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夏コミ行き確定&映画の感想&車の修理代23万円なり&確認用未完成小説
今度の夏コミに、件さんのお手伝いとして参加させて頂けることになりました!なんとか休日も取れそう。3日連休は取らせてもらえなかったけども。東京行きがたった二日間というのも勿体無いけど、こういう会社を選んだのは自分だからそれはやむをえまい。飛行機と宿も、奇跡的にグッドなところを予約できた。良かった良かった。件さんの同人誌の販売は17日とのことなので、もしも夏コミに参加される方はぜひお立ち寄りください!!
トム・クルーズの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を観てきた。エクソスーツカッコええ。無骨な感じ最高。死を重ねるごとにどんどんスーツの操り方を会得して強くなっていくトム・クルーズマジカッコいい。漫画版があるとのことなので買ってみたけど、これまた面白かった。ハリウッド版は、原作のライトノベルや漫画版とは違うエンディングだったので、気になる方はぜひどうぞ。映画の方が一番ハッピーエンドに近いかもしれない。
先日事故にあった僕の車は現在修理工場で何とかしてもらってます。もっと早く修理は終わる予定だったけど、ぶつかった衝撃で駆動系から異音がするようになったらしく、修理期間と修理代が大幅に増えてしまった。23万円とは……。保険代どんだけ上がるんだろうね。東京行きのために節約せねば。
せっかくバーサーカーの更新近し。がんばろう。寝る時間とか削るのだ。
20世紀後半―――極東日の片隅、冬木と呼ばれるこの地において、『第四次聖杯戦争』の火蓋が切って落とされた。
あらゆる願いをこの世に実現させうる願望機―――『聖杯』を巡り、選ばれた7人の魔術師たちは世に名の知れた『英霊』を召喚し、己が刃として使役する。『| 従 者 《サーヴァント》』と名付けられた英霊たちは自身を召喚した魔術師を『|主人《マスター》』と認め、その超常的な技をもって同じサーヴァントと鎬を削り合い、この世に二つとない奇跡の結晶である『宝具』で敵を凌駕する。
サーヴァントは各クラスに割り当てられ、7騎が顕界する。
|剣士《セイバー》
|弓兵《アーチャー》
|槍兵《ランサー》
|騎乗兵《ライダー》
|魔術使い 《キャスター》
|暗殺者《アサシン》
|狂戦士 《バーサーカー》
7人の魔術師と7騎のサーヴァントに対し、聖杯がその尊い褒美を賜らせるのはわずか一人の魔術師と一騎のサーヴァントのみ。従って、各々が願いを手にするためには最後の最後まで互いに殺し合いを続け、陣営が一つになるまで勝利し続けなければならない。
和平の道など最初から想定されていない、全ての競争相手を倒すことのみが唯一絶対の儀式―――それが、この残酷な聖杯戦争の概要である。
さて、最初のサーヴァントの召喚を確認してから幕が開かれた此度の第四次聖杯戦争は、未だ8日目でありながらすでに3体のサーヴァントが脱落していた。ランサー、キャスター、アサシンである。過去の聖杯戦争が二週間足らずの期間で集結したことを考えれば、通常の聖杯戦争の趨勢とほとんど変わりない。
しかし―――その戦闘の全てが|たった一人の男《・・・・・・・》の掌の上で操られていたことは、200年を超える戦争の歴史において史上初めてのことであった。
|その若者《・・・・》は、30にも満たない若輩でありながら、老獪かつ神速の手腕によって戦争の趨向を完膚なきまで手球に取っていた。あらゆる戦局に彼の手は伸び、影から支配していた。しかも、彼がお膳立てした戦いは常に清爽な結末が用意されていた。時には決闘の舞台を整えてランサーに騎士の本懐を遂げさせ、時には暴走を始めたキャスター陣営に早期に刃を下し、時には胸の炎を失いかけていたアサシンに再び情熱を滾らせた。彼は、苛烈な命のやり取りの内にも“華”があり、“ルール”があることを心得ていたのだ。
さらに特筆すべきは、民間人の犠牲者をまったく生じさせていないことだ。罪のない者は決して巻き込まず、巻き込もうとする陣営は容赦なく罰せられた。彼のサーヴァントはもっとも扱いづらい|狂戦士 《バーサーカー》であったにも関わらず、ただの一度も暴走はせず、その真逆に一流の騎士の如き理性と正義に裏打ちされた振る舞いを貫いている。それがマスターの才幹によるものであったことは明白である。熟達する毎に人道の概念から遠ざかっていく|魔術師《いきもの》として大成しながら、彼はヒトの道を絶対に踏み外そうとはしなかった。徹頭徹尾、その強大な力の使い方を誤ることは無かった。
「斯く在るべき」と理想の背中を魅せつけながら、どの陣営よりも遥か先を歩む男。
後世にまで語り継がれるその名を、間桐 雁夜という。
聖杯戦争8日目
‡雁夜おじさんサイド‡
「ねえ、桜ちゃん。へ、変じゃないかな、この服? 似合ってるかな?」
「もう、おじさんは本当に心配症なんだから。バーサーカーが頑張ってくれたんだから、もっと自信を持ってもいいんだよ。ねえ、バーサーカー」
「ぐ~るる~ ┐(´∀`)┌」
やれやれまったく、とでも言いたげに両肩をあげた鎧姿の大男に「うるさい!」と怒鳴りつけ、もう一度背広の襟元を整える。あと数時間後に迫ったセイバー陣営との協議に望むために無理やり着せられたものだ。バーサーカーの手によって細部まで糊付けされているから乱れる心配はないのだが、高級な背広を着慣れていないだけに心許無いのだ。
