪人だって聞かなかったのかい」
「……幹部に昇格だって」
「ちょっと前に、クロイシス皇帝が『男ばっかりの幹部とか暑苦しくて嫌だ』って言ったんだよ。だけどアイツら、今さら女の子の勧誘の仕方なんて分からないって頭を悩ませててね」
「……なんで、俺が」
「女慣れしてない組織にいきなり女の幹部を入れたって上手くいきそうにないのはすぐ分かるだろ。だから、手っ取り早く戦闘員の中で女っぽいのをホントに女にしてしまえばいいって決まったのさ。アンタ、毎年怪人適性試験を受けてたろ」
鏡の中で、美少女はヘナヘナとへたり込む。肩まで届く長い髪を揺らめかせ、ガックリと地面に手をついた。両腕に挟まれた胸の肉がぷるんと震えるが、興奮できない。だって、自分の胸だからだ。
「……どうしてこうなった!」
思いっきり、今度は本当に拳を振り下ろした。床にビシリと亀裂が走る。力を得たというのに、まったく嬉しくなかった。
続きません。
これから正義の味方に一目惚れされるとか、女幹部として部隊を率いるとか、たまに管理の仕事を手伝いに行くとか、周囲の戦闘員からの視線に戸惑うとか、寝泊まりする場所もトイレも研究開発部のだけを使うように博士から厳命されて戸惑ったり、毎朝体温を測って記録しておくように命令されて不思議がったり、幹部としての席を将軍の横にするか否かで見難いケンカが起こったり、街を破壊する途中で子どもがガレキに潰されそうになって仮面バイカーブラックRXと協力して助けたり、なんかそういうアイディアが一日の間に生まれたけど、続きません。
仮タイトル(悪の組織に女幹部がいるでしょ?あれ俺です)
この世には偏見や差別や不平等が満ちている。
優しく真面目な人間が損をする一方で、卑劣で卑怯な人間が得をする。
恵まれた環境に育った人間がいる一方で、どんなに頑張っても不幸から抜け出せない人間がいる。
生まれつき優れた肉体を持った人間がいる一方で、生まれつきの貧弱さや障害を抱えている人間がいる。
誰しもに機会は均等に与えられず、己のせいではない理由で周囲から蔑まれ、チャンスを奪われ、社会から排除される。
例えば、この俺がそうだ。
俺は生まれて間もない時に親から捨てられ、小さな孤児院に保護された。今にも潰れそうな孤児院で、ひ弱な身体を引きずりながら育った。暗くなりがちの孤児たちの中心になってみんなの和を取り持つ元気な奴もいたが、そういう将来性のある子どもほど引き取りたいという大人が多い。施設の孤児たちが養父母の目に止まって次々と引き取られていく中、病弱でリスクの高い俺はずっと孤児院に残ったままだった。病気ばかりで手間がかかる俺に対して、周囲の大人たちからの視線は同情と忌避だけだった。
中学を卒業した後、俺は追い出されるように施設から退去となった。あの施設は万年赤字で、孤児を高校に入学させる金どころか、置いておける余裕すらなかった。ほとんど着の身着のままで施設を後にした俺には絶望しか見えなかった。
引きこもって勉強ばかりしてたから頭はそこそこ良かった。だけど勉強できる環境も材料も限られていたし、中卒という社会のレッテルが邪魔をしてどこの企業も雇ってはくれなかった。肉体的に恵まれていれば何かしらの仕事があったかもしれないが、体つきが女のように細く低い俺を見ればみんな首を横に振った。「若いんだから働けるでしょ」と言って、生活保護も断られた。病気で休んでばかりの俺なんて、ヤクザだって雇ってくれないのに。
その内住む場所も金もなくなり、気づけば俺は橋の下で雨に打たれながら孤独に咳き込んでいた。口の中に血の味がした。もう長いこと薬を飲んでいない。息苦しい。もはや立つことも這いずることも出来ない。目の前が真っ暗だ。こんなに生きたいと願ってるのに、世界は俺が生きることを認めてくれない。
この世界は、ちっとも優しくなんか無い。愛も正義も存在しない。援助の手など、実際には限られたほんの一部にしか差し伸べられない。この世に蔓延しているのは利己的な意思と自己中心的な欲望、身内にしか向けられない貧しい心だけ。腐ってる。間違ってる。こんなどうしようもない世界は―――ぶっ壊すべきだ!
『ならば、我がクロイシス大国に来るがいい』
一体どこから滲み出てきたのか―――いつの間にか、その声の主は俺の前に仁王立ちしていた。ドスの効いた低い声がコンクリートに反響して鼓膜を怪しく引っ掻く。
世界征服を企むクロイシス大国―――。噂でなら聞いたことがある。この数年、日本各地で恐ろしい怪人が出現しては街を破壊するという事件が頻発していた。その影には必ずクロイシス大国がいるという。警察ではまるで刃が立たず、自衛隊でも犠牲覚悟でようやく撃退できるほどの恐るべき能力を持った怪人たち。その怪人を製造し、日本各地で暗躍する正体不明の影の組織……。
曇っていく視界の中、異質な騎士鎧を身にまとった男がニヤリと誘う。
『我が大国は、貴様のような弱者こそを必要としている。さあ、私の手を取れ。今より貴様も、この世の破壊者となるのだ』
そうだ……。こんな、こんなクソッタレな世界は早くぶっ壊すべきだ。こんな世界だから、誰も俺を見ようとしなかったんだ。誰彼も自分勝手になってしまうんだ。既存の枠組みを全部ぶっ壊すんだ。国家という隔たりも、人々の意識すらも、全てを洗いざらい打ち壊して、もう一度一から作り替えるべきだ。そのためになら、俺は、悪の組織にだって入ってやる!!
