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【最終話】勇者パーティーをクビにされた村人♂、女騎士になる【試作途中】

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 クリスを失ってから2日が過ぎた夜。
 固く締まった砂の小道を踏みしめる音が四人分、夜の闇に響いていた。

「ハント。今から、ある有力な司祭に会ってもらうわ」

 地方ではもっとも大きな教会の|正面玄関《ファサード》に私の固い声が反響する。“教会は質素であるべき”という不文律が守られなくなっているのは首都の豪華絢爛な大聖堂を見れば一目瞭然だが、地方でここまであけっぴろげに暗黙の取り決めを破っているのは初めて見た。広大な敷地、10頭以上の馬が入りそうな馬場、分厚い壁、小さな窓、高い塀とくれば、教会というより“要塞”といった感が強い。とはいえ、この教会と教会区を治める特殊司祭は非常に顔が広いと評判で、枢機卿にも顔が利くという噂だ。彼に会うことが、これからの私たちの活動に大きく影響する。
 それに対して虚ろな目のハントが力なく頷く。耳に入っているけど頭には入っていない。心ここにあらずといったハントに、それでも説明をしないのは不義理になるからと放り出さずに話を続ける。

「貴方たち───いいえ、私たち勇者パーティーがこの世界で不自由なく行動できるのは、世界最大の王国であるガメニア国王陛下のお許しを得ているから。陛下から賜った特別な黒印状のおかげで交渉や折衝を円滑に行うことができた」

 その交渉や折衝を、私がいない時は“誰”がやってくれていたのか。そこについては敢えて言及しなかった。私の当てつけるような物言いが刺さったのか、表情を後悔で暗くする魔法使いと武闘家にチラリと目線を流し、再びハントの目を真正面からじっと見据える。

「でも、それと同時に王立教会も援助をしていることはわかっているわね。王国の出先機関はせいぜい規模が大きな街にしか無いけれど、教会なら地方の村にだってある。だからこそ、私たちは見知らぬ土地でも活動できていた。これからはそのサポートをより手厚く行ってもらわないといけない。情報提供や物資の補給といった支援をしてもらわないと、私たちは活動できない」

 その役目を担っていた人を追い出して、殺してしまったのだから。言外に込めた私の糾弾に顎をさらに下げて重苦しげに俯くハントの胸板を真っ二つになって短くなった杖で軽く小突く。

「しっかりしなさい。貴方は『勇者』よ。コリエル神がこの世に遣わし給うた希望の光。爪持たぬ弱き人々の盾となり、魔の闇に切り込む剣となる者。己の役目を自覚しなさい」
「……僕には……僕だけじゃ、そんな大役……|アイツ《・・・》がいないと……」
「狼狽える自分がいるのなら、そんな自分はいますぐ殺してしまいなさい。神託通りに“もうひとりの女勇者”とやらを見つけるまでは、貴方は自分自身のみという片翼で飛び続けなければならない」

 いよいよ絶望して表情を石のように硬質化させるハントの腕をそっと優しく擦ってやる。

「でも、私たちが支えてあげる。そのために私たち仲間がいる。そうよね、二人とも?」
「ああ、俺は腹をくくったぜ。もう取り返しはつかない。だから、自分に出来ることはなんでもやる。ハント殿、俺はアンタについていくよ」
「わ、私は……私は、|あの人《・・・》に酷いことを言った。そのせいでこんなことになった。償いを、したいの。会って謝ることはもう出来ないから、あの人がやろうとしていたことの手助けをしたい」

 武闘家と魔法使いの絞り出すような決意に、淀んでいたハントの目に僅かながら生気が差し、色味が戻る。

「……リン、君も僕を支えてくれるのか?」

 声によそよそしさが滲まないように全身全霊の精力を込めて微笑みを形作る。

「支えるわ。全力で支えてあげる。|貴方が勇者であるかぎり《・・・・・・・・・・・》」

 これまでより少しだけ生気を取り戻したハントが小さく頷く。私はハントを許さない。私から|初恋の人《クリス》を奪ったハントを決して許しはしない。けれど、彼はハントを信じていた。ハントなら魔王を打倒できると信じて、ハントを支え続けた。彼がやろうとしていた|目的《こと》、彼が救おうとしていた|世界《もの》は、守らなくてはいけない。彼の役目を私が引き継ぎ、私がハントを支える。彼ならきっとそれを望むはずだと思った。