「ぐるっぐるっぐるっ」と気味悪く喉を鳴らしながら―――おそらく笑い声なのだろう―――バーサーカーの背中が応接間に消えていくのを横目に確認し、改めて身に纏っているスーツを見下ろす。
(……さすがバーサーカーだな。悔しいけど、完璧だ)
藍色の下地に黒のチョークストライプが走るこの上等な背広とスラックスは、元々は兄貴の所有物だった。クローゼットの奥で眠っていたものを桜ちゃんとバーサーカーが探し出し、嫌がる俺を裸に剥いて寸法を調節して再び俺に着せたのだ。ブリオーニ製らしく、光沢のある生地は厚いのに重さを感じさせず、パリっとしているのにしなやかで、身体の輪郭にしっかりとフィットしているのに窮屈さは感じない。通常、高級メーカーのスーツはオーダーメイドで仕立てあげるものだから、別人が着ると着心地が悪い。だというのに、バーサーカーによって修正されたこれらはまるで最初から俺のために作られたかのような着心地で、自然に心まで引き締まるような清々しい感覚すら覚える。協議の場にも十分に相応しい服装だ。
そんな大偉業を片手間に終わらせてみせたバーサーカーの器用さにはもはや驚くまい。宝具化したハサミやらミシンやらでひょいひょいと分解して再び縫い合わせていく作業の工程は職人の域を超えた芸術的な何かだった。恥ずかしいから面と向かって素直に褒めてやらないが、出来栄えは最高だ。馬子にも衣装とはこのことで、背広の出来栄えに関しての心配は微塵もない。心配なのは、|馬子《おれ》の方だ。
(顔がこんなんじゃあ、いくら服の見てくれがよくたって……)
心中に重く呟き、顔の左半分をなぞる。手触りこそ異常は感じないが、それも慣れによるものかもしれない。だが、そこには間違いなく爛れて醜く崩れた顔面がある。忌むべき妖怪、間桐 臓硯が施した悪夢のような処置によって急造の魔術師となった雁夜は、その反動で肉体の大半を障害に蝕まれることとなっていた。髪の毛は残らず白髪となり、肌も黄ばんで、顔面の左半分が荒れ果てた。身体中の筋肉はゴッソリと削げ落ち、内臓も機能不全となり、身体中ボロボロだ。ゾンビという比喩が的確すぎて、まるで自身のために用意された言葉だと自嘲すら浮かぶ。魔術師であれば、この醜態を一目見ただけで急拵えの欠陥魔術師だと察することが出来るだろう。それではセイバー陣営に足元を見られ、こちらの分が悪くなるだけだ。かと言って協議を無視すれば、バーサーカー陣営には根城から出られない事情があるのだと勘ぐられ、間桐邸を襲撃される可能性が出てくる。そうなれば、桜の身に危険が生じてしまう。それを防ぐためにも“|間桐雁夜の根城《・・・・・・・》|には襲う価値がない《・・・・・・・・・》”と思わせなければならない。
「はぁ……」
せめて仮面か何かで顔を隠すべきかと悩み、自身の顔すら直視できない情けなさに暗い溜息をついていると、不意に隣から桜の呆れ声が投げかけられた。
「ねえ、おじさん。もしかして最近、鏡で自分の顔見てないでしょ」
「え?」
ムッとした呆れ顔で見上げてくる桜に、雁夜は困惑する。自分の顔におぞましさを覚え始めてから、雁夜は鏡を見ることを意識的にも無意識的にも避けていた。だから、ここ数日は自分の顔を見ていないのだ。不機嫌そうな桜の表情を測りあぐねていると、ふと、桜が自分の顔を真っ直ぐに|直視できている《・・・・・・・》ことにようやく気付いた。
(……そういえば、最近、俺の顔を怖がってない)
聖杯戦争開始前、まだバーサーカーが現れず、二人が臓硯の支配下にあった頃は、廊下で出くわす度に桜は雁夜を見て恐怖に身を竦めていた。闇夜にトイレを目指していた最中、偶然にも同じ目的地を目指して廊下の角からぬうっと出てきた雁夜に遭遇した時など、「ばいおはざーど!」などと叫んでばったりと気絶していたものだ。
「さ、桜ちゃん、おじさんの顔が怖くないのかい?」
「あーっ! やっぱり気付いてなかったんだね! はい、手鏡!」
「え、でも……」
「いいから、鏡を見てみて!」
痺れを切らした桜が「まったくもう!」と頬を膨らませてずいと鏡を手渡してくる。雁夜にとって、死に絶えて腐っていく顔面は朽ちていく己の命の写しだ。直視する度に確実に近づいてくる“死”の腐臭を感じて悔しさに歯噛みしていた。それを敢えて見てみろという真意がわからず、雁夜は戸惑いながらもムッツリ顔で己を見上げる桜に気圧されて躊躇いがちに小さな手鏡を覗く。
まず緊張に引きつる顔の右半分が映り、ゆっくりとゾンビのような左半分が映り―――醜いはずの、左半分が―――………
「|おじさんの顔《・・・・・・》、|とっくに元に《・・・・・・》|戻ってるんだよ《・・・・・・・》!」
‡バーサーカーサイド‡
さあさあ、やって来ました聖杯戦争8日目! 原作なら今夜に凛ちゃんが冒険に出てトラウマ覚えたり、アインツベルン城での王様酒盛りイベントがあるんだけど、この夢のお話ではそうはなってなくて、なんとバーサーカー陣営とセイバー陣営の協議が正午に言峰教会で行われる日になってる! キャスターを倒した陣営に令呪が進呈されるということで、共闘して打ち倒したセイバー陣営とバーサーカー陣営にお呼びがかかったのだ。原作では見向きもされなかった雁夜おじさんも出世したもんだ。
しかもその席で、セイバー陣営からの大切なお話があるという。原作では、ライダーとバーサーカーへの対処に不安を覚えた時臣おじさんがセイバー陣営を教会に呼び出して共闘を要請していたし、これもその流れなのかもしれない。この原作との乖離もイレギュラーである俺のせいなのだろうか? いやいや、まさかね! 俺ほとんど料理してるだけだし!
