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エルフになって~  もう少しで完成

 ←エルフになって~ 第十二幕 試作Ver.4.0 →「エルフになって勇者と一緒に~」更新! & 「パシフィック・リム」感想!
皆さんから色々な参考になるこめんとを頂いた結果、すごく形になってきたと思う。ありがたや、ありがたや。もうあと少しで完成。今日中には完成させたいなあ。








―――リン、


鈴の音がした。

「……? 誰か?」

ただの鈴の音であれば、気づかずにそのまま眠っていただろう。だけど、その音はこの皇国のあらゆる職人が作った鈴の音色よりも澄んでいて、眠っていた僕の意識をたちまち覚醒させるほどに美しかった。頭の芯まで染み入る音をまた聞きたくて、僕はそれを鳴らした者に声をかける。しかし、部屋を見渡せど姿はない。まだ馴れない|皇帝用の寝室《・・・・・・》は、硬質な雰囲気で僕を冷たく突き放してる。

―――リン、リン、リン

「えっ!?」

 それは鈴ではなかった。この世のものではない生命の羽音だった。
僕の頭ほどの大きさしか無い奇跡の生命が、鼻先を掠めてくるりと宙を舞う。黄金の鱗粉が煌めき、流れ星のような尾を空中に曳きながら僕の頭上でキラキラと楽しそうに舞い踊る。

「妖精だ……本物の妖精だ……!」

本で読んだことがある。とても珍しく、ここ数百年でも誰も目にしたことのない伝説の生き物にして、精霊よりも上位にあるヒトの導き手だと。エルフ教徒のヌモス大臣がこっそり差し入れてくれたエルフの言い伝えについての書物にもこう記されていた。“妖精は精霊神の友であり、使いである。エルフ様はその妖精を使役する。このことから、エルフ様は精霊神と同格であることがわかる”、と。妖精は、勇者とエルフの女の子のおとぎ話には欠かせない重要な登場人物の一人だ。つまり、これが夢でないのなら―――僕は伝説をこの目で見るという途方もなく貴重な経験をしていることになる。

―――リリン、

「あっ、待って!」

 ふふっと小さく笑いかけると、妖精は扉へ向かって羽ばたいた。慌てて毛布を蹴り飛ばして追いかける。寝間着のまま外に出たら大げさな従者たちが大騒ぎするだろうけど、構うもんか。妖精が僕を誘っているんだ。それはきっと、大事な何かを知らせようとしているに違いない。

それに、もしかしたら―――妖精が導く先に、伝説のエルフがいるかもしれないのだから。








一行に囲まれながら案内されたのは、豪華絢爛なハイパースイートルームだった!
部屋全体を黒の下地で統一していて、金銀の輝きが強調されてる。だだっ広くて開放的で、そこら中の装飾品がキラキラしてる。高い天井から幾つもぶら下がったでっかいシャンデリアとか、純金で縁取りされた漆塗りの家具とか調度品とか、どれか一つでも質屋に持っていけばしばらく遊んで暮らせそうだ。20人くらいが囲めそうな長机は堂々としてて、その上に盛りつけられたカラフルで新鮮そうな果物たちが芳醇な香りを漂わせてる。
西洋宮殿の一室を思わせる豪華さに、思わず「ほふぁ」と変な嘆息が漏れる。トゥちゃんもうため息しか出ないよ。大隊長ってこんなところに住めるの!? いいなぁ。

「さあ、エルフ様。どうぞ|執務室《・・・》へ」

あ、執務室だったんですか。そうですか……。
てっきりここがクアムの部屋だと思い込んでたことが恥ずかしくて無言のまま扉をくぐる。そうだよね、コイツの屋敷ってすぐ隣だったもんね。わざわざこっちで生活しないよね。
オレの後に続いてカークが足を踏み入れると、背後で執務室付きらしい衛兵が扉を閉じた。樫みたいな材質の扉が重苦しい音を立ててガチャンと施錠され、閉じ込められたことを悟ったカークが身を固くする気配がした。
オレたちの身柄を自分の根城に抑えて安心したのか、余裕の笑みを貼りつけたクアムが慇懃な所作で腰を折る。

「ようこそ、我がセシアーヌ皇国騎士団大隊長執務室へ。私の代で伝説のエルフ様をお迎え出来たことは無常の喜びにございます。このような狭苦しく見窄らしい部屋に貴女様をお通しするのは気が引けますが、ここは皇宮内に割り当てられた私の唯一の部屋なのです。これでも私の代になってから多少は手を加えたのですが、あまり華美に過ぎるのも騎士としての―――いやさ、|勇者《・・》としての矜持に反するので敢えて質素に抑えております。|御気色《みけしき》を害されたなら何卒ご容赦頂きたい」

“勇者”をことさら強調して再び余裕の笑み。一緒に入室した上級騎士たちがうんうんとこれ見よがしに頷く。隣のカークからチリリと熱い気配が漂った気がするけど、オレはそれよりも別のことに驚かされていた。
たらりと背筋に汗を伝わせながら改めて部屋の内部を見回してみる。栄華ここに極まれりといった綺羅びやかな内装なのに、これでも質素にしているらしい。絨毯やカーテンに目を向けると、金糸が幾重にも編み込まれてるのがわかった。靴履いたまま金を足蹴にして平気でいられるブルジョアはすげえ。オレならもったいなくて踏めないね。
下手なことを言うと田舎者だってバカにされそうだから、別に興味ありませんよふふん的なオーラを装いつつさらりと礼に応える。

「生憎と、いちいち内装を気にする感性は持ちあわせておりません。お心遣いだけ容れましょう、|大隊長殿《・・・・》」

お前を勇者と認めた覚えはない、と拒絶を含めて返した言葉に、クアムの双眸が驚愕にすっと窄まる。幹部騎士たちもオレの素っ気ない態度を見てざわりと動揺に波打つ。女は無条件で金持ちイケメンにクラクラキャーキャーすると思い込んでいたのかもしれんが、お生憎様、オレは立派な男の子なのだ。意外そうに片眉を上げるクアムをツンとした目でじっと見据える。見据えられたクアムは、だけど余裕の表情を崩さない。「それならそれで攻略のしがいがある」みたいな女の扱いに馴れた物腰に苛立ちが募る。女ったらしで金持ちでリア充とかなにそれ。エビフライぶつけんぞ。絶対にお前なんかを勇者と認めてやるもんか。

「……そうでしたな。まだ、貴女とは出会ったばかりで互いのことをよく知らない。名乗りあってもいないし、そもそも貴女はこの世界に来たばかりだ。もしかしたら私のことを誤解されているのかもしれない」

言いながら、傍にいた巨体の騎士に目配せする。クアムの屋敷の前でアタフタしてたモスコとかいう大男だ。モスコは一瞬ポカンと間抜け面で呆けて、見兼ねた他の騎士から何か耳打ちされて大慌てで円筒形の何かを戸棚から取り出した。ガシャガシャと鎧を音立ててそれを重厚な長机に広げる。大きな一枚の羊皮紙は、見てみると巨大な地図のようだった。
 金糸で縁取られた豪華な地図を背に、オレの目前まで歩み寄ったクアムが仰々しい動作で膝を折って頭を垂れる。