「」




私の家、あんまり裕福じゃなかったの。平民よ。その日を過ごすだけで精一杯。兄姉が五人もいるのよ。

唐突な告白に、驚愕のあまり無言を返すしか出来なかった。この魔法使いの少女はいつも高飛車で、生意気で、お高くとまっていて、そういうところから貴族出身に違いないと思いこんでいた。

貴族の出だって思われたかった。私の家系は大したことないクラスしか輩出しないのに、私だけ運良く『魔法使い』として生まれることができた。お父様とお母様───ううん、お父ちゃんとお母ちゃんは、アタシのために必死にお金を稼いでくれて、私を魔法学園に通わせてくれた。アタシ、一生懸命に頑張ったの。周りはみんな代々魔法使いのクラスを受け継ぐ裕福な家柄出身で、そいつらを見返してやろうってとにかく勉強した。そうしたら、いつの間にかトップになってた。お父ちゃんもお母ちゃんも喜んでくれた。もっと喜んでもらうにはどうすればいいか考えて、勇者といっしょのパーティーに入ったら家の格も上がるんじゃないかって思った。本当に貴族になれるんじゃないかって。

私も武闘家も黙したまま耳だけを傾ける。魔法使いの声がだんだんと湿り気を帯びていく。

アタシ、頑張ったの。いっぱい本を読んだわ。それこそ暗記するくらい。先生の言うことを全部学んで、先生から吸収できることは全部吸収した。知らないものなんか何にもないと思ってた。……なのに、あの人には敵わなかった。

同じ平民出身なのに、アタシが知らないことをたくさん知ってた。アタシの魔法じゃ出来ないことをなんでも出来た。アタシね、悔しかったの。クリスを前にしてると、あんなに頑張った努力が意味のないものだったみたいに思えて、それで鼻を高くしてた自分が恥ずかしかったの。


「俺の兄貴は、騎士団にいるんだ」

 その弱々しい吐露が巨漢の武闘家のそれだと気が付くのに数秒を要した。

「騎士団って……」
「第二近衛騎士中隊……第二王子殿下の『青の団』ってやつさ」

 ミネルヴァ王子率いる第一近衛騎士中隊『赤の団』が武力に長けているとすれば、第二王子傘下の『青の団』は|謀《たばか》り事に長けているとされている。頭脳明晰な者が選ばれ、諜報活動や作戦立案が主な任務だ。その都合上、信用のある家柄の者しか選ばれないと言われ、腕っぷしだけで認めて下さるミネルヴァ王子と違い、『青の団』に入団するには本人の実力だけでは無理とされている。そこに兄が属しているということは、武闘家の実家は相当に格式高いということだ。
 いつに無く声の細い、絞り出すような告白があとに続く。

「俺の親父も高名な剣士だった。その親父も、そのまた親父も。俺の家は『剣士』の家系なんだ。立派な家系図を見せられたよ。先祖はそれはそれは立派な剣士だったって。そんでもって……それで、|父上《・・》は俺にこう仰られるんだ。“どうしてお前は剣士じゃないんだ”と。いつも、いつも、|落魄《らくはく》した者を見る目つきで」



 常のいかにも武闘家然とした粗野な話し方が一変して古風で堅苦しい言い回しになる。きっと、そちらが本来の彼なのだろう。筋骨隆々な肉体が萎んだように小さく見える。胸襟を開いた魔法使いに感化され、彼もまた隠していた胸のうちを曝け出そうとしていた。

「俺は悔しかった。生まれ持ったクラスが『剣士』じゃないというだけで、どんな努力も認めてもらえない。見返してやりたかった。父上を、兄上を、周囲の見下してくる者たちを、見返してやりたかったんだ」
「アンタも、同じだったんだ……」

 魔法使いの染み入るような声に武闘家はしおらしい頷きを一つ返す。二人とも、自分のことをほとんど語ってこなかった。

「」












「リン・ガーランド高位神官殿、司祭様がいらっしゃいました。謁見の間へどうぞ」

 影のような僧兵が控えの間に座る私たちに声をかけてきた。ふと、なんとなく彼に違和感を覚える。司祭の近くには護衛として僧兵が控えているのは不思議ではないけど、なんだか気配がピリピリとしているように感じた。小領主の城なみに大きな教会なのに、僧兵の人数は少ないし、無表情の裏側で負傷を我慢しているような雰囲気だった。訝しる私の視線を、僧兵はまるで一流の暗殺者のように鋭敏に察してさっと顔を背けた。だけど、そのことで逆にひどい裂傷を負った首筋を私にさらけ出すことになってしまった。