そんでもって、そんな大事なイベントを控えた俺が何をしているのかというと、応接間と、気合の入ったゴチソウの準備だ。なんでこんなことをしているのかは後でちゃんとわかるのだ。
さて、間桐家の応接間は、妖怪爺さんの趣味だったのか、広いくせにどんよりとしていて監獄みたいだった。そういうのは、これからもここで暮らしていく雁夜おじさんや桜ちゃんの精神衛生上とっても良くないから、ムダに分厚いカーテンを全部ひっぺがして雑巾にした後、窓辺に物を置かないように家具の配置換えをしたり、壁に必殺バーサーカーパンチをかまして採光兼換気用の窓を拡張したりしました。もちろん、家の強度を維持するため増強工事も同時進行です。
というわけで、とび技能士と建築士とリフォームスタイリストとインテリアコーディネーターの資格を持つ俺の手に掛かれば、陽の光をふんだんに取り入れた暖かな応接間の出来上がりってわけですよ。カーテンは青空みたいなコバルトブルー色にしました。生地は薄いけど断熱性は抜群な信頼のスイス製なので、昼間は日光だけで十分明るい! キャンドルスタイルの照明器具はそのままにして管球の明度をグレードアップしておいたから、夜は古風な雰囲気を保ちつつも部屋全体が明るくなりました。カーテンと濃藍色の絨毯とのグラデーションも完璧です。黒檀のテーブルもマホガニーの椅子も家具用ワックスでピッカピカに磨き上げたから、まるで喜んでいるみたいに輝いてる。最後に、だだっ広いテーブルの上にバロック様式のアンティーク燭台を載せれば―――――なんということでしょう! おどろおどろしいお化け屋敷の一室が、まるで一流ホテルのような洋風応接間に早変わり! これにはタラちゃんもビックリして変な足音立てなくなっちゃうよ! あの足音、どんな走り方すれば出せるんだろうね!
腰を入れて改装した甲斐があって、我ながら完璧な出来栄えに大満足。よしよし、後は昨夜から下拵えしていた料理を完成させなければ。塩漬けにした牛肉がちょうどいい塩梅に引き締まってる頃だろう。
―――などと余った家具用ワックスで自分の兜も磨きながら応接間の完成度に惚れ惚れしていると、ドタドタと廊下を走る音が近づいてきた。この落ち着きのない足音は雁夜おじさんだな。ついこの間まで半身不随だったのに元気だなあ。
「ば、バーサーカー、ここかっ!?」
「ぐる?」
どうしたんだい、そんなに慌てて部屋に飛び込んできて。せっかくの背広がシワだらけになっちゃうぞ。またアイロン掛けしないといけなくなるじゃないか。
息を荒げるおじさんの様子に首を傾げていると、突然頭をガバリと上げてずんずんと俺に歩み寄ってきた。俺の目の前に顔をぐいと近づけて、その左半分をビシッと指さす。
「この顔を見てくれ。こいつをどう思う?」
「うごご……ぐるるるる……」
すごく……普通です……ってなに言わせるんだよ。
俺の答えで確信を得たらしいおじさんが、それでもまだ信じられないのか自分の顔をベタベタと撫で回す。心配しなくても目と鼻と口以外は何もついていないぞ。採寸するために裸にひん剥いたせいでおかしくなっちゃったのか?