「おお、間近で拝見すればその美しさを改めて思い知らされますな。貴女こそまさしく伝説のエルフ様に他なりません。
申し遅れました。我が名はクアム・ベレ・ガーガルランド。古くはこの皇国全てを支配していた皇家の末裔にして、皇国最大の貴族であるガーガルランド侯爵家の現当主の座に就いております。そして、皇帝陛下よりこの皇国を守護する騎士団の大隊長という御役目を拝命しております。何卒宜しく―――っと、」

こちらの手を取って手の平に口付けをされそうになったから、唇が触れる寸前でそうはさせるかとさっと腕を引いた。男にそんなことされても嬉しくない。じゃじゃ馬めとでも言いたそうに面食らうクアムを見下ろし、首だけでちょこんと返礼する。

「ご丁寧|すぎる《・・・》名乗りに感謝致します、大隊長殿。御存知の通り、私は此度にこのセシアーヌに召喚されたエルフです。私の名前はこちらの世界では正しく発音できないので、どうぞ“トゥ”と呼んで頂きたく思います」
「……トゥ様、ですか。実にお美しい名前だ。その柔らかな髪から漂う清純な香りと相まって、まるで精霊神そのもののようだ」

口付けを回避されたことに大して堪えた様子も見せずに露骨な御機嫌取りをペラペラと吹きかけてくる。上辺だけのお世辞の裏側にベタつく下心を感じて、ゾワワッと背筋が逆立つ。男に名前を褒められても嬉しくないわい! てか、名前で呼んでいいなんて一言も言ってないぞ!
「それはどうも」と薄目で返せば、おべっかが肩透かしに終わったクアムがフッと嘲笑う。ヤロー、まだ余裕たっぷりだな。

「私について、そこの貴族崩れの|不調法《ぶちょうもの》から何を吹きこまれたのかは甚だ存じ上げないが、それならそれで構わない。だが、一方だけの言い分ではなく、私の意見もお聞きになって頂けるのでしょうな? セシアーヌ皇国の命運が掛かったこの| 大戦 《おおいくさ》に勝利を収める力を有しているのは誰か、勇者に相応しいのが誰か、それを今より仔細に説かせて頂きたい」

なるほど、早くも権力アピールと来たか。クアムにとっては印象を挽回するチャンスなんだろうが、オレにとってもこれは良い機会だ。図らずも、オレが知りたかった敵味方の戦力差とか騎士団が取る作戦とかを教えてもらえるわけだ。

「仰る通り、片方だけの言い分のみで判断をするのは不公平です。ぜひ貴方の口から、窮迫した現状を打破するための策をお聞かせ頂きたく思います。策があれば、の話ですが」
「言うまでもありませぬ。魔王軍など何するものぞ。反撃の構えはでに滞り無く終えております。 エクサニ、トゥ様にご報告の準備を急げ」
「はっ、只今!」

クアムの部下が収納庫らしきところから紙束や色付けされた積み木をせっせと運び出してくる。赤い積み木が地図の至る所に散りばめられ、一際大きな黒い積み木が真ん中にどかっと鎮座する。そこが首都ってことなんだろう。覗いてみると、たしかに『セシアーヌ皇国首都』と記されてある。あ、オレこの世界の文字もちゃんと読めるんだ。今まで見たことのあるどんな国の文字とも似てない。ミミズが這ったみたいなヘンテコな文字だなぁ。

「……トゥ」

カークの不安と苛立ちが混ざった耳打ち。とんがり耳は人間だった頃より敏感みたいで、先端に掛かる息がくすぐったい。

「心配いりません、カーク。私は一度決めたことは覆しません。|我が種族《エルフ》に二言はないのですから」

日本男児に二言はないと口にしたつもりだったが、そこは修正された。

「もちろん信じてる。君がクアムを選ぶとは露とも思ってない。その可能性よりも俺が我慢できなくなって殴りかかる方が高い。だけど、時間が経つにつれてこちらはどんどん不利になる。今頃は奴の息のかかった不届き者が城中にいるはずだ。脱出が難しくなる」
「それも心配いりません。今頃、妖精が何とかしています」
「妖精が……?」
「ええ。あの者にもしっかり働いてもらわなければ。貴方もどんどんこき使って構いませんよ」
「はは、その度胸はさすがにないよ」

言って、耳打ちを終える。同時に「準備完了しました」という部下の報告。
クアムの目配せに応じて、一人の壮年の騎士が一歩踏み出した。戦況報告書らしい紙束を手にしてることからして、こいつが参謀役だな。クアムよりも少し年上で、片目にモノクルを掛けてる。スンスンと鼻をひくつかせると、体臭というか纏っている空気がクアムと通じるものを覚えた。

「フュリアス子爵。今回の魔王討伐軍の軍師役で、大隊長の従兄弟だ。都合のいいことしか言わない男さ」
「なるほど」

カークの囁きに小さく頷く。やっぱりクアムの血縁者だった。オレの観察眼も捨てたもんじゃない。というか、この身体になってから鼻も効くようになったみたいだ。女は男よりも嗅覚が鋭いと聞いたことがあるけど、この感覚がそうなんだろうか。

「僭越ながら、このファレサ・ベレ・フュリアスが戦況のご報告を述べさせて頂きます。
賢くもエルフ様に於かれましては、卑しき魔王の毒牙に苛まれた我が皇国をお救いになるべくこうして御自ら御降臨されたことに我がフュリアス家末代までも謹んで御礼を申し上げたく―――」
「御託はいりません。早く本題に入ってください」
「は、はい。では、まずは我が騎士団の戦力について……」

ったく、いちいち周りくどいことを言わないと喋れないのか。うう、怒ったら余計に腹が減ってきた。机の上にある果物がすごく美味しそうに見えて目が離せない。真っ赤なリンゴなんか丸々と膨らんでて瑞々しく熟れてて、齧ったらジュワッと甘いんだろうなあ。こっそり食べられないかなコレ。顎に手を当てて考えこむフリをしつつ口端のヨダレを拭う。いや、ちゃんと考えることは考えてるんだけど、やっぱり本能には勝てないんだよ。ジュルリ。女の子は甘いモノに目がないって言うじゃん。男の子だった頃から甘党だったけど。

「我がセシアーヌ皇国騎士団の騎兵が約1万2千騎。各領地より徴収した民兵が8千名、魔術師団が3千名、および傭兵2千名を合わせれば、総兵力2万5千にまで達します。我が皇国有史において前代未聞の大軍団です。魔王討伐軍は堂々たる威容を持って魔王軍の前に立ちはだかりましょう。
さらに特筆すべきは、1000年前と比べて騎士団の武具の水準は大いに向上しているということです。剣帝と呼ばれた先代勇者が自らの剣に選んだイクシオンの刀鍛冶の名剣を今やほとんどの貴族家の騎士が所有していると述べれば、装備の質の躍進が目醒しいことがお分かり頂けるでしょう!!」