吐血が迸るのも無視して、俺は最後の力を振り絞って男の手に掴みかかる!
「俺は―――この世界を壊したい! 作り直したい! もっと優しい世界にしたい! お願いします、俺に力をください! 強い身体をください! 俺を―――怪人にしてください!!」
『……ほお、なかなか気骨のある若造だ。気に入ったぞ。私の名は海軍隊長ボスグン。我が権限により、貴様を238番目の戦闘員と認める!』
こうして俺は、悪の組織の戦闘員となった。もう、4年も前のことだ。
「うーん……。あ、戦闘員238番君、ちょっと聞きたいんだが」
「なんですか、係長175番」
「あのさ、先々月の東京での戦闘で戦闘員に負傷者が出たよね。そいつらの装備なんだけど、これの処理ってどうしたんだっけ? 買い換えてる? 急ぎで確認したいから戦闘部に内線かけてるんだけどみんな昼飯に行ってるみたいなんだよ。ったく、」
「えーっと、ちょっと待って下さいね」
愚痴っぽい係長175番の突然の問いにも動じず、俺は背後のキャビネットから先々月の総勘定元帳をよろよろと引っ張りだす。お、重い。製本担当ももうちょっと考えて作って欲しい。
先々月の東京―――ああ、仮面バイカーとの戦闘のことか。なら、これだな。
「ああ、ありましたよ。買い換えてませんね。修繕費で予算計上してますから、全部修理してます。なんなら研究開発部に内線掛けて聞いてみましょうか?」
「いや、そこまでわかればいいよ。最近、仮面バイカーのせいで戦闘部も金かかってるみたいだし、これからしばらくは修理で行くのかな。前もって費用引当で準備しとくように戦闘部の部長に進言してみるよ。ありがとう、238番君。ホント、君が管理部に来てくれて助かってるよ」
「あはは、ど、どういたしまして」
係長175番にバシバシと肩を叩かれ、俺は苦笑を返した。
………どうしてこうなった!
俺は心の中で拳を振り下ろす。本当に振り下ろすと腕を痛めてしまうから心の中だけだ。色々な情けなさに襲われ、顔をすっぽりと覆う真っ黒な戦闘員用マスクの下でほろりと涙を流す。
怪人にしてもらいたくて悪の組織の勧誘に入ったのに、なぜか俺が通された先はクロイシス大国の管理部だった。
意外に思われるだろうが、悪の組織も「組織」というからにはそれなりの体裁が整っている。しかもこの大国はけっこう体系化と役割分担がされていて、クロイシス大国を指揮する幹部たちを筆頭に、戦闘部、作戦立案部、企画推進部、人事部、健康管理部、保安部、研究開発部、システム部、営業部、そして俺が現在所属している管理部などなど、多くの部署が歯車のようにそれぞれの仕事をこなしながら組織を動かしているのだ。
当初は、まずは仮雇用ということなのかもしれないと自分を納得させて、俺はこの事務仕事に専念した。勤務待遇はよかったし、病弱な戦闘員への対応も柔軟で、病休を取得することに関しても寛容、さらに組織内の医療サービスも充実していた。外出規制という制限があったが、戦闘員寮の施設環境には大きな図書館もあったりと充実していたし、昔から病弱で引き篭っていた俺には大して苦痛ではなかった。もともと資質があったのか、仕事内容にもそれなりにやり甲斐を感じていた。この仕事で存在感を示せばいつかは怪人にしてもらえると信じて、俺は懸命に仕事に励んだ……。
「で、気がついたら4年も経ってて、俺は管理部で係長と220番先輩の次に古参になっちゃってるわけですよ」
「はは、238番は俺たちよりもこの仕事に精通してると思うけどな。係長175番なんて、お前のことを他部署の連中に自慢してるぜ。“若いのに関心だ!”って」
それはそれで複雑だ。今まで社会から疎まれていたから必要としてもらえることは嬉しいが、本当にやりたいことはこの仕事ではないからだ。俺は怪人になって、既存の世界の破壊を行いたいのだ。
はあ、とマスクの下で溜息をつく俺の背中を、一期上の先輩、戦闘員220番が笑って叩く。220番先輩は戦闘員の中でも一際明るくて声も通るから、自然と周りの視線と笑顔を集める。この戦闘員用食堂ではいつもの光景だ。
「238番は怪人になりたくて組織に入ったんだったよな。ま、気長に待つことさ。俺と同期の戦闘員にも怪人志望の奴がいるが、怪人採用テストは厳しいらしいぜ? 体力テストがでっかい関門だな」
「でも、どんなにひ弱でも、改造してもらえば強くなれるんですよね?」
「まあな~。でも素質は大事だろ? あの全身メカの機甲隊長ガテズーン様だって、頭脳の優秀さだけでああなったわけじゃない。素質があったんだ」
「でも……それでも、俺は……」
ぎゅっと拳を握り締める。分かっていたはずだった。チャンスは平等に訪れるものじゃない。生まれる前から持つ者と持たざる者の間には大きな隔たりがあることは、身に沁みて知っていた。ここでも俺は、世界の理に付き纏われている。