「な、治ってる! 髪も元通りに黒くなってる! そういえば、両目ともちゃんと見える! な、なぜだ? お前、何かしたのか!?」
ああ、なるほど。奇行に納得してガチャンと手甲を叩く。どうやら今さらになって自分の顔が元に戻っていることに気付いたらしい。どんだけ鏡を見てなかったんだか。
その通り! 何を隠そう、それは俺の仕業なのだ! キッカケは、オジサンたちのためにグリーンカレーを作っていた時のことだ。弱っていく桜ちゃんと余命わずかのオジサンを救いたいが、第四時聖杯戦争の時点での聖杯は、前回に脱落した|この世の全ての悪《アンリマユ》に侵食されていて使えない。さてどうしたもんかと頭を悩ませていたら、ふと宝具化した調理器具が目に入った。それはランスロットの固有宝具である『|騎士は徒手にて死せず《ナイト・オブ・オーナー》』の効果の発現だということはすぐにわかったが、それが持つ絶大な可能性について閃いたのは本当に偶然だった。グツグツとカレーが煮える音が、間桐家に置いてあった古臭い鉄鍋のそれではなく、もっと高価な―――まるでル・クルーゼ製の一級の鋳物鍋のような心地良い耳あたりだったのだ。鍋の蓋を開けて菜箸で具材をつついてみれば、先ほど投入したばかりの人参に吸い込まれるように刺さった。ホクホクに温まっているのに繊維がまだしっかりとしていてグズグズに崩れていないのは、ムラなく熱が通っている証拠だ。旨みと栄養をたっぷりと保持したままスパイスの味がじっくりと芯まで染み込んでいくのが目に見えるようだった。火に掛け始めたばかりとは到底思えない具材たちを丹念に見回し、俺は「この手があった!」と確信した。
『手にしたモノに宝具属性を付与する』―――かつて、丸腰だったランスロットが敵の罠にかかり、拾った木の枝だけで重装備の敵集団を相手取って勝利したエピソードを由来とする能力だ。原作ではただの鉄パイプを宝具化させて、セイバーの聖剣エクスカリバーと互角に切り結んでたくらいに協力な能力だ。だったら、鍋やらまな板やら包丁やらを宝具化すれば、それで調理された料理にも効果の一部が現れておかしくない。その証拠がこの美味そうな匂いを立たせるグリーンカレーだ。要するに―――聖杯が呪われていて頼れない状況で、桜ちゃんと雁夜オジサンの衰弱していく命を早急に助けるために俺が考えて実行しているのは、単なる『食事療法』なのだ。
おっと、回想してたら塩漬け肉のこと忘れてた。他にも色々と準備しないと間に合わなくなる。
「お、おい! 待てよ、バーサーカー! まだ質問の答えを聞いてないぞ!」
日夜、古い細胞と新しい細胞が入れ替わっていく人間の肉体は、口から食べた物によって形作られる。昨日食べた食事が今日の身体を作っているわけだ。第五次聖杯戦争のセイバーも、食べ物を摂取することで魔力の補給と傷の治癒を行っていたくらいだ。ならば、奇跡の料理を食べて作られた新しく強い細胞は少しずつ古く悪い細胞を駆逐し、取って代わり、やがて最後には間桐の呪いを克服するというわけだ。
管理栄養養士の資格を持つ俺でも魔術の悪影響を打ち消す献立作りには苦労した。主食には出来立ての炭水化物、主菜には良質なタンパク質、副菜には豊富なビタミン、鉄分、カロテン、ミネラル、その他デザートやオヤツには乳製品や果物を積極的に食べてもらった。冬木市の商店街は新鮮な旬の食べ物が豊富でだいぶ助けられたが、しょせん擬似宝具なのでランクもDと最低レベルだ。効果には限界がある。そんな悩みを抱えてる中で、港湾区戦でギルガメッシュの宝具を奪えたのは大きかった。夜の埠頭でサーヴァントたちの初邂逅があった中、ギルガメッシュが原作通りに俺に向かって宝具の雨を降らせてきた歳、丁度いい短刀型の宝具を投げてくれたので、ありがたく頂戴させてもらったのだ。今では包丁として立派に役に立ってもらってます。アーチャーの宝具は最低でもAランクなので、当然、料理に宿る効果も今までとは比べ物にならない。斬りにくい豚のレバーも薄紙のように歯が通る。オジサンは原作で吐血ばっかりしてるイメージだったから、豚レバーをごま油と砂糖醤油で炒めた甘辛焼きをたくさん食べて血を増やしてもらおう。
あ、そういえば今ここにオジサンいるじゃん。何か質問されてたような気がするけど、そんなことなかったぜ。ちょうどいいや、ちょっとコレ味見してみてよ。
「俺の質問に答え―――ぶわッ! い、いきなり味見させようとするな! 今はいらなぃいいうごぉおごごごお!!」
うごごって俺の真似? えー、なにもう、やめてよ、なんか照れるじゃん(*´∀`)
ほらほら、遠慮しないで食べてよ。もうすぐセイバー陣営との大事な話し合いなんだから、俺のマスターとして恥かかないためにもガッツリ精をつけてもらわないとね!!
「おいひい! くるひい! おいひい! ひゃめろぶぁわさぁぐぁおごご!!」
オジサン、ついこの間まで身体を引きずってたのに、今じゃエグザイルみたいに元気にヒップホップダンス踊っちゃってまあ。レバーには精力増強の効果もあるからね。スッポンの乾燥肉をチップにして入れたから効果は絶大さ。うんうん、一人でチューチュートレイン踊るくらい喜んでもらえて俺も嬉しいよ。
……おや、桜ちゃんが戸口の方から何とも言えない顔でボクたちを見ているよ。きっとオジサンの必死のダンスに見惚れているんだね。
「バーサーカー、“必死”って字はね、“必ず”“死ぬ”って書くんだよ? オジサンのホッペタが実写版ハム太郎みたいになってるからそろそろ止めてあげたら?」
あ、いかんいかん。味見してもらうつもりが全部口に放り込んでしまった。オジサンがグッタリしている。大丈夫? 結婚する?
「……ふ、」
ふ?
