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ギャングスター with TS娘(途中)

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「まさか、アンタが俺たちのシークレットパーティーに来てくれるとはね、ミスター・ケイヒル」
「“眼帯のケイヒル”殿か、噂通りの硬派な見た目してるぜ」

 ジョンとジョニー兄弟の握手をにこやかに受け取り、俺は顔面に筋肉を総動員してにこやかに応対した。いかにも余裕綽々な男を装うのは想像以上に難儀だが、兄弟はそんな心の内を見抜けず、俺のことを剛胆で油断ならない男と感じ取ったらしい。握手に力が籠もる。この矜持もくそも持ち合わせていないクズどもになんぞ一目置かれても嬉しくもなんともないが。
 
「実は、俺もついに身を固めることになってな。まあ、妻の紹介がてら、ご近所さんのパーティーにちょいと顔を出させてもらったってところさ」
「へえ! アンタもついに結婚かい」
「お相手はどんないい女なんだよ、ええ?」
「それならもうすぐ──ああ、来たな。ソフィー、こっちだよ」

 どよめきが起きた。否、さざ波のようなどよめきを引き連れて、彼女は颯爽と現れた。濡れたように艶やかな黒のカクテルドレスに身を包んだ、若く美しいブロンドの女。肉付きのいい脚線美をレースに透かして見せつけながら、槍のように長い手足を優雅に振って歩む。雲のように豊かな髪はほんのりとしたピンクゴールドに輝き、ぱっくり開いたドレスの背中で輝いている。控えめのルージュを引いた唇が熟れてはち切れそうなサクランボのようにぷるぷると震える。10人中10人があまりの美しさに振り返って首を痛めるほどの美女が、俺のもとへ微笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
 ソフィー。我が妻の“役”にして、この1年間の苦労の結晶、そして──現役のSAS(イギリス特殊空挺部隊)隊員で、中身は男だ。


~1年前~

 俺はギャングだ。伝統あるアイリッシュ・ギャングの若頭として、19世紀からこの22世紀まで続く歴史ある組織を引っ張っている。先代のボディガードとして雇われてから5年。廃人寸前だった俺を拾ってくれたオヤジへの大恩を返すために苦労の連続だったが、今こうして実力を認めてもらえたことでその苦労は実った。しかし、新興の奴らが手を染めるような人身売買やら違法電子麻薬やらといった、安易で糞みたいな商売には一切手を出してねえ。それが俺の、いや俺たちの誇りでもあった。社会から追い出されちまった連中の掃きだめだが、掃きだめにも意地と誇りがある。

 そんなある日、突然、俺の事務所を一人の女が訪ねてきた。脱色気味の茶髪に、地味一歩手前のトレーナーとジーンズ。女とも言えない、ようやく女らしい肉がついてきたばかりの年頃だ。俺のストライクゾーンにはあと一歩といった年齢だが、モデルのように背が高く、とかく美形だった。化粧っ気がなくてもダイヤの原石であることが見て取れる。花屋のショーウインドウで隅っこの彩りを担っているような感じだ。見た目だけでは、単身でギャングの若頭に、しかもアポイントメント無しに会おうなどという見上げた胆力があるようには思えなかった。

「なんだ、お嬢ちゃん。うちは未成年の売春の斡旋はやってねえぞ」

 未成年の、というのが味噌だ。娼婦の斡旋はやってるが、うちは業界内じゃトップクラスの優良を自負している。少女は、どう見たってあと1、2年ほどはアウトな年齢だ。娼婦からのし上がる女は今時珍しくないが、他にも選択肢があるはずだ。娼婦というのはなかなか抜け出せない職業だ。

「知っている、ミスター・ダン」

 俺は内心でウッと呻いた。嫌な話し方だ。いかにも稚気を残した少女の性質なのに、硬質で、高圧的で、暴力的。こんな話し方をする奴の心当たりは世の中に2種類しかいない。警察か、あるいはもっと悪いもう一つだ。その上、俺がギャングに入った当時に捨てたはずの旧姓を知っているとくれば警戒せざるを得ない。氷のマスクの美少女が不意に俺のデスクのホログラム電話を指さす。