「お、おい、泣くなよ! お前を泣かせると女を泣かせたみたいで後味が悪いんだよ!」
「……俺は女じゃないです」
「わかってるっつーの。でもほら、お前は女っぽいし、俺らはあんまり、なんというか、な、馴れてないっつーか……。だーっ、この話はもう無し! ほら、今日は俺が奢ってやるから、お代わりしていいぞ!」
「……そんなに食べれないです」
ガシガシとマスクの後ろ頭を掻いた先輩が困ったようにそっぽを向く。
こういう荒事専門の組織にはありがちのことなのかもしれないが、クロイシス大国には女っ気が皆無だ。女性の戦闘員といえば、地下の研究開発部を根城にしてるマッドサイエンティストの老婆しかいない。
戦闘員に採用するのはほとんど肉体的に素質のある体育会系ばかりで外出も制限されるとあっては、自然に戦闘員は男ばかりになる。男所帯が出来上がってしまえばそこに女を入れるのは抵抗が生じてしまい、今現在までクロイシス大国に女性戦闘員はいない。というわけで、ここにいる連中はみんな女慣れしていないのだ。男子校の生徒を想像すれば分かりやすいかもしれない。
「ほ、ほら、アレだ。238番は毎年、適性試験は受けてるんだろ? 何時かはそれが認められる日が来るさ。それまで頑張ろうや。な?」
先輩の慰めも、心には響かなかった。俺自身が諦めてしまっていたからだ。
おそらく―――いや、間違いなく、怪人になれるチャンスが回ってこない。俺はこうしてずっと、下っ端戦闘員として地下基地の中から出ることはないのだ。
その日は、寝付くまでずっと涙を流していた。
「―――ぉい! 起きろ、238番! いつまで寝てんだ!」
「ふぁ、ふぁいっ!? いま起きまひゅ!」
しまった、遅刻をしてしまった!
ドンドンと扉を叩く騒々しい音に叩き起こされ、呂律の回らない舌で返事をする。目元をグシグシと拭って枕元のマスクを探す。ずっと泣いていたせいで目元に違和感がある。きっとクマでも出来てる。マスクをしないと恥ずかしい。
ふと、マスクの隣の置き時計を目にして首を傾げる。時間は勤務開始時間より一時間も前だった。締め日でもないし、組織内の行事の予定もないのに、一体全体何事だろうか?
訝しげながらも寮の扉を開ければ、そこには寮長をしている戦闘員195番が肩で息をしながら俺を待ち構えていた。動揺に血走った目に見下され、俺は思わず後ずさる。
「ど、どうしたんです?」
「どうしたもこうしたもない! お、お前、いったい何しでかしたんだ!?」
「へ?」
目を丸くして195番を見上げる。ドッキリとかそういう類ではなさそうだ。でも、俺にはまったく心当たりがない。資金計画もキッチリと創りあげたし、仕事の失敗はないように何度もチェックしてるはずだ。
「とぼけるなよ! お前宛に召喚命令が来てるんだぞ!」
「す、すいません。でも本当にわからないんです。し、召喚って、どこの誰からなんですか?」
「決まってるだろ―――幹部の方たちがお前を呼んでるんだよ!!」
……うそん。
クロイシス大国は、この四人無くしては語ることは出来ない。
神がかり的なカリスマ性と指導力、そして幹部最強の戦闘力を有する金色の仮面の男、ジャーキ将軍。
クロイシス大国で唯一、クロイシス皇帝からナイトの称号を与えられた猛者にして、俺をこの組織に引き入れて下さった騎士、海軍隊長ボスグン。
全身をサイボーグ化し、己を戦うための兵器と化して戦場を駆け抜ける鋼鉄の一匹狼、機甲隊長ガテズーン。
体躯こそ小柄で華奢なように見えるが、その残虐性と俊敏性、そして貪欲さでは他の幹部たちにも引けをとらない異形の戦士、牙士長ゲドリン。
下っ端の戦闘員であればほとんどお目にかかることも出来ない幹部たちが、今、俺の目の前にいる。
ジャーキ将軍を筆頭に、5つの椅子に4人が深く腰掛けている。一番左端、ガテズーン様の隣はなぜか空席になっているが、この幹部会に出席するのが初めてである俺にはその意味が理解できない。
床には真っ白な霧がわたあめのように敷き詰められ、照明はおどろおどろしく揺らいでいる。いったいこの部屋の広さがどれほどのものなのか、見通せない。
何よりもこの空気はなんだ。まるで頭から押しつぶしてくるような圧迫感は、目の前の4人から発せられているに違いない。なんという迫力だ。さすがは、世界征服を主眼とする組織の幹部たちだ……!
気を抜けばその場にへたり込んでしまいそうなプレッシャーに堪えながら、俺は幹部たちの観察するような視線を全身で受け止める。太ももがガクガクと震えて歯の根が鳴る。
そんな俺を見兼ねたのか、4年間聞いていなかったあの声が響いた。
『……久しいな、戦闘員238番。壮健のようで何よりだ』
「……! お、覚えてくださっていたのですか、ボスグン様!?」
『ま、まあな。己が手を差し伸べた戦闘員の顔は、全て記憶している』
さすがはボスグン様だ!こんな俺のような戦闘員にも気をかけて下さっているとは!