「ふおおおおおおおおお!! 今なら時臣も素手で倒せそうな気がするぞおおおお!! ふひょおおおおお!!」
シンバルモンキーみたいに面白い動きしてる。よかった、いつも通りのオジサンだ。
「全然いつも通りじゃないと思うけど、元気そうだし大丈夫だよね。でも、いいの?」
「ぐるる?」
「“なにが?”って、もうすぐ教会で大事なお話し合いがあるんでしょ? そこに、オジサンとバーサーカーは行かないといけないんだよね? オジサンがこんなに・・・」
価値がないと思わせる。
(ここまで)
トム・クルーズの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を観てきた。エクソスーツカッコええ。無骨な感じ最高。死を重ねるごとにどんどんスーツの操り方を会得して強くなっていくトム・クルーズマジカッコいい。漫画版があるとのことなので買ってみたけど、これまた面白かった。ハリウッド版は、原作のライトノベルや漫画版とは違うエンディングだったので、気になる方はぜひどうぞ。映画の方が一番ハッピーエンドに近いかもしれない。
先日事故にあった僕の車は現在修理工場で何とかしてもらってます。もっと早く修理は終わる予定だったけど、ぶつかった衝撃で駆動系から異音がするようになったらしく、修理期間と修理代が大幅に増えてしまった。23万円とは……。保険代どんだけ上がるんだろうね。東京行きのために節約せねば。
せっかくバーサーカーの更新近し。がんばろう。寝る時間とか削るのだ。
20世紀後半―――極東日の片隅、冬木と呼ばれるこの地において、『第四次聖杯戦争』の火蓋が切って落とされた。
あらゆる願いをこの世に実現させうる願望機―――『聖杯』を巡り、選ばれた7人の魔術師たちは世に名の知れた『英霊』を召喚し、己が刃として使役する。『| 従 者 《サーヴァント》』と名付けられた英霊たちは自身を召喚した魔術師を『|主人《マスター》』と認め、その超常的な技をもって同じサーヴァントと鎬を削り合い、この世に二つとない奇跡の結晶である『宝具』で敵を凌駕する。
サーヴァントは各クラスに割り当てられ、7騎が顕界する。
|剣士《セイバー》
|弓兵《アーチャー》
|槍兵《ランサー》
|騎乗兵《ライダー》
|魔術使い 《キャスター》
|暗殺者《アサシン》
|狂戦士 《バーサーカー》
7人の魔術師と7騎のサーヴァントに対し、聖杯がその尊い褒美を賜らせるのはわずか一人の魔術師と一騎のサーヴァントのみ。従って、各々が願いを手にするためには最後の最後まで互いに殺し合いを続け、陣営が一つになるまで勝利し続けなければならない。
和平の道など最初から想定されていない、全ての競争相手を倒すことのみが唯一絶対の儀式―――それが、この残酷な聖杯戦争の概要である。
さて、最初のサーヴァントの召喚を確認してから幕が開かれた此度の第四次聖杯戦争は、未だ8日目でありながらすでに3体のサーヴァントが脱落していた。ランサー、キャスター、アサシンである。過去の聖杯戦争が二週間足らずの期間で集結したことを考えれば、通常の聖杯戦争の趨勢とほとんど変わりない。
しかし―――その戦闘の全てが|たった一人の男《・・・・・・・》の掌の上で操られていたことは、200年を超える戦争の歴史において史上初めてのことであった。
|その若者《・・・・》は、30にも満たない若輩でありながら、老獪かつ神速の手腕によって戦争の趨向を完膚なきまで手球に取っていた。あらゆる戦局に彼の手は伸び、影から支配していた。しかも、彼がお膳立てした戦いは常に清爽な結末が用意されていた。時には決闘の舞台を整えてランサーに騎士の本懐を遂げさせ、時には暴走を始めたキャスター陣営に早期に刃を下し、時には胸の炎を失いかけていたアサシンに再び情熱を滾らせた。彼は、苛烈な命のやり取りの内にも“華”があり、“ルール”があることを心得ていたのだ。
さらに特筆すべきは、民間人の犠牲者をまったく生じさせていないことだ。罪のない者は決して巻き込まず、巻き込もうとする陣営は容赦なく罰せられた。彼のサーヴァントはもっとも扱いづらい|狂戦士 《バーサーカー》であったにも関わらず、ただの一度も暴走はせず、その真逆に一流の騎士の如き理性と正義に裏打ちされた振る舞いを貫いている。それがマスターの才幹によるものであったことは明白である。熟達する毎に人道の概念から遠ざかっていく|魔術師《いきもの》として大成しながら、彼はヒトの道を絶対に踏み外そうとはしなかった。徹頭徹尾、その強大な力の使い方を誤ることは無かった。
「斯く在るべき」と理想の背中を魅せつけながら、どの陣営よりも遥か先を歩む男。
後世にまで語り継がれるその名を、間桐 雁夜という。
聖杯戦争8日目
‡雁夜おじさんサイド‡
「ねえ、桜ちゃん。へ、変じゃないかな、この服? 似合ってるかな?」
「もう、おじさんは本当に心配症なんだから。バーサーカーが頑張ってくれたんだから、もっと自信を持ってもいいんだよ。ねえ、バーサーカー」
「ぐ~るる~ ┐(´∀`)┌」
やれやれまったく、とでも言いたげに両肩をあげた鎧姿の大男に「うるさい!」と怒鳴りつけ、もう一度背広の襟元を整える。あと数時間後に迫ったセイバー陣営との協議に望むために無理やり着せられたものだ。バーサーカーの手によって細部まで糊付けされているから乱れる心配はないのだが、高級な背広を着慣れていないだけに心許無いのだ。
