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ちょっとした試作品。続きを書くかは未定

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問おう。
人類が勝利するその瞬間、君たちはどこにいたい?
狭い壁の中で細々と普段通りの生活をしている最中、吉報を耳にして、「ああ、よかった」と弱々しく胸を撫で下ろすのか?
それとも、|巨兵《イェーガー》の中で、雄叫びを上げながら勝利を勝ち取った喜びを噛み締めたいのか?

さあ、立ち上がれ、猛者たちよ。
さあ、選べ、猛者を目指す者たちよ。

納得出来ない運命なら、遠慮無く覆してしまえ。
理不尽が襲いかかってきたのなら、より強大な理不尽の力で跳ね除けろ。
我々にはその|権利《・・》がある。義務ではない。容易でもない。大抵の場合、屈する方が遥かに楽だ。だが、|やろうと思えばできる《・・・・・・・・・・》のだ。ならば、出来ない理由を探す前に、出来る方法を探るべきだ。運命を跳ね除けろ。諦めるな。妥協するな。誤魔化すな。自分を殺すな。
大きくて強い|巨兵《イェーガー》は、何も特別な存在ではない。彼らは君たちの中にいる。君たちの心の格納庫で、パワー・コアに火を灯されるその日を今か今かと待ち望み、全兵装をたっぷりと満載して、君たちが意気揚々と搭乗してくるのをじっと待っている。
運命を跳ね除けろ。諦めるな。妥協するな。誤魔化すな。自分を殺すな。大切なものに仇なす敵に、追い詰めた相手を間違えたのだと心から後悔させてやれ。

今までの私の話で、少しでも思い当たる節があるのなら、同調できる部分があるのなら、諦観に堕ちる自分を嘆く自覚があるのなら、我らが『|巨兵兵団《・・・・》』に入団するがいい。
我々とイェーガーは、何時でも君たちの搭乗を待っている。この世界から巨人を一匹残らず駆逐し尽くすその日その時その刹那まで、君たちに“昨日までの己を超える力”を、“己を取り戻すチャンス”を、“己の価値”を与える用意がある。
さあ、立ち上がれ、猛者たちよ。
さあ、選べ、猛者を目指す者たちよ。
我々と共に、悪いKYOJINをやっつけよう。

―――『| 巨 兵 《イェーガー》兵団』団長 エルヴィン・スミス


※ 巨兵兵団の隊員募集ポスター『平和を仕事にする』より抜粋。





 ズシン、ズシン、ズシン。

鬱蒼とした木々の間を、一体の巨人が駆けている。
樹齢百年を超えるであろう巨木の隙間を縫うようにして疾駆するその巨人は、サイズは通常の巨人と変わらないが、その起伏を帯びた体躯に他とは違う特徴を持っていた。
それは、人類が目にする初めての|女の形《・・・》をした巨人であった。
『雌型の巨人』と名付けられた|彼女《・・》は、持ち前の体捌きによって剣山のように突き立つ木々をすんでのところで躱しつつ猛スピードで森の中を突き進んでいる。

 ズシン、ズシン、ズシン。      ドズン! ドズン! ドズン!

森全体を巨大な地響きが揺れ動かしている。|二つの《・・・》地響きが―――雌型の巨人を後方から追う地響きが―――大地を真っ二つに割らんが如く叩き揺らしている。
木々がガクガクと大きく振動し、岩土は爆煙のように高く舞い上がり、鳥獣たちは悲鳴を上げながら逃げ惑う。まるで自然そのものが、恐るべき何者かの脅威に怯えて震え上がっているようだ。
否。今この瞬間にもっとも恐怖を感じているのは、雌型の巨人に他なるまい。

ズシン、ズシン、ズシン。   ドズン!! ドズン!! ドズン!!
 
 
―――……!!