感動に打ち震えていると、ジャーキ将軍がサッと手を上げる。その仕草だけで俺の総身はキリリと引き締まる。
ボスグン様の好意的な口ぶりからして、叱責のために呼び出されたのではないことは違いない。もしかして―――もしかすると―――俺を、怪人にしてくださるのか!? ようやく俺の夢が叶う! 怪人になって、憎っくき仮面バイカーも倒して、いずれは幹部たちと共にこの世界の再生者となってやる!!
拳を握り締める俺の目をじっと見詰め、ジャーキ将軍が命令を下す。
『率直に告げよう、戦闘員238番。晴れて貴様を怪人に改造し、それが終わり次第、幹部に昇格させる。これは決定だ』
しばしの思考停止。停止寸前のベーゴマのような思考回路がくるくると頭のなかで回っている。
「……あ、患部って、怪我とかそういう……?」
『そっちの患部じゃねえ。俺たちの仲間ってことだ。俺の隣の席にお前が座るんだよ』
『そういうことだ! 不快極まりないが、お前は怪人として功績を積む段階をすっ飛ばしてクロイシス大国の幹部になれるのだ! ありがたく思えよ! キシシシシ!』
ガテズーン様が隣の席を顎で促し、ゲドリン様が鼻を鳴らして左端の席を指さす。
だけど、その台詞を聞いてもまだ意味が分からなかった。というより、現実とは思えなかった。そんな都合のいい事があるはずがない。チャンスなど回ってこないのだと諦めた次の日にこんなラッキーが舞い込んでくるなんてあり得ない。もしかしてコレは夢の続きではないのか。そうだ、きっと泣き疲れた俺がつかの間の慰めを得るために俺に見せている、都合のいいタダの夢に過ぎないのだ。
はは、ははははは! そうと分かれば何のことはない! こんな素敵な夢は滅多に見られるものじゃない! 開き直ってしまおう!
「わーい! あははは! ありがたき幸せ! どうせ夢なのですぐに覚めてしまうでしょうから、さっさと俺を怪人にしてください! 夢が続いてるうちにドッカンバッカン街をぶっ壊させてくだしゃひっ! へへ、噛んじゃいました!」
『……おい、ボスグン。なんか変な勘違いし始めたぞ』
『将軍が説明なしに命令するからですよ』
『元はといえば、お前が女と間違えて勧誘したのが原因じゃろ』
『そ、それは、雨に濡れて分かりにくかったし、容姿も女の子そのままだったし、それにガテズーンが女性戦闘員連れてこいとか無茶ぶりするから……!』
『あれは賭け麻雀で負けたお前が悪いんだよ』
『う、うるさい! 戦闘員238番、研究開発部に行くがいい! そこで改造手術を受けるがいい!』
『言っとくが、改造内容はお前にも秘密だからな! 後のお楽しみってやつだ! キシシシシ!』
「はーい、わっかりましたー!」
幹部たちがこんなフランクな会話をするわけがない。ましてやマージャンに興じるなどあり得ない。俺も不敬な夢を見ているものだ。まったく、俺って奴はどうしようもないな! でもこんな良い夢を見せてくれるのだから感謝しよう!!
さーて、どんな怪人にしてもらえるのか楽しみだなあ!!
『ところで、将軍。女怪人にするってアイツにちゃんと言いましたっけ?』
『……あ、』
『またど忘れしちまったんですか』
『本人は夢だと思ってるみたいだし、いいんじゃねえの! キシシシシ!』
研究開発部は本部基地の最深部にある。地下何百メートルに達しているのか想像もつかない基地の最深部だけあって、ここは魔窟といってもいい。分厚い壁のすぐ向こうは強烈な圧力を発する地殻に囲まれている。
だが、この巨体の老婆はきっとその圧力を腹肉で跳ね返してしまうに違いない。
「お邪魔します、博士14番様! 幹部怪人に改造されてこいと言われてきました!」
「……こりゃまた、ハイテンションなガキンチョがやってきたもんだねえ」
外科技術、遺伝子操作技術などを駆使して多くの怪人を生み出し、さらに高性能な兵器製造にも造詣の深い万能の天才にしてマッド・サイエンティスト。それが、還暦を軽く通りすぎて久しいだろうこの怪しい老婆だ。ガテズーン様のサイボーグ化を行ったりと、幹部たちの出自や組織の成り立ちに深く関わっているらしい。クロイシス大国の戦闘員でただ一人、マスクの着用を義務付けられていない特別な人間でもある。
「だって夢ですし! 夢なら精一杯楽しまなきゃいけませんからね! あははは―――ゲッホエホ!」
「ああ、もう。身体が弱いくせに無理やり元気出すんじゃないよ。騒がしいったらありゃしない。でも、夢だと思ってたほうがこっちにとっても説明が省けるから助かるね。後の始末は幹部にやらせときゃいいし」
ふんと鼻息一つをついて、貫禄のある博士は巨大な試験官のようなものに俺を案内する。この機械は組織内の広報誌で見たことがある。素体を遺伝子レベルから変異させるための改造カプセルだ。中には薄緑の液体が満たされている。準備は万端のようだ。