いや、そんなドヤ顔で捲し立てられても。多いってのは何となくわかるんだけど、関ケ原の戦いとか片方の軍勢だけでも9万人もいたし、地球人のオレにはイマイチ凄さが伝わってこない。セシアーヌじゃこれ以上ないほどの大軍なんだろうけど。でも勇者の名剣が広まってるってのはすごいな。伝説のロトの剣がモブ兵士の標準装備になってるってところか。……ところでカーク君、君の剣はどうなんだい?
チラリとカークの腰の剣に目を落とす。飾りなんかついてない無骨な鞘と柄は名剣と呼ぶにはずいぶんと使い込まれてて、ハッキリ言っちゃうとボロボロだ。オレのじとっとした視線から剣を隠しつつ、罰が悪そうに唇を尖らせて囁く。

「一応、|アールハント家《うち》にもイクシオンの剣はあったさ。どの家よりもとびきり古くて立派な“シィンの剣”ってのが。10年前にやむを得ない事情で故郷に置いてきてしまった。いつか取り返すつもりだ。でも、剣の腕は剣の質に大きく左右されるわけじゃないだろ?」
「ですが、その剣は質素過ぎるというか……」
「……見窄らしいってのは俺が一番気にしてる。これは“シィンの剣”を城下の刀鍛冶に再現してもらったんだ。見た目はあまり冴えないけど扱いやすい剣だよ。イクシオンの剣にだって負けないさ。……そりゃ、まあ、少しは劣るだろうけど」

負け惜しみ乙。弘法は筆を選ばずってコトワザもあるけど、モブ兵士のデフォ装備がロトの剣なのに肝心の勇者サマが古びた剣ってのは一緒に冒険するエルフとして恥ずかしい。もっと勇者らしい剣を帯びてもらいたい。
 せっかくのスピーチを華麗にスルーされて表情を引き攣らせたファレサがめげずに説明を続ける。

「ま、また、1000年前の魔王侵攻時と大きく違うのは、当時が革と青銅を用いていたのに対して、現在の我々の装備が全て鉄で作られていることです。これはコサトカの大鉱脈地帯の功徳です」

コン、と自分の鎧を軽く小突いてみせる。重そうだけど頑丈そうなフルプレートアーマーだ。厚さも均一に整えられてるし、製鉄や板金加工の技術は地球の中世から近世レベルに達してるらしい。

「言い伝えによれば、この地を発見したのは先代の勇者とされています。魔王復活を見越しての我々への贈り物に違いありませぬ。先代勇者の先見の明により武具は大いに発展し、それに負けじと騎士たちの技と勇気も長い時を経て雄々しく洗練され、魔術の水準も遥かに上がっています。
今の我々は、魔王の力に恐れ慄くしかなかったかつての弱い人類とはもはや比べ物になりませぬ。勇敢なる猛者たち全てを|総動員《・・・》し、一個の鉄槌と化して挑み、1000年前の恥辱を晴らす所存です。そこに御身の輝きが加わればまさに鬼に金棒! 伝説の勇者とエルフに率いられたもののふたちの戦意は最高潮に達するでしょう! 一振りの剣となった我が軍の前には魔族など子ヤギの群れ同然! 必ずや、我が神聖なる討伐軍は邪悪な魔王に天誅を下し、その醜き首を高々と掲げながら輝かしき勝利を収むると確信しております!!」
「総動員……?」
「は? 戦える者は皆討伐軍に参加しますが―――それがどうかされましたか?」
「……いえ、何でもありません。どうぞ続けて」
「では、お手元の|輿地図《よちず》を御覧下さい。あれらが現在わかっている魔王軍の数と展開です」

疑念は一先ず置いておき、促されるままに視線下げる。机の面積いっぱいに広げられた地図上で、ファレサが赤い積み木の群れをひょいひょいと指差す。

「傭兵どもの斥候が一週間前に見てきたものです。左右にはオークやドワーフ、リザードやワーウルフといった魔族の軍勢が散らばっており、中央には魔王の直衛らしきゴブリンの一団があるだけです」

積み木の総数はかなりの規模で、東西に広く長く展開してセシアーヌの中心部を目指してる。頂点に一番大きな積み木―――これが魔王―――があって、そこから山の裾野のように左右に軍勢が広がる形だ。|首都《ここ》からはまだずっと距離があるみたいだけど、カークの言い分ではそれも時間の問題みたいだ。ていうか、たった今軍師さんが自慢してたイクシオンとコサトカにも赤い積み木が山積みなんですが……?
「はわわ、このままじゃピンチです助けてくださいエルフさま~」みたいな慌てっぷりを予想したけど、ファレサはなぜかえっへんと胸を張って手近な赤い積み木を指先でペチンと弾いてみせた。劣勢を気にしてないみたいだ。訝しげに他の上級騎士の顔を見回すと、みんながみんな「な~にすぐに取り返せるさ」とばかりに肩をそびやかしてる。
史上初の大軍と進化した装備の話はさっき散々聞いたけど、それだけでこんなに自信満々な態度を取れるもんなのか?

「ご覧のとおり、まるで|なっていない《・・・・・・》でしょう?」
「……“なっていない”?」

ドヤ顔パート2いただきました。だけどさっっっぱり意味がわかりません!
もう一度地図を確かめる。布を重ねてポコッと盛り上がってる茶色の膨らみはきっと山だ。山の高さはどれも曖昧だし、他にも不自然な地形や色彩がチラホラ目に付く。あまり探索されてないところは想像で描いてるんじゃないのかコレ。衛星写真とか地球の精確なそれに慣れてるとどうしても時代遅れなものに見えてしまうけど、これがこの世界の最高の地図なんだろう。欲しがりません勝つまでは。

「これが、セシアーヌ」

一歩下がって俯瞰してみる。セシアーヌ皇国ってのは海に浮かんだデカい大陸そのものらしい。緑豊かで大小様々な湖もチラホラあって、険しい山脈が縞々模様のように大陸を横切ってる。それらの山々の間を縫うように主要な街道の線が引かれて、心臓に繋がる動脈みたいに中央の|首都《ここ》に繋がってる。世界史の授業で習ったことのある古代ローマ帝国を彷彿とさせて、長い歴史があるだけあってけっこう立派な国だ。大陸の大きさは―――尺度が信用出来ないからなんとも言えないけど、北アメリカ大陸くらいだろうか?