雌型の巨人が息を呑んだ。近づいている。接近している。迫っている。雌型の巨人のすぐ背後に、|巨兵《・・》が肉薄している。だが、振り返って確認する余裕はない。雌型の巨人が木々の間を掠るようにしてすり抜けた次の瞬間、あたかも幼児が小枝を折るように巨木の群れが捩じ切られ、|真紅の巨兵《・・・・・》が一歩を踏む。雌型の巨人にとっての巨木は、巨兵のとっては足元に生えた雑草に等しい。もはや|寸法《サイズ》の問題ではない。両者はあまりに|次元《スケール》が違いすぎた。

ズシン、ズシン、ズシン。 ドズン!!! ドズン!!! ドズン!!!

また一歩分、距離が詰められる。調査兵団の早馬よりも駿足のはずの雌型の巨人の速度を持ってしても、歩幅の違いすぎる相手から逃れることは困難を極める。障害物の多い森林に逃げ込めば|巨兵《てき》の動きも鈍ると判断しての現状であったが、完全に裏目に出ていた。彼女にとっては障害物でも、巨兵にとっては“物”として認識する程度のものでもなかったのだ。


―――世界を敵に回しても俺は味方だから帰ってこい―――


泣いてそう告げた父親の顔が脳裏を過ぎり、まったく同じタイミングで巨兵の影がぐおんと視界を過ぎった。反射的に後ろ足で地面を蹴りあげ、自身の全長よりも大きな脚部による強烈な踏みつけをなんとか回避する。
帰れるもんなら今すぐにでも帰りたいわボケと胸中で吐き捨て、地面に転がりながら受け身をとった雌型の巨人がチラと背後の巨兵を見上げる。


―――デカい……!!


全長はおよそ80メートル。重量は約1800トン。分厚い鋼板を真紅の塗料で覆った紅の巨兵が、天を突かんばかりの迫力でそこに聳え立っていた。巨兵の頭部そのものである|一ツ目《モノ・アイ》がぐりんと一転し、雌型の巨人の動きを精確に追尾する。左右で形状の違う腕を持つ、この異形の| 紅 巨 兵 《レッド・イェーガー》こそ、人類が巨人を駆逐するために生み出した最強の人型決戦兵器の一角―――『クリムゾン・タイフーン』である。
そして、これを狩る精鋭パイロットこそ、この三人である。

「くそっ、さすが雌型の巨人だ! すばしっこい! おい、エルド! もっとよく狙え!」
「わかってるよ、オルオ! ペトラ、|あれ《・・》の準備を!!」
「任せて! オルオは黙ってなさい! また舌噛むわよ!」
「うるせえ、何度も同じ失敗はしなグベェ!」

エルド・ジン。オルオ・ボザド。ペトラ・ラル。元は調査兵団のリヴァイ班に属していた精鋭中の精鋭であり、現在はクリムゾン・タイフーンを操るイェーガー・パイロットである。

―――!?

 突如として、クリムゾン・タイフーンの動きが鈍った。硬質な音を立てて右腕に異変が生じる。やおら右腕が高く持ち上げられたと思いきや、その位置で固定されたのだ。片腕だけで降伏の手を上げたような格好である。その不思議な行動を、雌型の巨人はむしろ逆襲のチャンスであると捉えた。右腕が固定されたことで巨体の重心が狂い、巨兵の激しい疾走が緩んだのだ。


―――行ける!! 私の硬質化の能力とキックの切断力なら、こいつにダメージを与えることだって……!!


雌型の巨人の固有能力に“部分的な硬質化”というものがある。鎧の巨人が全身を鎧化させたように、まるでダイヤモンドのような硬質の岩を一部の皮膚表面に作り出すことで、時には防御のための防具に、時には攻撃のための武器として利用できるという優れた能力である。それに加えて、彼女は父親から叩きこまれた戦闘体術を有している。研ぎ澄まされたナイフのような蹴りは、脛部を硬質化させることによって巨木をも簡単に切り裂くことが可能だ。
雌型の巨人が振り返り、戦闘態勢を整える。硬く構えた両腕を頭の位置まで持ち上げ、腰を低く落とし、迫り来るクリムゾン・タイフーンを待ち受ける。その目はクリムゾン・タイフーンを見ているようで、しかし見ていない。対象の一部を注視せずに漠然と視界に入れておくことで、敵の次の動きを把握できるからだ。彼女は今、冷静だった。


―――さあ、どうくる、化け物め……!