「何の話です?」
「アンタは気にしないの。夢の話だよ。ほら、裸になってこのカプセルの中に入りな。培養液が冷たいけどすぐに意識が薄れて何も感じなくなる。おや、ボスグンから聞いてた通り、可愛い顔してるじゃない」
「俺のコンプレックスです! それも今日でお別れです! この女みたいな弱っちい身体とはオサラバして、カッコイイ怪人に鳴るんです! 首を洗って待ってろよ仮面バイカーブラックBX! ゲホゴホ!」
「あー、うん、そういうことにしとこう。身体が強化されるのは間違ってないからね。これから一週間は、このカプセルの中でゆっくり改造されていくことになる。まあ、その間、本当の夢を見てるといいよ」
「ごぼぼぼぼ(分かりまし、た)……」
本当の夢? 夢のなかでまた夢を見るなんておかしくないか? あれ、なんだか眠くなってきた。これは夢じゃないのか? だったら、本当、に……。
『―――もっと胸は大きく―――』
『―――背は今くらいがちょうどいい―――』
『―――声はコロコロしてて可愛い感じ―――』
『―――顔は弄らなくてもいいんじゃねえのキシシシシ―――』
『―――くびれをもっと引き締めて―――』
『―――ワシはお尻の形にはこだわるタチで―――』
『―――毛は適度に、できれば少なめで―――』
『―――このロリコンめ―――』
ボンヤリと鈍くなった聴覚に、幹部たちの声がうっすらと聞こえた気がした。きっと幻聴だ。
一瞬のようでもあり、永遠のようにも感じる奇妙な時間が過ぎていく。意識が溶けて、記憶の海を揺らめく。遥か昔、思い出したくもない孤児院にいた頃の思い出が蘇る。
同年代の孤児たちでもっとも早く引き取られていった、孤児らしくない大らかな性格の少年が俺に何かを語りかけている。
「☓☓☓ちゃん、オレ、きっとお前をむかえに来るよ。せいぎの味方になって、お前を助けに来るよ。ずっとまもってあげるよ。だから、それまでげんきでいろよな!」
「あの、南君、何度も言ってるんだけど、ボクおとこの子―――」
「じゃあな、☓☓☓ちゃん! ぜったいまた会おうな!!」
「うん、なんかもういいや。ばいばーい。げんきでね、光次郎くん」
……思い出した、南光次郎だ。ずっと俺を女だと勘違いしてた失礼な奴だ。俺はアイツが羨ましかった。自分の境遇を屁ともせずに他人を慮れる、バカだけど優しくて元気いっぱいなアイツの姿が、俺には太陽のように眩しかった。
そういえば、アイツは馬鹿正直に施設に迎えに来たりしたんだろうか? いや、あるわけがないな。とっくに忘れてるさ。今頃、どこでなにしてるんだろう。
あ、何だかほんとに光が見えてきた。眩しい。瞼が開けられない。久しぶりに肺呼吸するようだ。空気の味を知覚するなんて生まれて初めてだ。肌が濡れている感覚がする。胸の上に何かが乗っているようで、重い。
「ほら、起きな、戦闘員238番。改造は終了したよ」
「あふぁ……あ、おひゃようございまひゅ……ふえ、改造?」
「容姿に似合った話し方だね。声もガテズーンの希望そのままだ。その萌えな路線で行くとアイツラも大喜びかもしれないけど、同性から見ると媚び媚びしててイラつくもんさ。
ほら、しっかりおし! さっさと起きるんだよ!」
「いひゃいっ!?」
老人の技とは思えない強烈なチョップを脳天に食らう。クワンクワンと頭蓋骨の中で音が反響する。不思議とそれほどの激痛は感じなかったが、意識を強制的に覚醒させるほどの衝撃は伴っていた。
自分は金属の寝台に横たわっている。構造材が剥き出しになった研究室の天井を見上げている。記憶が瞬く間に蘇り、自分が研究カプセルの中にいたことを思い出す。これは夢ではない。これは―――現実だ!
「ハッ!? こ、ここは研究開発部!? お、俺はいったい!? まさか本当に怪人になれたんですか!? 幹部になれるんですか!?」
「あー、その通りだよ」
「夢だと思っていましたが、現実なんですね! やった! これで理想が叶った! ありがとうございます! 俺はどんな怪人になれたんですか!? 見た感じはどうですか? 強そうですか!?」
「あー、それは自分で確かめてみるのが一番早いんじゃないかね」
「それもそうですね! 本当にありがとうございます!」
博士に促されるままに部屋の隅に備え付けてある大鏡まで走る。身体が異様なまでに軽い。まるで全身が羽毛になったかのようだ。地面を蹴る力が強すぎて、軽い一歩でも2メートルはジャンプできる。今までの這いずるような動作が嘘のようだ。鎖のように俺を縛っていた肉体が、今では俺を羽ばたかせる翼になっている。
これはきっと、物凄くカッコイイ怪人になっているに違いない! ペガサス怪人とか、オオワシ怪人とか! でも少し目線が低いから、小柄だけど高速で動けるフォックス怪人とかかもしれない!