「カーク、この国の外側―――海の向こうには何があるのですか?」
「何もない。精霊神がまだお創りになっていないのだとされてる。少なくとも今まで外海から攻められたことはないし、奇特な冒険家が何かを見つけたこともない。君の世界では違うのか?」
「ええ。世界は丸く閉じていて、海の向こうには幾つもの大陸があって、100以上の国々がそこに点在しています。気候も言葉も文化も食べ物も住んでいる種族も違います」
「……やっぱり、エルフの世界って凄いんだな。俺には想像もつかない」

こっちの世界のほうがオレには想像もつかないって。そういえば、妖精が「この世界は陸地が少なくて国家はセシアーヌしかない」って言ってたっけ。他に大陸があっても国が出来る条件が整ってないのかもしれない。
セシアーヌの東西南は海に囲まれて、北はある線まで行くとそこから先は灰色で塗り潰されてる。“魔の領域”と朱書された地域は人類が踏み入ることの出来ない北極みたいなとこかもしれない。そこから下に南下すると、魔王軍の布陣に至るまでに赤い☓マークがあちらこちらに引かれてる。うっすら名前が透けてるから、もともとはそこを所有してた貴族家の名前が書かれていたんだろう。一番魔の領域に近い貴族家は……あー、る、は…ん…と? むむ、どっかで耳にした気がする。
はて?と首を傾げて記憶を探るオレを見て、ファレサが得意気にニヤける。

「聡明なエルフ様も軍略には浅いようですな。一見するだけで我らの優勢が容易に見て取れるでしょうに!」
「無礼なことを申すな、ファレサよ。我らのような生まれながらの武人ならいざ知らず、か弱き婦女子が軍略に疎いのは当然のことではないか」
「おお、誠に仰る通りです、大隊長閣下。エルフ様の世界といえど、女人が| 軍事 《いくさごと》に浅慮なのは変わらぬようだ。やはり、世界が違えども華々しき戦場は益荒男の領域なのでありましょう。いやはや、可憐なるエルフ様に対しての不躾な問いかけ、平にご容赦頂きたい!」

ファレサとクアムが目を見合わせてくつくつと喉を鳴らす。ナメられてる感が半端ない。すっげえムカつくんですけど!
妖精(神)からはアホの子扱いされたけど、こう見えても世界史の成績はそれなりに良かったのだ。悔しさに目をかっ開いて穴が空くほど地図を凝視する。けれども、人類側に余裕があるような要素はまったく見当たらないし、魔王軍に落ち度があるとも思えない。
積み木の数を数えるに、人類軍と魔王軍の比率は1:10くらい。25万の大軍団が包囲網を敷きながら南下してきてるってことになる。連なる山脈が天然の城壁になって魔王軍の南下を阻んでくれても、時間稼ぎでしかない。昔の兵隊さんの行軍速度はたしか一日で20キロ前後だったはずだ。つまり、あと何ヶ月かもしない内にこちらの10倍の規模の魔王軍が山脈を乗り越えてこの首都を飲み込むことになる。とてもじゃないけど、まともにぶつかったら勝ち目は無いはずだ。
むぎゃー、わからん! ぎぶあっぷ! コイツラの余裕の源はなんだ!?

「まったく、|兵を分けるなど《・・・・・・・》|愚の骨頂《・・・・》ですな。まったくもってなってない。魔王軍は有象無象の集まりよ」
「左様! 魔族など理性を失った獣人どもの成れの果て。しょせんは|正々堂々と《・・・・・》|名乗りも出来ぬ《・・・・・・・》野蛮な獣の寄せ集めに過ぎんということだ! |敵陣に挑んでこそ《・・・・・・・・》の兵を無闇に散らばらせ遊ばせるなど考えられん!」
「さすがはファルコ伯爵だ。討伐軍の一番槍を担った豪の者なだけはある」
「がはは、お褒めに預かり光栄です、大隊長閣下。しかしこれしきのこと、平民どもでもわかる理屈にございまする。密集させてこそ兵たちは誰よりも先に武勲を挙げんと競い合い、常以上の力を発揮するというもの。分けてしまっては士気も上がらぬし、命令も届かぬことは自明の理!」
「如何にも如何にも。貴君の勇猛さと慧眼は我が騎士団になくてはならぬものだ。他の者たちも、|他の家に負けぬ《・・・・・・・》奮戦を期待しているぞ」
「ははっ! 我がセシアーヌ騎士団|創設以来初の戦争《・・・・・・・・》、腕が鳴るというものです!」

……なんだろう、この妙な違和感は。戦意はめっちゃ高いんだけど、危うさがパない。追い詰められてるのに危機感がないなんてもんじゃない。10倍の敵を前にして、ここにいる連中はみんな楽観的すぎる。芝居に見えないのが逆に不気味だ。どいつもこいつも、その気になればすぐに戦況を覆せると思ってる。まるで知識のない子どもが妄想する“ボクのかんがえたカッコイイ戦争”みたいだ。

……あれ? 他に国がなくて、外敵といえば魔族くらいで、たくさんあった城壁が必要なくなるくらいずっと平和が続いて、唯一軍隊組織らしい騎士団は今まで首都を護ることしかしてこなかったって、もしかして―――。

「……ファレサ軍師殿。つかぬことをお伺いしますが、騎士団は自ら進軍して戦争を行った経験はあるのですか? というか、戦争自体の経験は?」
「ありませぬ」

きっぱりのたまって下さいましたよこの人!?

「我が騎士団は、神聖なるセシアーヌ首都を守護する虎の子の戦力にございます。例えるなら、国の命運を掛けた時にのみ眠りから覚める雄々しき獅子のようなもの。普段はその威光を持って世に平穏を齎しめることが役割であり、名誉ある戦でしかその力を示すことはありませぬ。まさに“セシアーヌの切り札”といったところでしょう。よもや魔王も、セシアーヌにこれほどの強力な軍が待ち受けているとは露とも思っておりますまい」

ちょ、ちょっと? まさか、冗談だよな……?
最悪の予想が首をもたげてきて、ブワッと冷や汗が浮き上がる。

「で、では、ええと、騎士団は演習などを定期的に行なっていますか? 仮想的な机上演習とかは?」
「机上での演習など、何度やっても騎士団の勝利に終わるので誰もやらなくなりました。実際の演習に関しては、過去に数度ほど歴代の大隊長の気まぐれで行われたそうです。とは言えそれぞれの家の事情もあり、ほとんどの騎士が集まらなかったと聞き及んでおります。
……どうされました、お顔色が優れぬようですが……?」

―――くらっ。

「と、トゥ、大丈夫か?」
「え、ええ、ちょっと目眩を感じたもので。もう大丈夫です。ありがとう」

咄嗟に肩を抱いて支えてくれたカークに礼を言って気を取り直す。たしかにこの連中がマジメに演習してそうには見えない。首を仰向けて背後のカークの顔を覗きこんでみる。

「……?」

オレが何を気にしてるのかわからず、丸くした目でオレを見返してくる。騎士団の危うさには危機感を持ってはいるものの、蔓延している異常については思考が至らないらしい。常識人で頭のよさそうなカークですら何が深刻なのか察しがつかないってことは、この病気はカークを含めた騎士全体の問題ってことだ。いよいよオレのイヤな予感が現実味を帯びてきて、内心でダラダラと汗をかく。
あ、さっき聞こうと思ってたことがあったんだ。それも確かめておかないと。これもイヤな予感ビンビンだけども!