「ぐるっぐるっぐるっ」と気味悪く喉を鳴らしながら―――おそらく笑い声なのだろう―――バーサーカーの背中が応接間に消えていくのを横目に確認し、改めて身に纏っているスーツを見下ろす。
(……さすがバーサーカーだな。悔しいけど、完璧だ)
藍色の下地に黒のチョークストライプが走るこの上等な背広とスラックスは、元々は兄貴の所有物だった。クローゼットの奥で眠っていたものを桜ちゃんとバーサーカーが探し出し、嫌がる俺を裸に剥いて寸法を調節して再び俺に着せたのだ。ブリオーニ製らしく、光沢のある生地は厚いのに重さを感じさせず、パリっとしているのにしなやかで、身体の輪郭にしっかりとフィットしているのに窮屈さは感じない。通常、高級メーカーのスーツはオーダーメイドで仕立てあげるものだから、別人が着ると着心地が悪い。だというのに、バーサーカーによって修正されたこれらはまるで最初から俺のために作られたかのような着心地で、自然に心まで引き締まるような清々しい感覚すら覚える。協議の場にも十分に相応しい服装だ。
そんな大偉業を片手間に終わらせてみせたバーサーカーの器用さにはもはや驚くまい。宝具化したハサミやらミシンやらでひょいひょいと分解して再び縫い合わせていく作業の工程は職人の域を超えた芸術的な何かだった。恥ずかしいから面と向かって素直に褒めてやらないが、出来栄えは最高だ。馬子にも衣装とはこのことで、背広の出来栄えに関しての心配は微塵もない。心配なのは、|馬子《おれ》の方だ。
(顔がこんなんじゃあ、いくら服の見てくれがよくたって……)
心中に重く呟き、顔の左半分をなぞる。手触りこそ異常は感じないが、それも慣れによるものかもしれない。だが、そこには間違いなく爛れて醜く崩れた顔面がある。忌むべき妖怪、間桐 臓硯が施した悪夢のような処置によって急造の魔術師となった雁夜は、その反動で肉体の大半を障害に蝕まれることとなっていた。髪の毛は残らず白髪となり、肌も黄ばんで、顔面の左半分が荒れ果てた。身体中の筋肉はゴッソリと削げ落ち、内臓も機能不全となり、身体中ボロボロだ。ゾンビという比喩が的確すぎて、まるで自身のために用意された言葉だと自嘲すら浮かぶ。魔術師であれば、この醜態を一目見ただけで急拵えの欠陥魔術師だと察することが出来るだろう。それではセイバー陣営に足元を見られ、こちらの分が悪くなるだけだ。かと言って協議を無視すれば、バーサーカー陣営には根城から出られない事情があるのだと勘ぐられ、間桐邸を襲撃される可能性が出てくる。そうなれば、桜の身に危険が生じてしまう。それを防ぐためにも“|間桐雁夜の根城《・・・・・・・》|には襲う価値がない《・・・・・・・・・》”と思わせなければならない。
「はぁ……」
せめて仮面か何かで顔を隠すべきかと悩み、自身の顔すら直視できない情けなさに暗い溜息をついていると、不意に隣から桜の呆れ声が投げかけられた。
「ねえ、おじさん。もしかして最近、鏡で自分の顔見てないでしょ」
「え?」
ムッとした呆れ顔で見上げてくる桜に、雁夜は困惑する。自分の顔におぞましさを覚え始めてから、雁夜は鏡を見ることを意識的にも無意識的にも避けていた。だから、ここ数日は自分の顔を見ていないのだ。不機嫌そうな桜の表情を測りあぐねていると、ふと、桜が自分の顔を真っ直ぐに|直視できている《・・・・・・・》ことにようやく気付いた。
(……そういえば、最近、俺の顔を怖がってない)
聖杯戦争開始前、まだバーサーカーが現れず、二人が臓硯の支配下にあった頃は、廊下で出くわす度に桜は雁夜を見て恐怖に身を竦めていた。闇夜にトイレを目指していた最中、偶然にも同じ目的地を目指して廊下の角からぬうっと出てきた雁夜に遭遇した時など、「ばいおはざーど!」などと叫んでばったりと気絶していたものだ。
「さ、桜ちゃん、おじさんの顔が怖くないのかい?」
「あーっ! やっぱり気付いてなかったんだね! はい、手鏡!」
「え、でも……」
「いいから、鏡を見てみて!」
痺れを切らした桜が「まったくもう!」と頬を膨らませてずいと鏡を手渡してくる。雁夜にとって、死に絶えて腐っていく顔面は朽ちていく己の命の写しだ。直視する度に確実に近づいてくる“死”の腐臭を感じて悔しさに歯噛みしていた。それを敢えて見てみろという真意がわからず、雁夜は戸惑いながらもムッツリ顔で己を見上げる桜に気圧されて躊躇いがちに小さな手鏡を覗く。
まず緊張に引きつる顔の右半分が映り、ゆっくりとゾンビのような左半分が映り―――醜いはずの、左半分が―――………
「|おじさんの顔《・・・・・・》、|とっくに元に《・・・・・・》|戻ってるんだよ《・・・・・・・》!」
‡バーサーカーサイド‡
さあさあ、やって来ました聖杯戦争8日目! 原作なら今夜に凛ちゃんが冒険に出てトラウマ覚えたり、アインツベルン城での王様酒盛りイベントがあるんだけど、この夢のお話ではそうはなってなくて、なんとバーサーカー陣営とセイバー陣営の協議が正午に言峰教会で行われる日になってる! キャスターを倒した陣営に令呪が進呈されるということで、共闘して打ち倒したセイバー陣営とバーサーカー陣営にお呼びがかかったのだ。原作では見向きもされなかった雁夜おじさんも出世したもんだ。
しかもその席で、セイバー陣営からの大切なお話があるという。原作では、ライダーとバーサーカーへの対処に不安を覚えた時臣おじさんがセイバー陣営を教会に呼び出して共闘を要請していたし、これもその流れなのかもしれない。この原作との乖離もイレギュラーである俺のせいなのだろうか? いやいや、まさかね! 俺ほとんど料理してるだけだし!