ぴょんぴょんと飛び跳ねれば、鏡にはすぐに辿り着いた。ドキドキと緊張と興奮で胸が高鳴る。さあ、ご対面だ。一体、俺はどんな力を手に入れたのか―――。
クリクリした瞳の女の子と、目があった。
「わひゃあッ!? は、は、博士! 女の子がいます! ガラスの向こうに、は、は、裸の女の子がいます!」
その場から飛び退って、慌てて掌で目を覆い隠す。言わずもがな、他の戦闘員たちと同様に俺も女の子に慣れていない。そういう経験どころか女の子の裸だって拝んだことがない童貞野郎なのだ。そんな俺には、初対面の美少女の裸なんてシゲキが強すぎる。
そう、美少女だった。ひと目視界に入れただけでハッキリとそれが分かるくらいの美少女だ。まだ幼さが残る顔立ちと大人びてメリハリのある身体の絶妙なアンバランスさが何とも言えない魅力を放っていた。一秒以上視界に入れていたら下半身が反応してしまうのは目に見えている。
「もう一度、鏡を見てみな」
「でも、これはガラスです! 鏡代わりに使うんじゃなくて、ちゃんとした鏡はないんですか!?」
「それは普通の鏡だよ。いいから、覗いてみな」
言われている意味がわからないが、呆れたような老婆の言葉に嘘は無さそうだった。では、あの少女は何だったのだろうか。
ゴクリと生唾を飲み込み、おそるおそる目を覆っていた指を開いて鏡を覗いてみる。
果たしてそこには―――指の間からそっとこちらを覗き見る、美少女がいた。生まれて初めて異性の姿を見るように頬を桜色に染める、初心な女の子―――俺がいた。
「……怪人に、してくれるって」
「女怪人だって聞かなかったのかい」
「……幹部に昇格だって」
「ちょっと前に、クロイシス皇帝が『男ばっかりの幹部とか暑苦しくて嫌だ』って言ったんだよ。だけどアイツら、今さら女の子の勧誘の仕方なんて分からないって頭を悩ませててね」
「……なんで、俺が」
「女慣れしてない組織にいきなり女の幹部を入れたって上手くいきそうにないのはすぐ分かるだろ。だから、手っ取り早く戦闘員の中で女っぽいのをホントに女にしてしまえばいいって決まったのさ。アンタ、毎年怪人適性試験を受けてたろ」
鏡の中で、美少女はヘナヘナとへたり込む。肩まで届く長い髪を揺らめかせ、ガックリと地面に手をついた。両腕に挟まれた胸の肉がぷるんと震えるが、興奮できない。だって、自分の胸だからだ。
「……どうしてこうなった!」
思いっきり、今度は本当に拳を振り下ろした。床にビシリと亀裂が走る。力を得たというのに、まったく嬉しくなかった。
続きません。
これから正義の味方に一目惚れされるとか、女幹部として部隊を率いるとか、たまに管理の仕事を手伝いに行くとか、周囲の戦闘員からの視線に戸惑うとか、寝泊まりする場所もトイレも研究開発部のだけを使うように博士から厳命されて戸惑ったり、毎朝体温を測って記録しておくように命令されて不思議がったり、幹部としての席を将軍の横にするか否かで見難いケンカが起こったり、街を破壊する途中で子どもがガレキに潰されそうになって仮面バイカーブラックRXと協力して助けたり、なんかそういうアイディアが一日の間に生まれたけど、続きません。
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映画

~ Comment ~
これはこれで別にいいのでは?
僕が今言いたいことをツンデレ的にいうと
べ、別に、続けて欲しいなんて言わないんだからね
ですかね。
でも、今一番読みたいのは白銀ですね。もっといえば……s?
僕が今言いたいことをツンデレ的にいうと
べ、別に、続けて欲しいなんて言わないんだからね
ですかね。
でも、今一番読みたいのは白銀ですね。もっといえば……s?
NoTitle
ひゃっほう!主さんのお話だぁ~!
いいのよ~。いいのよ~。続けてくれて全然OKですとも。
まじめな話、バーサーカーの続きも読みたいのは確かなんですが、主さんが楽しく書いてくれるのが一番です。
主さんの小説全般の雰囲気がとても好きですし、主さんは一度波にのると、怒涛の連続更新するタイプですし、一番大事なのは今興味があることを楽しく書くことだと思います。まる。
いいのよ~。いいのよ~。続けてくれて全然OKですとも。
まじめな話、バーサーカーの続きも読みたいのは確かなんですが、主さんが楽しく書いてくれるのが一番です。
主さんの小説全般の雰囲気がとても好きですし、主さんは一度波にのると、怒涛の連続更新するタイプですし、一番大事なのは今興味があることを楽しく書くことだと思います。まる。
- #1253
- URL
- 2013.06/10 23:46
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NoTitle
>イザナギさん
つ、続きを書いてみたい気持ちもありますが、他の作品を先に書かなくては……。アイディアが次から次に溢れてくるものの、形にするのに時間がかかります。自分の遅筆っぷりが疎ましい。長期休みが欲しいです。一週間くらい小説のことばかり考えて生きてたい。
>ほとんど無理やりですが改造され、しかしながら女の子として目覚めていく過程を想像する
まさにその通り!よくご存知でいらっしゃる!さすがイザナギさんやでぇ!
この作品では、女の子になったことに戸惑いながらも段々と女幹部としてサマになっていく過程を描いていければと妄想して書き始めました。その段階までは到底辿り着けそうにもないですが(;´∀`)
せっかくバーサーカー、亀のような動きですが進んでおります。気長にお待ち下しあ><
>4423さん
白銀の討ち手を好きでいてくださり、いつもありがとうございます!白銀の討ち手も構想は終えてますので、書きたいイベントを取捨選択して並べて描き上げるだけです。とは言え、いい加減に更新しないといけない作品もありますので、現在はそちらを進めてます。もうしばし、お待ちくださいな!!