「一応、聞いておきましょう。先ほど、貴方は兵士を|総動員《・・・》させて魔王軍に挑むと言っていました。それでは、首都の防衛や、軍の補給の確保は誰が引き受けるのですか?」

もしも討伐軍が突破された時に首都を防衛できるだけの戦力を置いておくのは当たり前だとして、首都でしか活動してこなかった奴らが初めて遠征するっていうんだから、兵站の管理がかなり重要になってくると思う。素人でもそれくらいわかる。何万人もの人間が動くんだから、食料・装備・人員・衣料医薬品から野営地用のテントや薪まで、大量の補給品が必要になってくるはずだ。旧日本軍とかその確保に失敗して負けた部分も大きいし、補給が途絶えた軍隊ってのはいつの時代どこの国でも悲惨な目に遭うと相場は決まってる。
だというのに、コイツラはみんな揃いも揃って前線に出たがってる。一番槍だの二番槍だの早く首級をあげたいだの他の家に負けないだの、敵に突っ込むことしか考えてない。ここにいるのが騎士団の幹部全員なら、防衛担当や補給担当が2,3人いたっていいはずだ。
オレの質問に、ファレサは鳩が豆鉄砲を食ったように当惑して首をひねった。おい、まさか。

「防衛と補給、ですか? 我々が敵を破れば防衛など必要ありませんし、それぞれ食料や衣類が足りなくなれば|各貴族家が勝手に《・・・・・・・・》民兵に命じて自領から持ってこさせますが……それがどうかされましたか?」

え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?

「ほ、補給物は一括して管理していないと? 騎士団に補給専用の組織はないのですか? 物品を運ぶ者たちの護衛は誰がするのです?」
「敵を前にしておきながら、騎士に平民を護れと仰るのですか? ご冗談を! 我らはパンやワインを守るための兵ではありませぬ。そのような不名誉な役割、名誉を重んじる騎士なら決して受けはしないでしょう。防衛についても同じです。騎士にとっては敵と戦うことこそ最大の誉れ! 補給品を運ぶ民兵が襲われて力尽きたなら、それはその者たちを管理する貴族家の責任にございます。もちろん、手柄を競い合う他の家と物資を共有するような情けのない真似など、我ら騎士は誇りにかけてしませぬ」


―――くらくらっ。


「え、エルフ様!?」
「と、トゥ!?」

激しい目眩で意識がサーッと遠のく。またもやカークに支えられたけど、今度ばかりは大丈夫じゃない。ようやくわかった。コイツラが余裕だと|錯覚《・・》してる理由をようやく理解できた。その正体に察しがついて、怒りと呆れのダブルパンチが絶え間なく襲ってくる。ちょっと考えればわかることだった。日本だって、戦後からたった50年で平和ボケしたとか何とか言われてた。自衛隊は実戦経験がないから本当の戦争になったら経験不足が仇になるとかテレビ番組で取り沙汰されてた。

もしも、そのまま|1000年間平和が《・・・・・・・・・》|続いたら日本はどうなるだろう《・・・・・・・・・・・》? 大地震だか何かで日本以外には国がなくなって、地球には日本という国だけになって、かつての戦争の記録も水没して、自衛隊が形骸化してしまったら? きっと、その頃には誰も彼も戦い方を忘れてしまって、取り返しがつかないことになってる。使わなくなった用兵も戦術も燃えるゴミの日に捨ててしまって、自分たちが世界で一番強いという自惚れに浸って、井戸の中でゲコゲコと高笑いすることになってる。

つまり何が言いたいかというと―――この国の兵士たちは、|戦争の仕方を知らない《・・・・・・・・・・》ってことだ!!

額に手を当ててうんうんと顔を顰めるオレに、カークを含めた騎士全員の戸惑いの視線が集中する。自分たちの何が間違っているのかがわからないからだ。

戦いといえば、異種族や魔族とのほんの小競り合いだけ。
自分の領地だけ護ってればよかったから、遠征の経験はない。
遠征をしたことがないから、補給が重要だってことを知らない。
名ばかりの集団組織で演習もろくにしないから、仲間意識も低い。
幹部も軍師も大隊長のイエスマンばかりだから、誰も異論を挟まない。
他国との戦争なんてしたことがないから、陣形や作戦の大事さを知らない。
何も知らないから、何も怖くない。今まで何とかなってきたから、今度も何とかなると思ってる。

ダメだ。1ミリだって|騎士団《コイツら》は役に立たない。戦える人間を全部連れて行って全滅するのがオチだ。一緒に動いたら間違いなく巻き込まれる。

「どうやら、軍師殿の非の打ち所のない論説にエルフ様は驚愕されたらしい。無理もない、もはやエルフ様のお力なくしても、我らの勝利は決まっているのだから。御身の御降臨が無駄足となれば、その衝撃は察するに余りあろう」
「おお、そういうことでありましたか」

なにを勘違いしたらそうなるんだ、外見ばっかりのリア充め! 逆だっつの!

「魔王は力ばかりで頭が空っぽのトカゲのバケモノに過ぎぬ。|火蜥蜴種族《リザード》の連中がそうであるように、魔王は戦いの基本も知らぬ虚け者だ。なにせ、|斥候が間近まで《・・・・・・・》|接近しても気付かぬ《・・・・・・・・・》ほどの阿呆の軍隊の王だからな!」
「うむ、その通りですなファルコ伯爵! 1000年前とは違うということを思い知らせてやりましょうぞ!」
「応とも! 騎馬試合で栄光を重ねたこのファルコ家を相手にする不幸をしかと味あわせてやるわ!」

斥候が接近しても放置されただぁ? それって―――。

「あなた方は、この期に及んでまだそのようなことを……!」

沸々と燃え上がってくる苛立ちに頬を引き攣らせていると、何かに我慢ならなくなったらしいカークが声を荒げた。ムッとした視線を浴びても怯まずに一歩身を乗り出す。

「魔王が1000年前と同じような姿形だと決め付けるのは尚早です! 私は何度も、魔王はヒトの―――|女の姿《・・・》をしていたと具申したではありませんか! それに、魔王軍は今までの魔族とは明らかに違います! これほどまでに統率された動きが出来る奴らではなかった! 武装をしていたという話も―――」
「ええい、黙らんかっ! エルフ様の御前で見苦しいとは思わんのか、貴族崩れのひよっ子め!」

さっきまでガハハと笑っていたオッサン騎士がカークの話を遮って怒鳴った。チラッとこっちに向けられた目が女の子にいいカッコ見せようとするガキンチョみたいで、見ていて痛々しい。

「魔王が女だと? 糞尿を垂れ流し涎を撒き散らすあの魔族が、騎士のように剣を帯びて鎧を纏っているだと? 馬鹿馬鹿しい、領地を失った動揺で幻でも見たに決まっている! 斥候の知らせでは、魔族は皆裸体を晒し、手には何も持っていなかったと聞いておる! それに見よ、この哀れな布陣を! |魔王本隊の防御を手薄《・・・・・・・・・・》にしてしまうような能なしの軍勢になにが出来るというのだ?」
「しかし、私はたしかにこの目で―――」
「喧しいわ! そもそも10年前、アールハント子爵家が最初に魔王軍を撥ね退けていれば、穢らわしい魔族どもが調子づくこともなかったのだぞ! 恥を知れ、貴族の面汚しめ!」
「くっ……!」