そんでもって、そんな大事なイベントを控えた俺が何をしているのかというと、応接間と、気合の入ったゴチソウの準備だ。なんでこんなことをしているのかは後でちゃんとわかるのだ。
さて、間桐家の応接間は、妖怪爺さんの趣味だったのか、広いくせにどんよりとしていて監獄みたいだった。そういうのは、これからもここで暮らしていく雁夜おじさんや桜ちゃんの精神衛生上とっても良くないから、ムダに分厚いカーテンを全部ひっぺがして雑巾にした後、窓辺に物を置かないように家具の配置換えをしたり、壁に必殺バーサーカーパンチをかまして採光兼換気用の窓を拡張したりしました。もちろん、家の強度を維持するため増強工事も同時進行です。
というわけで、とび技能士と建築士とリフォームスタイリストとインテリアコーディネーターの資格を持つ俺の手に掛かれば、陽の光をふんだんに取り入れた暖かな応接間の出来上がりってわけですよ。カーテンは青空みたいなコバルトブルー色にしました。生地は薄いけど断熱性は抜群な信頼のスイス製なので、昼間は日光だけで十分明るい! キャンドルスタイルの照明器具はそのままにして管球の明度をグレードアップしておいたから、夜は古風な雰囲気を保ちつつも部屋全体が明るくなりました。カーテンと濃藍色の絨毯とのグラデーションも完璧です。黒檀のテーブルもマホガニーの椅子も家具用ワックスでピッカピカに磨き上げたから、まるで喜んでいるみたいに輝いてる。最後に、だだっ広いテーブルの上にバロック様式のアンティーク燭台を載せれば―――――なんということでしょう! おどろおどろしいお化け屋敷の一室が、まるで一流ホテルのような洋風応接間に早変わり! これにはタラちゃんもビックリして変な足音立てなくなっちゃうよ! あの足音、どんな走り方すれば出せるんだろうね!
腰を入れて改装した甲斐があって、我ながら完璧な出来栄えに大満足。よしよし、後は昨夜から下拵えしていた料理を完成させなければ。塩漬けにした牛肉がちょうどいい塩梅に引き締まってる頃だろう。
―――などと余った家具用ワックスで自分の兜も磨きながら応接間の完成度に惚れ惚れしていると、ドタドタと廊下を走る音が近づいてきた。この落ち着きのない足音は雁夜おじさんだな。ついこの間まで半身不随だったのに元気だなあ。
「ば、バーサーカー、ここかっ!?」
「ぐる?」
どうしたんだい、そんなに慌てて部屋に飛び込んできて。せっかくの背広がシワだらけになっちゃうぞ。またアイロン掛けしないといけなくなるじゃないか。
息を荒げるおじさんの様子に首を傾げていると、突然頭をガバリと上げてずんずんと俺に歩み寄ってきた。俺の目の前に顔をぐいと近づけて、その左半分をビシッと指さす。
「この顔を見てくれ。こいつをどう思う?」
「うごご……ぐるるるる……」
すごく……普通です……ってなに言わせるんだよ。
俺の答えで確信を得たらしいおじさんが、それでもまだ信じられないのか自分の顔をベタベタと撫で回す。心配しなくても目と鼻と口以外は何もついていないぞ。採寸するために裸にひん剥いたせいでおかしくなっちゃったのか?