高く持ち上げた右腕を振り下ろすのか。それとも右腕は囮で、本当は蹴り技が繰り出されるのか。どちらにしろ望むところだ。カウンターを決めて、そのご自慢の装甲をぶった切ってやる。
仲間たちはエレンとミカサが操るイェーガーによって黒焦げにされたし、他の知性のない巨人たちもほとんどが駆逐されてしまったが、自分はそうはいかない。なりたくてなったわけではないが、もうヤケだ。巨人の底力を見せてやる―――!!


ガキン、と。クリムゾン・タイフーンの右腕が|分離《・・》した。


―――えっ


目を見張る彼女が見上げる中、一本の腕に見えていた右腕が二本に別れ、拳にあたる部分に備えられた巨大な鋸刃がギャリギャリと猛回転を始める。そんな攻撃、いったい誰が予想出来るというのか。巨大なチェーンソーと化した拳は空気抵抗をも切り裂く勢いで唸りを上げ、一回転する度に莫大な遠心力を獲得する。より早く、なお早く、もっと早く、さらに早く。チェーンソーは|暴風雨《タイフーン》の発生源と化し、周囲の大気を巻き上げて加速を続ける。


「「「必殺ッッッ、| 雷 雲 旋 風 拳 《サンダークラウドフォーメーション》!!!!」」」


 ―――!!??


例えるなら、まさに“芝刈り機”。巨人という雑草を根こそぎ刈り取る芝刈り機だ。我々がよく知る芝刈り機を数万倍に膨らませてもまだ足りないモンスターが高々と振り上げられ、重力と油圧を相乗させた力で振り下ろされる。振り下ろされる度に木々は次々と裁断され、一瞬前まで立派な巨木だったものが次の瞬間には平らな切り株と化していく。
しかも、悪いことに、その芝刈り機は二つある。一方が斬りつける間にもう一方が持ち上がり、それが振り下ろされる間に再びもう一方が持ち上げられる。そこに付け入る隙などコンマ一秒たりとも存在しない。


―――……ライナー、ベルトルト。アンタらが諦めた理由、わかった気がする。


たった今しがたまで暗い森だった場所が、巨兵が通り過ぎた後には跡形も無い更地と成り果てる。あまりに無慈悲で、あまりに圧倒的過ぎる光景だった。荒れ狂う自然の猛威に対して人類が傍観するしかないように、雌型の巨人も忘我して迫り来る刃の竜巻を見上げるしかなかった。


―――ひゃああっ!?


鋭い風圧に強く煽られ、彼女は意識を取り戻す。すぐ眼前を回転刃が掠めたのだ。掠っただけで脚部に纏わせていた硬質の皮膚は砕け散り、残りの余波によって彼女は100メートルほど後方に吹き飛ばされて尻餅をつく羽目になった。掠めただけでこれだ。直撃すればどうなるのかなど、林立する出来立てホヤホヤの切り株を見れば一目瞭然だ。
何がどうすれば“いける”だったのか。少しでも希望を抱いた数秒前の自分にハイキックをかましてやりたい。次元が違いすぎる。というか世界観が違いすぎる。
回転する死の刃を前にして雌型の巨人がホロリと涙を流し、遂に目と鼻の先まで迫ったクリムゾン・タイフーンを仰ぎ見てそっと目を瞑る。
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~ Comment ~

奴か(笑) 

クリムゾンタイフーン(笑)奴はいい期待でしたね。確かに中国雑技団もビックリのあの動き(下半身が180度変わるって(((゜д゜;))))
確かにスピード重視の雌型の巨人に対抗しやすいかも。
(アニメでは変身シーンがやたらとエロチックになってましたが)
さて、蛇足かもですが。クリムゾンタイフーンのスペックを。
全高:76m、重量:1722トン、エネルギーコア:ミッドナイト・オーブ9。以上、パンフレットからの情報でした。

NoTitle 

これはひどいwwwでもやっぱ、燃料確保的な意味で大分運用がきついんでしょうかねえ。長距離移動はヘリで行ってたようですし、敵の前までどうやって運んでいるのだろうか……、細かいことはいいんだよ!(ゲス顔)

どこから 

どこから突っ込めばいいか判らないよ!