さっき塗り潰されてた名前は“アールハント”だった。魔王軍は北からやってきて、最初にカークの領地を襲った。カークが魔王や魔族に詳しいのも頷ける。アールハント領は魔王軍に屈して滅ぼされ、カークは貴族の地位を剥奪されることになったんだ。
でも、だからって、カークがここまで責められていい理由にはならない。こんな大軍を一つの貴族の力で抑えろだなんて無茶もいいところだし、当時のカークはまだ10歳くらいだ。同じ状況に遭遇したら、こいつらだって敗北するに決まってる。
自分が言われてるわけじゃないのに、あまりに理不尽な物言いに機嫌がグングンと悪くなる。オレはいつの間にか拳を握りしめて、目を剥いてカークを挑発する騎士を射抜いていた。
グッと息を詰まらせて悔しげに黙るカークに顔を近づけ、さっきのガキンチョみたいなオッサン騎士がニヤニヤと意地の悪い笑みを刻む。

「それとも何か? 一夜にしてまんまと領地領民を滅ぼされた責任を誤魔化そうとでも? 跡取り息子がそのザマでは、パイク子爵の死に様もたかが知れておるな」

ギュッとカークの全身が軋む。

「伯爵、どうか今のお言葉だけは撤回して頂きたい! 我が両親は―――パイク・ユイツ・アールハントとウィノナ・ユイツ・アールハントは、押し寄せる魔王軍相手に最後の最後まで踏み止まり、私を逃してくれた。魔王相手に単身で挑み、誇らしい戦死を遂げたのです!」
「|女の魔王《・・・・》相手にか? ふん。おめおめと逃げてきた者の話、果たしてどこまで信用に足るものか。大方、領民を放ったまま家財を背負って逃げおおせるところを夫婦ともに後ろからバッサリ、といったところかではないか? せっかくの剣の腕も家財で塞がっていては役に立たんだろうな。
まあ、貴様の言に多少の真実が紛れていたとしても―――家族領民を見殺しにして逃げ出した貴様が、我が討伐軍でどれほどの働きが出来るのやら?」

残酷な物言いに、ブルブルとカークの肩が震える。爆発一歩手前の石油タンクのように、悔しさで破裂寸前だ。元は同じ|貴族《なかま》だったのに、どうしてここまで冷たく当たるんだ。助け合うどころかライバルを蹴落とすことしか考えてない。
カークの背中に、まだ幼い少年の背中が重なる。約束されていた将来を奪われ、養うはずだった領地領民を奪われ、大切な家族を奪われ、それでも必死になって二本足で立とうと踏ん張ってる子どもの健気な背中がそこにある。貴族たちから何を言われても歯を食いしばって努力してきた子どもが、今にも泣きそうな顔を俯き隠して震えてる。
空腹の苛立ちも相まって神経がざわざわと逆立つ。何もわかってないくせに調子に乗って、大勢の人間を道連れにしようとしている上級騎士たちには苛立たしさしか感じない。こんな馬鹿げた状況を良しとして全部を自分のために利用しようとするクアムには憎たらしさしか感じない。だけど、そんなことよりもずっと気に喰わないのは―――

「―――分を弁えない言葉でした。出過ぎた真似をお許し下さい」

ビキッと、亀裂が走るような音が胸の内側から聞こえた。




気に喰わないのは、こんな連中に言われるがままにしてる、カーク自身だ。
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~ Comment ~

壁|・_・)ノ やあ 

前回の「エルフになって」のコメント数、とても自分が入れる気がしなかったのでこうして陰から見ていたよ。
皆いろんな知識を持っているな〜、と思いましたよ。いやはや、部外者の自分も脱帽ものでした!

さて、これからは感想では無いので流し見ても結構です。
遂に今週には上映しますね! 【パシフィック・リム】
テレビのCMを見てはいちいち興奮している男、俺です! 今でもニコニコなどの告知を見てはニヤニヤしている男、俺です!!
主さんはいつ頃見るか分かりませんが、自分は初日の午前中に見に行く予定です!
マジで見るのが楽しみです!!

 

おお、いい感じに~そして、花畑に~。
ふむふむ、騎士団は玉砕か後方攪乱でインパールになるか帝都がさっさと制圧か。
さて、このままでは君が代歌って万歳突撃よりも勝率の無い玉砕戦になりそう。
ふむ、魔王軍の前衛集団と一足先に当たって魔王軍侮りがたしの印象を植え付けてトゥとカークの冒険の時間を稼いで貰わないと困るさね。
それとも、皇帝陛下のお力を借りて軍部を一時的に押さえ込むかあ、その時間稼いだら華々しくクアムと一緒に玉砕かもしれんが。

NoTitle 

完成間近とのことで見に来ましたー。うん、演習やらんとか阿呆めが
戦力比10:1でどないせぇと。俺だったら逃げますねー。そもそもシミュレーションゲームとか相手を超弱体化させないと遊べない人間ですんでね
眠れる獅子って起き抜けに寝ぼけてるうちに首掻かれたら終わりじゃないですかやだー。おお、もう……ふつーにオワタ\(^o^)/
つか斥候の接近を許すってそれ敵にかなりの余裕があるっちゅーことっすよ。ぶっちゃけベロベロに舐められてるんすよ。ホントーに舐められてもしかない現状なんすけど
もうこいつらには防衛に集中してもらって少数精鋭の別働隊組織して敵領内に忍び込ませ、敵の指揮系統をズタボロにするって具合しか手がない気がががが
あばばばば

……『まおゆう』でも言ってましたがねぇ……どんなにきれいごと並べても物語の『勇者』っつーのは結局はアサシン、暗殺者なんですねぇ
つまり勇者のパーティとは「とにかく敵の親玉の首を取れば敵は瓦解する“かもしれない”」って希望を元に送り込まれる、決死隊なわけです
ちゅーても決死隊を送り込んでる間に本国が攻め落とされたら意味ねーっす、ってことで一つ提案が