「な、治ってる! 髪も元通りに黒くなってる! そういえば、両目ともちゃんと見える! な、なぜだ? お前、何かしたのか!?」
ああ、なるほど。奇行に納得してガチャンと手甲を叩く。どうやら今さらになって自分の顔が元に戻っていることに気付いたらしい。どんだけ鏡を見てなかったんだか。
その通り! 何を隠そう、それは俺の仕業なのだ! キッカケは、オジサンたちのためにグリーンカレーを作っていた時のことだ。弱っていく桜ちゃんと余命わずかのオジサンを救いたいが、第四時聖杯戦争の時点での聖杯は、前回に脱落した|この世の全ての悪《アンリマユ》に侵食されていて使えない。さてどうしたもんかと頭を悩ませていたら、ふと宝具化した調理器具が目に入った。それはランスロットの固有宝具である『|騎士は徒手にて死せず《ナイト・オブ・オーナー》』の効果の発現だということはすぐにわかったが、それが持つ絶大な可能性について閃いたのは本当に偶然だった。グツグツとカレーが煮える音が、間桐家に置いてあった古臭い鉄鍋のそれではなく、もっと高価な―――まるでル・クルーゼ製の一級の鋳物鍋のような心地良い耳あたりだったのだ。鍋の蓋を開けて菜箸で具材をつついてみれば、先ほど投入したばかりの人参に吸い込まれるように刺さった。ホクホクに温まっているのに繊維がまだしっかりとしていてグズグズに崩れていないのは、ムラなく熱が通っている証拠だ。旨みと栄養をたっぷりと保持したままスパイスの味がじっくりと芯まで染み込んでいくのが目に見えるようだった。火に掛け始めたばかりとは到底思えない具材たちを丹念に見回し、俺は「この手があった!」と確信した。
『手にしたモノに宝具属性を付与する』―――かつて、丸腰だったランスロットが敵の罠にかかり、拾った木の枝だけで重装備の敵集団を相手取って勝利したエピソードを由来とする能力だ。原作ではただの鉄パイプを宝具化させて、セイバーの聖剣エクスカリバーと互角に切り結んでたくらいに協力な能力だ。だったら、鍋やらまな板やら包丁やらを宝具化すれば、それで調理された料理にも効果の一部が現れておかしくない。その証拠がこの美味そうな匂いを立たせるグリーンカレーだ。要するに―――聖杯が呪われていて頼れない状況で、桜ちゃんと雁夜オジサンの衰弱していく命を早急に助けるために俺が考えて実行しているのは、単なる『食事療法』なのだ。
おっと、回想してたら塩漬け肉のこと忘れてた。他にも色々と準備しないと間に合わなくなる。
「お、おい! 待てよ、バーサーカー! まだ質問の答えを聞いてないぞ!」
日夜、古い細胞と新しい細胞が入れ替わっていく人間の肉体は、口から食べた物によって形作られる。昨日食べた食事が今日の身体を作っているわけだ。第五次聖杯戦争のセイバーも、食べ物を摂取することで魔力の補給と傷の治癒を行っていたくらいだ。ならば、奇跡の料理を食べて作られた新しく強い細胞は少しずつ古く悪い細胞を駆逐し、取って代わり、やがて最後には間桐の呪いを克服するというわけだ。
管理栄養養士の資格を持つ俺でも魔術の悪影響を打ち消す献立作りには苦労した。主食には出来立ての炭水化物、主菜には良質なタンパク質、副菜には豊富なビタミン、鉄分、カロテン、ミネラル、その他デザートやオヤツには乳製品や果物を積極的に食べてもらった。冬木市の商店街は新鮮な旬の食べ物が豊富でだいぶ助けられたが、しょせん擬似宝具なのでランクもDと最低レベルだ。効果には限界がある。そんな悩みを抱えてる中で、港湾区戦でギルガメッシュの宝具を奪えたのは大きかった。夜の埠頭でサーヴァントたちの初邂逅があった中、ギルガメッシュが原作通りに俺に向かって宝具の雨を降らせてきた歳、丁度いい短刀型の宝具を投げてくれたので、ありがたく頂戴させてもらったのだ。今では包丁として立派に役に立ってもらってます。アーチャーの宝具は最低でもAランクなので、当然、料理に宿る効果も今までとは比べ物にならない。斬りにくい豚のレバーも薄紙のように歯が通る。オジサンは原作で吐血ばっかりしてるイメージだったから、豚レバーをごま油と砂糖醤油で炒めた甘辛焼きをたくさん食べて血を増やしてもらおう。
あ、そういえば今ここにオジサンいるじゃん。何か質問されてたような気がするけど、そんなことなかったぜ。ちょうどいいや、ちょっとコレ味見してみてよ。
「俺の質問に答え―――ぶわッ! い、いきなり味見させようとするな! 今はいらなぃいいうごぉおごごごお!!」
うごごって俺の真似? えー、なにもう、やめてよ、なんか照れるじゃん(*´∀`)
ほらほら、遠慮しないで食べてよ。もうすぐセイバー陣営との大事な話し合いなんだから、俺のマスターとして恥かかないためにもガッツリ精をつけてもらわないとね!!
「おいひい! くるひい! おいひい! ひゃめろぶぁわさぁぐぁおごご!!」
オジサン、ついこの間まで身体を引きずってたのに、今じゃエグザイルみたいに元気にヒップホップダンス踊っちゃってまあ。レバーには精力増強の効果もあるからね。スッポンの乾燥肉をチップにして入れたから効果は絶大さ。うんうん、一人でチューチュートレイン踊るくらい喜んでもらえて俺も嬉しいよ。
……おや、桜ちゃんが戸口の方から何とも言えない顔でボクたちを見ているよ。きっとオジサンの必死のダンスに見惚れているんだね。
「バーサーカー、“必死”って字はね、“必ず”“死ぬ”って書くんだよ? オジサンのホッペタが実写版ハム太郎みたいになってるからそろそろ止めてあげたら?」
あ、いかんいかん。味見してもらうつもりが全部口に放り込んでしまった。オジサンがグッタリしている。大丈夫? 結婚する?
「……ふ、」
ふ?
「ふおおおおおおおおお!! 今なら時臣も素手で倒せそうな気がするぞおおおお!! ふひょおおおおお!!」
シンバルモンキーみたいに面白い動きしてる。よかった、いつも通りのオジサンだ。
「全然いつも通りじゃないと思うけど、元気そうだし大丈夫だよね。でも、いいの?」
「ぐるる?」
「“なにが?”って、もうすぐ教会で大事なお話し合いがあるんでしょ? そこに、オジサンとバーサーカーは行かないといけないんだよね? オジサンがこんなに・・・」
価値がないと思わせる。
(ここまで)
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映画いいなぁ
死んじゃいますよ(´д`|||)
夏コミいいなぁ
私は休み取れませんでした。
バーサーカーの更新お疲れ様でした