>僕はさん
おお……ヒャーリスの物語を読んでくださっている人がまた一人!ありがたいことです。ヒャーリスも試作版ばかりの更新なので、完成させないといかんですね。ひいい、じ、時間をくれええ!!
> さん
あなたのありがたいお言葉に、僕は大きく励まされました!全般の雰囲気が好きだと言ってもらえて、僕の興奮は止まりませんよ!!ひゃっほう!
「楽しく書く」、僕もそれを大事にしたいです。作者が楽しくてしょうがないという気持ちを込めて書けば、その作品を通じて読者の人にもワクワクが伝わると信じてます!
>一度波に乗ると連続更新する
な、波を……波を作らなくては……。波よ来い!どうしたら波が来るんだ―――!!( ;∀;)
つ、続きを書いてみたい気持ちもありますが、他の作品を先に書かなくては……。アイディアが次から次に溢れてくるものの、形にするのに時間がかかります。自分の遅筆っぷりが疎ましい。長期休みが欲しいです。一週間くらい小説のことばかり考えて生きてたい。
>ほとんど無理やりですが改造され、しかしながら女の子として目覚めていく過程を想像する
まさにその通り!よくご存知でいらっしゃる!さすがイザナギさんやでぇ!
この作品では、女の子になったことに戸惑いながらも段々と女幹部としてサマになっていく過程を描いていければと妄想して書き始めました。その段階までは到底辿り着けそうにもないですが(;´∀`)
せっかくバーサーカー、亀のような動きですが進んでおります。気長にお待ち下しあ><
>4423さん
白銀の討ち手を好きでいてくださり、いつもありがとうございます!白銀の討ち手も構想は終えてますので、書きたいイベントを取捨選択して並べて描き上げるだけです。とは言え、いい加減に更新しないといけない作品もありますので、現在はそちらを進めてます。もうしばし、お待ちくださいな!!
>僕はさん
おお……ヒャーリスの物語を読んでくださっている人がまた一人!ありがたいことです。ヒャーリスも試作版ばかりの更新なので、完成させないといかんですね。ひいい、じ、時間をくれええ!!
> さん
あなたのありがたいお言葉に、僕は大きく励まされました!全般の雰囲気が好きだと言ってもらえて、僕の興奮は止まりませんよ!!ひゃっほう!
「楽しく書く」、僕もそれを大事にしたいです。作者が楽しくてしょうがないという気持ちを込めて書けば、その作品を通じて読者の人にもワクワクが伝わると信じてます!
>一度波に乗ると連続更新する
な、波を……波を作らなくては……。波よ来い!どうしたら波が来るんだ―――!!( ;∀;)
おぉっ、新作ですね。
新ネタ執筆お疲れさまでした。
何かやらければいけないときほどみょうにネタが湧いてくるんですよね。
私もTRPGのシナリオネタは仕事中ほど思いつくモノでした。
悪の戦闘員ネタのSSはワリとあるのですが、TSネタでくるあたりはさすが主さんと言うところですね、何かしらのしばりやこだわりがある人ほどアイディアを思いつきやすい、作品に一貫性や整合性を持たせられると聞いたことがあります。
十年近く前ですが、仮面ライダー2号一文字隼人役の佐々木守さんご本人が仮面ライダー2号役で出演された「戦闘員物語」と言う舞台を見たことがありました。
下っぱ戦闘員の理想と悲哀、辺鄙な地方支部に降って湧いた仮面ライダーとの戦闘と支部壊滅、生き残った主人公「戦闘員」の仮面ライダーへの復讐戦とベースはコメディですが徐々にシリアスな展開になっていく作品でした。
この作品の主人公の未来はどうなるのでしょう……
他の皆さんもおっしゃってますが筆が乗るようなら続けてもいいと思います(負担にならない範囲で、書くことが『義務』みたいに思いだしたらキツいだけで楽しくないですよ)。
それでは失礼します。
何かやらければいけないときほどみょうにネタが湧いてくるんですよね。
私もTRPGのシナリオネタは仕事中ほど思いつくモノでした。
悪の戦闘員ネタのSSはワリとあるのですが、TSネタでくるあたりはさすが主さんと言うところですね、何かしらのしばりやこだわりがある人ほどアイディアを思いつきやすい、作品に一貫性や整合性を持たせられると聞いたことがあります。
十年近く前ですが、仮面ライダー2号一文字隼人役の佐々木守さんご本人が仮面ライダー2号役で出演された「戦闘員物語」と言う舞台を見たことがありました。
下っぱ戦闘員の理想と悲哀、辺鄙な地方支部に降って湧いた仮面ライダーとの戦闘と支部壊滅、生き残った主人公「戦闘員」の仮面ライダーへの復讐戦とベースはコメディですが徐々にシリアスな展開になっていく作品でした。
この作品の主人公の未来はどうなるのでしょう……
他の皆さんもおっしゃってますが筆が乗るようなら続けてもいいと思います(負担にならない範囲で、書くことが『義務』みたいに思いだしたらキツいだけで楽しくないですよ)。
それでは失礼します。
- #1259 隆之介
- URL
- 2013.06/12 08:28
- ▲EntryTop
NoTitle
何だかサンレッドを連想してしまう(笑)
ショッ○ー「別に弱くたっていい! 俺たちが守るッス!」
本人の実力はともかく、主人公の直属の部隊(ファンクラブともいう)は悪の組織の中でもトップレベルの士気と集団戦闘力を誇りそうです。
作者様の作品はどれも好み過ぎる(笑)
また更新待ちの作品が増えてしまった。
>続きません。
……え?