つってもよくあるパターンですが、こーゆー阿呆の集まりの中にも、何人かは優秀な人が紛れ込んでるもんです。大抵は集まりの中で一番立場が低かったりしますが
つまり『将軍』キャラ、もしくは『武官』キャラを出すべきかと。実戦の経験者の意見を聞く、とかいう名目でこの軍議に召喚されている、前線の指揮官、それも歴戦の猛者みたいなキャラクターがいると良いかもしれません
軍議に召喚されている、とは言ってももう上層部はお花畑ですんで、下級の、しかも武官の言葉なんぞ見下して聞く耳も持たないから意見を言おうにも封殺、却下されてもう『あ、この国だめだ。もーどうでもいいや』って部屋の隅っこで不貞腐れて居眠りしてたり、とかしてたり
それがカークの友人だったり師匠だったり世話になった人だったりカークの家に恩があったりといった設定があったりすると、なお面白いかと
政治には興味が無く、ただ兵を率いて戦を行い、異形の生物から自分たちの国を守ることに誇りを持つ、そんな根っからの武人が、カークの肩を持ったり、会議が終わって抜け出た後にこっそり耳打ちして魔王の暗殺を勧めてみたりとアドバイスして「お前(もしくは決死隊)が魔王を倒しに行く間は、俺が国を守る」とか「魔王暗殺、やるなら手を貸す」とかトゥやカークに約束したりすると、面白いかも
実戦になったら陣頭に立ってトンチンカンな指揮をする貴族どもに「もう引っ込んでろ」っつって指揮権を強奪するような武官キャラが好きです

つかまぁ貴族もノブリス・オブリージュといって人の上に立つからにはそれ相応の責任が発生するんだよっていう言葉もあるんすけど、長い間にだいぶそこら辺の考えが摩耗しても仕方ないのかもしれませんねぇ。少なくとも今は見えない
だから今では貴族の支配は廃れ、民主主義に移行しているのですが。貴族による統治も、統治する貴族の能力が高ければ良いものになるんですがねぇ……生まれた物はいつか腐ると歴史が証明してますし
まっとうな貴族がいるんでしょうが、そういう輩はこういう輩によって冷遇されてるんじゃないかな、とか、そういうストーリーも面白そう

……ああ、他の人にアドバイスというか変な意見をしてる場合じゃない……二次小説にオリジナルも書かないと……オリジナルにいたっては半年も放置してますからね(滝汗
つーか夏休み十日間だけとかキツイってば……仕方ないんだけどね資格のためだもん(´;ω;`)
長文失礼しましたー

 

むう最大戦力の貴族がこれじゃあ、これからがキツいですね~。勇者が魔王倒しても、人間がほぼ死亡では意味がないし(笑)さてさて、どうなるか。ここは内政チートをトゥにさせ、人間は防御に特化。がいいのかな?
漫画「ヘウレーカ」にでてきた、蒸気機関を利用した投石機(ピッチングマシン)とか、歯車を使った扇風機じみた虐殺カッターとか、中世で鉄を精製できるレベルなら創れるレベルとか。問題は貴族が聴く耳を持つかか(笑)>パシフィックリム
明後日、金曜日に見に行く予定っす。私の近くの映画館は毎週金曜日は1000円デー。安いときに見に行く私は映画館に優しくない客です(笑)

NoTitle 

 これはイイ感じに末期戦だなあ。敵に囲まれ味方も軒並み総崩れ、残るのはゲリラ戦による泥啜る消耗戦。ぐへへ、たーのしくなってきたぞう。
 次回からスーパー説教タイムに入るようですしおすし、トゥさんがカリスマ(偽)を炸裂させるのが今から楽しみですね。

 ちょうど明日からそんな感じのロボット映画が公開しますね。絶対見に行こう、うん。最近ミリタリーに毒されて来たのか、鉄と汗と血飛沫に興奮する。
 巨大なロマンが世界を救うね、やっぱり。男はいつでもロマンで溢れてなくちゃね。

NoTitle 

>森羅さん
みんなどこでこんなに豊かな知識を得てるんでしょうね。何を食べれば軍事とかに詳しくなれるんだろう。
パシフィック・リム、超絶楽しみです。早く観たくて仕方がないです。今週末に見に行きます。絶対見に行きます。うおおおおおお早く観てええええええ!! コヨーテ・タンゴの勇姿を早く観てええええ!!!

>ルクレールさん
この度は、ルクレールさんにはとってもお世話になりますた! おかげさまで、当初のバージョンよりもかなりリアリティな世界観を作ることができましたよ!! ここから先は、トゥのお説教タイムと勇者失格宣言、そしてカークの家でのニヤニヤイベントなんぞに繋げていくつもりです。役立たずな騎士団には相応しい役割を考えてみました。その時になったらブログに試作品を載せるでしょうから、またお知恵を貸して頂ければ嬉しいです!!

 

いえいえです。お役に立てて幸いです。


……………しかし、見てて私は気がついてしまった。
………騎士と言うことはメインウェポンは剣でなく騎上槍では無いのかと、それに歩兵は傭兵で良いとして、弓兵は何処に行ったと言うこと、二次戦での戦死者の約七割は砲撃の弾によるものと言われる位、遠距離攻撃が打撃の大きな部分を持ってます。魔導師が遠距離攻撃を担うとしても、使えない人間の方が多い訳ですから使えない人間の遠距離攻撃法として弓兵が居てもおかしく無いのでは?
と歴史好きのルクレールでした。
後はトゥとカークの珍道hもとい、冒険を楽しみにしてます。
個人的に温泉イベントとか有ると嬉しいな~なんてね。

NoTitle 

もう一週間過ぎちゃったよ……。返信遅れが最近激しい。頂いたその日には返レスしたいんだけども……。

>イザナギさん
イザナギさん、ご自分の作品があるのに温かく助言をしてくださるその行動、僕は敬意を表するッ!!(`;ω;´)
カークの友人案、実は僕も同じ考えを抱いております。捻くれてるけどお花畑の上層部よりもまともな、亜人族と人間のハーフを登場させようかな、と。
勇者パーティを、トゥとカークだけにするか、それとも他の登場人物を足して決死隊とするかは悩んでいます。でも、僕のキャラクターの把握能力は低くて、パーティを増やすことでそれぞれのキャラの個性や、TSネタを際だたせることが出来るのかが不安です。
最終的には、上層部は全滅して散り散りになった騎士団をカークの友人が立て直すというアイディアを漠然と考えています。それを描くのはずっと先でしょうが、イザナギさんのコメントを何度も読み直しながら今から色々と妄想しています。
相応の身分の人間は、社会に対して相応の責任がある。ノブレス・オブリージュという考えは、1000年間の怠惰ですっかり摩耗してます。神さまが「一旦リセットしよう」と考えるのも仕方がない、と読者の人に思ってもらえるような腐った世の中に描きたいです。まともに執政を敷いていた貴族は、カークの元実家のような「中央から離れている、中央の影響を受けづらい貴族」としようと思います。エルフ教徒の集まるところだとか。まだまだアイディア段階ですが。
イザナギさんのコメントを読んでいると、どんどん妄想に形が出来てきます。本当にありがたいです。よろしければ、イザナギさんに余裕がある時に、また助言をして下さいませませ。余裕がある時でいいので!