NoTitle 

>名無しさん
クリムゾン・タイフーン、意外にコイツが人気なんですよね。僕はジプシー・デンジャーが一番好きなのですが、あのトリッキーな戦い方やデザインは確かにカッコイイです。ストライカー・エウレカだって如何にも「主人公」って感じのスマートなデザインだし、必殺技のエア・ミサイルも派手だしで凄くクールなのですが、今回はリヴァイ班のリベンジということで3人乗りのクリムゾン・タイフーンを使わせて頂くことにしました。ストライカー・エウレカはきっとエルヴィン団長とリヴァイ兵長が乗ってると思う。


>enkidさん
この世界では、イェーガーの戦闘から補給・整備までを担当する巨兵兵団がイェーガーと一緒に出兵しているイメージです。4つの隊がそれぞれ一体のイェーガーを保有していて、イェーガーが範囲内の巨人を駆逐し終えたら補給整備してから進んで、また駆逐し終えたら進んでを繰り返してる感じです。あんまり深くは考えていないので、仰る通り細かいことはいいんだよ!ってことでwww


>件さん
お尻にどうぞ(真顔)
というのは冗談です、冗談。僕はノンケです。うほっ。
ふと書きたいものが浮かぶと脱線して書いてしまうのが僕の悪い癖です。件さんや絵師さんがたに報いるためにも、早く更新しないと!!

イェーガーも良いですけど 

ハーメルンにも投稿されているのに気がつきました。

イェーガーで圧倒的な蹂躙戦もいいのですが「進撃の巨人」のイメージなら「ザブングル」のウォーカーマシンや「ボトムズ」のアーマードトルーパーみたいな油と硝煙の臭いが染みたメカも良さそうですね。

個人的には「バトルテック」のメックが合いそうですが。

※「バトルテック」

二十年くらい前にアメリカで発売されたアナログ「ロボット戦争シミュレーションゲーム」、もとはアメリカで放送された「マクロス」「ダグラム」等のロボットアニメ番組「ロボテック」をゲームにしたもの(バルキリーとダグラムが同一ルールでド突きあえる)。

人気は出たが日本のアニメ会社から著作権で訴えられて世界観をオリジナルに変更(統一銀河国家が崩壊した宇宙戦国時代が舞台、文明が退行してメックは全て遺跡からの発掘品)、ロボットのデザインもあちら風に一新された。

折しも日本はテーブルトークRPGが流行りだしバトルテックも翻訳が決定したがあちらのメックデザインはアレ過ぎたので「スタジオぬえ」の河森正次氏(マクロスやバルキリーのメカデザイナー)が無骨かつSFチックに各メカをリデザインした。

スーパーバルキリーはフェニックスホーク(中量級高機動機、一斉攻撃をするとオーバーヒートする程の火力が魅力)、ダグラムはシャドウホーク(中量級高機動機、装甲も厚めで一斉攻撃をしてもオーバーヒートしない冷却能力を持ちオールラウンドに戦える、欠点は総合火力が弱い『フェニックスホークより下』なこと)と名を変えゲーマーの間で人気を博した。


長文失礼しました、ネットで探せばメックの画像も見られると思います。

気に入っていただければ幸いです。

Re: イェーガーも良いですけど 

>隆之介さん
>人気は出たが日本のアニメ会社から著作権で訴えられて
アメリカさんも豪快にパクるなあ……(;´∀`)
硝煙と油に塗れたリアリティのあるロボットものって憧れますよね! 乱暴に扱ったらすぐにガタが来ちゃうとか、乗り手の熟練度次第で旧式も強くなるとか、量産型に改造を加えた期待とか、整備士が群がって油まみれになって一生懸命修理してる様子とか、もう最高ですよ! 何時かはそういうのも書きたいものです。TS要素を加えてね!www
バトルテック、なんだか昔に友だちから聞いたことがあるような無いような……。調べてみませう! もしかしたら新たなネタ元となるやもしれません。いつも色々なネタを教えていただき、感謝です!!m(_ _)m
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