ショッ○ー「別に弱くたっていい! 俺たちが守るッス!」
本人の実力はともかく、主人公の直属の部隊(ファンクラブともいう)は悪の組織の中でもトップレベルの士気と集団戦闘力を誇りそうです。
作者様の作品はどれも好み過ぎる(笑)
また更新待ちの作品が増えてしまった。
>続きません。
……え?
- #1260 ふぉるてっしも
- URL
- 2013.06/13 15:54
- ▲EntryTop
NoTitle
最近めっきり返レスの速度が遅くなってる!
>隆之介さん
>何かやらければいけないときほどみょうにネタが湧いてくるんですよね
わかってくださいますか……。筆が思ったように乗らないなあと思っていると、なぜか新しい作品に手が出てしまいます。根気がないのでしょうか。仰る通り、義務のように感じてしまうと作品の楽しさが失われてしまう気がするので、なるべく自分も楽しめるような書き方をしようと思います。でもあんまり読んでくださっている人を待たせないように頑張ります。
戦闘員物語、この作品を書く前にそれを観ていれば、もっと作品に深みをもたせられていたかもしれませんね。下っ端戦闘員の視点で描かれる作品って、非現実と現実が混ざり合っていて面白いです。ゲオで探してみます!
>ふぉるてっしもさん
>本人の実力はともかく、主人公の直属の部隊(ファンクラブともいう)は悪の組織の中でもトップレベルの士気と集団戦闘力を誇りそうです。
そのネタ頂いたぜ―――ッ!!!この作品の加筆修正版に使用させて頂きました!!どもどもです!!
サンレッドの怪人たちみたいな、どうしても憎めない悪の組織ってシュールで面白いと思います。僕もそれを意識していました。続きを書く余力が生まれたら、続く、かも……。
>隆之介さん
>何かやらければいけないときほどみょうにネタが湧いてくるんですよね
わかってくださいますか……。筆が思ったように乗らないなあと思っていると、なぜか新しい作品に手が出てしまいます。根気がないのでしょうか。仰る通り、義務のように感じてしまうと作品の楽しさが失われてしまう気がするので、なるべく自分も楽しめるような書き方をしようと思います。でもあんまり読んでくださっている人を待たせないように頑張ります。
戦闘員物語、この作品を書く前にそれを観ていれば、もっと作品に深みをもたせられていたかもしれませんね。下っ端戦闘員の視点で描かれる作品って、非現実と現実が混ざり合っていて面白いです。ゲオで探してみます!
>ふぉるてっしもさん
>本人の実力はともかく、主人公の直属の部隊(ファンクラブともいう)は悪の組織の中でもトップレベルの士気と集団戦闘力を誇りそうです。
そのネタ頂いたぜ―――ッ!!!この作品の加筆修正版に使用させて頂きました!!どもどもです!!
サンレッドの怪人たちみたいな、どうしても憎めない悪の組織ってシュールで面白いと思います。僕もそれを意識していました。続きを書く余力が生まれたら、続く、かも……。
名無し
凄い方向に突っ走りましたねwww
TSに突っ走る動機がいかにも過ぎて笑いました。
次はバーサーカーでしょうか?
期待して待ってます。
TSに突っ走る動機がいかにも過ぎて笑いました。
次はバーサーカーでしょうか?
期待して待ってます。
NoTitle
>名無しさん
ニコニコ動画で仮面ライダーブラックRXを観てたら何やら妄想がモワモワと滲み出てきまして……。形にせずにはいられなくなりました。意外にも受けが良くて、我慢せず書いてよかったなと思ってます。ありがたやありがたや。
次はせっかくバーサーカーの更新に漕ぎ着ければと思ってます。ちまちまとしか進んでないですが、チリも積もればなんとやらです。頑張ります!
ニコニコ動画で仮面ライダーブラックRXを観てたら何やら妄想がモワモワと滲み出てきまして……。形にせずにはいられなくなりました。意外にも受けが良くて、我慢せず書いてよかったなと思ってます。ありがたやありがたや。
次はせっかくバーサーカーの更新に漕ぎ着ければと思ってます。ちまちまとしか進んでないですが、チリも積もればなんとやらです。頑張ります!
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NoTitle
悪の組織もなんだかんだ言って人間臭いなぁwww
お得意のTSですが、そこに至るまでの動機と過程が不純すぎるww
そして南君が仮面バイカーであるフラグがビンビンと立ってますなw
ほとんど無理やりですが改造され、しかしながら女の子として目覚めていく過程を想像するだけでも……ふぅ、滾ります
個人的には某世界の中心さんの無敵の戦闘員さんを思い出しましたが、これもアリですな
自分は某プリキュア風のファンタジーを妄想してますが、形にはならんでしょう。他にもヴァーチャルヴィジュアル系のゲームを舞台にしたものを考えてます。最初に書いたやつがどんどんおろそかに……(・Д・;)アワアワ
バーサーカーの続きも期待して待ってますw