NoTitle 

>名無しさん
貴族に頼れない→貴族の軍隊を囮にして魔王軍の戦力をそちらに集中させる→その間に自分たちで魔王を倒す。 ……という流れに持って行こうかと思ってます。討伐軍に大きな被害が出ないように、両軍が衝突する数ヶ月の内に決着を付けないといけない、という期限を設ければストーリーに緊迫感とか張りが出るのではないかと素人考えを抱いていたり。期間に関しては、二ヶ月程度にしようかなと思ってますが。でも結局、途中でカークが大怪我するとかトゥが倒れるとか魔王の正体がわかるとか、そういう切ないイベントによって期間を越えてしまい、貴族たちに大損害が生じてしまう……という流れにしようかなあ、なんて。
パシフィック・リム、面白かったですね。僕は二回も見てしまいました。DVDが出たら絶対買っちゃいますよ。メイキング映像とか超見たいです。また映画館に観に行きたいくらい面白かったです。ストライカー・エウレカ最高!

>ルクレールさん
トゥさんのカリスマ演説はなんとなく決まっております。お楽しみに! パシフィック・リムもお楽しみに!! 巨大ロボットこそ男の子のロマンですよね! もちろん女の子も見てほしい! あれこそロボットものの極地ですよ!!

馬上槍については、御前試合では行われていたということにしています。とは言え所詮は「試合」での「一騎打ち」しかしていなかったのでほとんど役に立ちません。弓については、むしろ魔王軍の方が使い方を熟知しているということにしたいです。大昔の中国の兵士のように、大軍が一斉に弓を撃ってくるという描写を書きたいです。「突然、陽が陰った。奇妙な雲が頭上に現れ、ヒュルルと無数の風切り音を立てながら落ちてくる。誰かが『弓だ』と叫んだ」みたいな。弓の効果的な使い方を魔王は知っている、という描写をどこかに入れるべきかもしれないですね。
トゥとカークの珍道中やニヤニヤイベント、僕も早く描きたいです。温泉ネタとかいいですねそれ。すごくいいですねそれ!

温泉ネタ 

温泉ネタその①


くん、と顔を胸元に近づけて匂いを嗅がれる。整った顔が途端に顰められ、じろりと睨めあげられる。
「カーク、今の貴方はとても汗臭いです。湯浴みはちゃんとしているのですか? 清潔にしておかないと病気になってしまいますよ」
湯浴みが出来るのは裕福な家だけ。石鹸は高級品で使うのは晴れ舞台の前日くらい。
「薪がもったいないからずっと水浴びしかしてない」
「!? ☓――☓☓!」
頭を抱えてエルフ語で悲鳴をあげる。エルフの世界では湯浴みは日常的な習慣らしい。彼女から良い匂いがするのも頷ける。
「今すぐに入浴すべきです!お風呂は、お風呂は無いのですか!?」
「薪を炊けばすぐにでも」
「なら急ぐのです!」
カーク、風呂に入る。久しぶりの湯浴みで身体の芯から疲労が抜け落ちていく。一人で入る風呂は色々なことに思いを馳せる。ふう、と息をつく。
「湯浴みはいいものでしょう?私の国では一つの文化になっているくらいです。景色も楽しめる露天風呂は最高ですよ」
「ああ、いいなあ。是非とも行ってみた――」
振り返れば、腕まくりをしたトゥがタオルと石鹸を持って自分を見下ろしていた。トゥの視線がじっと一点に集中する。その視線を追えば、全裸の自分の股間。
「おわぁ―――っ!?」
なぜか勝負に負けたようにショボンと項垂れるトゥに背を向けて股間を隠す。
「トゥ、なんでここに!?」
「背中を流してあげようかと思いまして。これから大いなる旅路へと赴くわけですし、汚れをきれいサッパリ流してしまった方が良いでしょう?」
「いい、自分で出来る!」
「何を恥ずかしがっているのですか。心配しなくても私は平気です」
エルフという種族は異性に対して警戒感が少なすぎる。この少女だけなのだろうか。
「君が平気でも俺は平気じゃないんだ!」
「私の裸を見たことがあるくせに、今さら何を言っているのです」
「そ、それは―――」
痛いところを突かれた。自分の青臭い失敗を他ならぬ彼女から突きつけられてカッと顔が熱くなる。恥を覚える一方で、目の前のトゥの服うっすらと透けてその美しい裸体が目の裏に浮かび始める。一度目にしたら忘れられない、ほっそりとしているのに柔らかそうな純白の宝物が忠実に目の前に浮き上がる。
瞬間、顔以外にも熱い血が集中し始めたことを自覚する。反射的に見下ろしてしまい、それに釣られてトゥもカークのそこに目をやる。一瞬後、トゥの顔面がボンと爆発して後ずさる。
「――――ッ!!??」
「す、すまない!これは決して……!」
「決してなんですか!?まさか貴方、私で欲情を……!?」
「えっ? あ、いや、えーっと、」
「~~~ッ!」
タオルを横っ面に投げつけられてそのまま走り去っていく。悪いことをしてしまった。でも、自分がどれだけ男の視線を集めるか、どれだけ危なっかしいことをしているか、これでわかってくれればいいのだが。
「……後で謝ろう」
はあと大きく息を吐いてまた湯船に身体を沈める。身体の疲れはとれても心の疲れは取れなさそうだ。

お風呂ネタ 

イベント案その②

だいぶ旅も進んでいる。幾つか争いも経験している。
夜中にようやく宿に辿り着く。露天風呂のある宿。風呂は混浴で狭い。風呂が閉鎖されるまでもう時間がない。二人とも雨に打たれて汚れている。
「君が入ればいい。俺は大丈夫だから」
「……いえ、二人で入りましょう。風邪を引かれては困りますので」
互いに背を預け合って湯に浸かっている。今度はトゥも裸体をこちらに見せないように気をつけて大きな布で覆っている。地熱で熱せられた湯が疲れた身体に染みて心地いい。気まずさも溶けてしまいそう。夜空を見上げる。満点の星星が美しい。
「君の言った通り、露天風呂はいいものだな」
「でしょう? 星空を見上げていると、どんな世界も繋がっているのだと思えて安心します」
トゥ、もしかして自分の世界に帰りたがってる? 
カーク、不安になる。

温泉ネタ 

温泉ネタを携帯でハアハアしながら読んでいたら、となりのOLさんに露骨に避けられ、電車で素で凹んだ名無しです(笑)いや、高い文章力の作品は電車で読んじゃいけないという良い経験になりましたよ(ρ_-)o>パシフィックリムは面白かったですが、映画館からでた後つい突っ込んだら「細けぇこたぁいいんだよ(`・ω・´)」と逆に突っ込まれました。……でもやっぱり欲しかったよね。ドリル。

Re: 温泉ネタ 

>名無しさん
>高い文章力
褒めてもなにも出ないよ!後でお小遣いあげる!

温泉ネタは絶対入れたいイベントです。初期のうちに、カークをまだ“同じ男”としてしか思ってないトゥがベタベタと接してニヤニヤするイベントを経て、話が進んだらそんなことをしていた自分を段々と恥ずかしく思ってくるトゥの描写を入れながらの温泉イベントを書きたいです。遠い先になりそうな予感。
パシフィック・リム、ドリルは基本ですよね。全身ドリルのモゲラさんを見習ってほしいものです。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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