「電話が来る」
「なに?」
「3、2、1」

 電話が鳴った。図ったようなタイミングだ。セキュリティ対策として、業者に高い金を払い、相手の顔が強制的に立体表示される設定のはずだ。だが、今回の相手は映像は出ないよう厳重に処理してあった。ノービジョンの表示のみが宙に漂っている。かろうじて認識できる通話相手名は──おい、ふざけるな。

『久しぶりだな、ミスター・ダン。ベルファストの一件以来だな』
「・・・ええ、ミスター・ブリティッシュ」

 今日は厄日になる。瞬時に覚悟を決めた俺は指の動くに任せてパルタガス(葉巻)に火をつけて豊かな煙を燻らせる。とっておきのキューバ産だが、こういう時ほど気を落ち着けるためにとっておきを使う意味がある
 相手は、第22SAS連隊ーー通称SASの元将校で、イギリス軍との窓口でもある男だった。何を隠そう、俺たちは裏でイギリス軍と繋がっている。ギャングが生き残るために一番必要なのはコネだ。俺の場合はこの男だ。男と直に顔を合わせたことはない。最初から電話のみの接触だ。おそらく俺より20は年上だ。元将校というのも相手の自称で、本当かどうかはわからない。重厚感のある声は威厳たっぷりだが、その重みを自在に変化させうるだけのトークスキルと、常に自分のペースを保持し続ける知識を備えている。おまけに過剰なまでの自信家で、それを否定しない優れた男だ。欠点は唯一、偽名のセンスだ。ミスター・ブリティッシュだって? いつ考えてもふざけた偽名だ。だが、この男からの電話には常に重要な意味があった。組織の今後を左右するほどの。
 俺は横目で少女を見る。冷たい視線ーー軍人がする目だ。既視感の理由がわかった。きっと軍属の少女だ。新兵か?それにしちゃ仕草が堂に入っていすぎるが。

「ミスター、この娘はアンタの関係者ですかい? 随分と礼儀知らずだ」
『言葉に気をつけたまえ、軍曹』

 強めの台詞とは裏腹に、電話の向こうでは笑っている気配がした。軍曹──俺とSASとの腐れ縁を表す呪いの言葉だ。俺は5年前までイギリス軍に所属し、退役する最後の1年間はSAS隊員として最前線で戦った。ブリティッシュはそれを知って俺に接触してきた。エルサレム戦線での過酷な戦いで負傷除隊しなければ今頃は英雄にでもなっていたかもしれない。元SASの肩書きは俺に箔をつけてくれた一方、こうして厄介極まる面倒事を引き連れてくる。

「元、軍曹ですぜ。もう軍人じゃない。くそったれめ。それに、気をつけろって一体どういう意味です?」
『言葉通りさ。なぜなら、今君の目の前にいるのは、現役のSAS隊員だからだ』
「は?」
 
 理解が追いつかず、思考が空転した。現役といったか?二十歳にも満たないようなこの少女が?
SASの選抜試験は間違いなく世界一過酷だ。教官だって訓練中に死ぬ。150人近くの志願者がいても、最終試験の時には2、3人になるあんてザラだ。最終的には合格者がおらず、死者だけ出したなんてこともある。それくらい厳しい部隊なのだ。それをこんなやせっぽっちの少女が通り抜けただなんて、悪い冗談だ。鼻で笑おうとして、ブリティッシュに遮られる。

『また、正確には“彼女”ではない。“彼”だ。名前はソフィー。もちろん、彼の誇りに誓って本名じゃない』

 “彼”? だが、どう見ても顔も体つきも女だ。見つめる中、目の前の美少女が初めて感情らしい感情を見せる。どうやらソフィーという己の名前の響きが気にくわないらしい。不機嫌そうに腕を組んでそっぽを向いた。俺の疑問を難なく見抜いたブリティッシュが付け加える。

『任務で大けがをした彼に再生治療を施し、ある特殊任務のために少女になってもらった』

 肉体のほとんど全てを作り替える技術自体は22世紀初頭に実用に向けて研究されていると聞いたことはある。義肢や義体に変わる画期的な医療技術だ。再生医療の研究が盛んなアメリカや日本では実験がされているとネットニュースで読んだ。しかし、この国で実際に行われたというのは初耳だった。しかも軍人に、秘密裏に。

『さらにいえば、ソフィーは君より実年齢は4つ下だが、階級は君の最終階級より高い』
「なんだって? そ、曹長?」
『少尉だ』
「士官じゃねえか──!?」
 
 叩き上げの軍人というのは、とにかく士官という存在に恐怖を覚える。二等兵にとって士官というのは悪魔と同じようなものなのだ。俺は反射的に椅子を弾き飛ばして立ち上がった。25歳で士官でSAS隊員。将来が約束されたエリートだ。激しい物音に、ドアの外でギョッと驚いた手下の気配がした。慌てて「なんでもねえ」と声を投げて侵入を思いとどまらせる。

『今回の任務はMI5からの強い協力要請でね。政府の要職も絡んでいるとくれば無下にはねつけるわけにも行かない。君の裏社会での広いツテが必要不可欠なんだ、ダン』
「そのことと、この女──いや、ソフィー少尉殿とどういう関係が」

 女、と言われたことにまたもや強い不満を覚えたのだろう。中身と外見が違う美少女がじろっと睨んできて、慌てて訂正する。どうやら、心の底から望んでこの任務に身を捧げたわけではないらしい。なにか事情があるのだろうが、今はそれどころではない。俺は事態をどうにか飲み込もうと、足下に落ちた葉巻を拾い上げながらブリティッシュの次の台詞を待つ。

『ソフィーをジョンのパーティーに潜入させろ』
「なに? なんで俺が商売敵のギャングのパーティーに参加なんて。薄汚えハイエナみてえな連中だ。しかも奴らのシークレットパーティの開催は来年、1年後だ」

 ジョン・・・ジョン&ジョニーブラザーズ会計事務所。表向きは中小企業向けの会計事業者で、裏の顔は新興ギャングの元締めだ。子どもを食い物にする電子麻薬でも何でも、金になると思えば考え無しに手を出し、ヤクザともチャイニーズマフィアとも平気で手を組む下品な奴らだ。俺の組織とは犬猿の仲で、先代の時代には危険な抗争にも発展した。俺が若頭となってからは抗争手前ぎりぎりに俺が出て行ってようやくその場を鎮火させているが、いつ暴発が起きるやらという不安を常に抱えている。

『その通りだ。だが、君の立場なら参加できる。理由は幾らでも作られるだろう。例えば、そう、“妻を娶ることになったから、その紹介がてら顔を出した”などとな』
「妻? 待ってくれ、俺は独り身だし、女とは最近別れたばっかりだ」
『そんなこと知っているさ。アメリアのことは残念だったな。だがもう心配ない。そうだろう?』

 意味ありげな口調と、目の前に派兵されてきた美少女の姿をしたSAS隊員の紐がぴったりと結合した。結合なんてしてほしくなかった。

「おい、冗談だろうミスター」

 唇の端が引き攣るのを抑えられない。ソフィーが露骨に俺から目をそらす。

「俺はノーマルだ」
『今は女だ。全てにおいて完璧な女性だ』
「ストライクゾーン圏外だ」
『あと1年もすれば圏内に入るだろう。二次成長期で設定されている』
「ギャングの女にしては女っ気も飾りっ気もなさすぎる」
『君が育ててやれ。1年ある。たっぷりと手塩をかけて、立派なレディにするんだ』

 なんてこった。俺はどっかと椅子に腰を落とした。全ての反論に対してすでに答えが用意されている。こうなっては、俺にはどうすることもできない。どだい断るという選択肢をもたない俺には、これ以上いくら抗弁しても無駄だ。




(眠くなってきた。リハビリがてらに描いてみました。反応があればあと少し頑張って描きたい。)
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