(僧兵が、誰かと戦った?)

 |あり得ない《・・・・・》とせせら笑う自分と目撃した傷跡がぶつかり合う。王立教会の僧兵は、あくまで自衛のための最低限の武力でしかない。積極的に戦うなんてご法度のはず。けれど、鉢植えの椰子の影に隠れるように控えた僧兵の傷はとても深く、そして新しかった。野生動物に襲撃されたのだろうか。それにしては鋭利な傷だった。そういえば、ここに来る途中で複数の馬の足跡が散見された。だいぶ焦っていたらしく、台地に深く食い込んでいたことを思い出す。|何かを追っていた《・・・・・・・・》?

「リン殿、行かないのか?」
「え、ええ。行きましょう」

 私が抱いた違和感は、次の瞬間に目撃した司祭の顔面によって吹き散らされることになる。

「|マドソン司祭様《・・・・・・・》!ご尊顔をどうされたのですか!?」





「ルナリア姫様に謀反の兆し!?まさか、そんなことがあるはず……!」
「しかし、私の傷が何よりの証だ。見給え、リン。コリエル神の御心によるお救いがなければ私の頭は二つと分けられていただろう。姫様は狂乱状態で、コリエル神に対して口の端にも乗せられぬほど恐ろしいことを|嘯《うそぶ》きおったのだ」

 血の滲む包帯に巻かれたマドソン司祭の痛々しい顔を見て、気分が悪くなった。これほど|善良な人《・・・・》を斬り付けるなんて、常人の出来ることじゃない。

「たった一人で説得に訪れた無防備の司祭を殺そうとするなんて、野蛮過ぎます。ルナリア姫はどうしてそのような蛮行に及んだのでしょう?幼いながらも賢明で、とても慈悲深くお優しい方だと聞き及んでいます」
「口の|端《は》に乗せることも憚ることだが、どうやらルナリア姫は異教徒に唆されているようなのだ」
「異教徒?」

 「うむ」と重々しく頷くマドソン司祭が傷口を抑えて顔を顰める。一瞬、彼らしくない憎しみのような色が表情に滲んだが、持ち前の慈愛の精神に溶かされる。

「その女の異教徒は神通力のようなものを使って、姫様や一部の近衛兵たちを操り、王都へ謀反の種を運ぼうとしているやもしれない、と私は考えている。私の言うことなど聞く耳にも入れず、問答無用とばかりに斬りつけてきた」
「なんて|酷《むご》い……」

 その様子を想像して青くなって震える唇を抑える私に、マドソン司祭は内緒話をするように声を低め、顔を近づける。

「しかも、凄まじい剣舞だった。もしかすると……」
「まさか、ハント殿に匹敵する剣士だったってのか!?」
「……うむ」

 驚愕を隠せない武闘家が目をギョロつかせて仰け反る。魔法使いも言葉が出ないようだ。当然だと思う。この世でハントを超える生命体は魔王本人とその四天王くらいだと思われていた。それが、人間にもいるというのだから。
 でも、勘の鋭い私は見過ごさなかった。マドソン司祭はハントの問いかけに「そうだ」とはっきり肯定しなかった。つまり、その異教徒の女剣士は、|ハントより強い《・・・・・・・》。

「マドソン司祭、私たち勇者パーティーに出来ることは?」
「君たちには辛い任務を与えることになるが、大事かな?」
「……図らずとも、今の私たちには辛い任務こそ救いとなりましょう」

 それが贖罪になる。マドソン司祭は表情を暗くした私たちに説明し難い事情があることを察した。

「君たちが近くにいてくれて僥倖だった。異教徒の女剣士を倒し、姫様をお救いしてくれ。」








クリスがいない
物資の補給や情報収集
教会に頼るしかない



ハント
危うい
張り詰めている
今にも切れてしまいそう
近付ける雰囲気じゃない

目的がいる

ハント、倒すべき相手が出来たわ
貴方でないと倒せない相手が

僕のーーー敵ーーー










「コリエル神の他にも神様はいる、って前にクリスが言ってたわ。でも、信じてる人は少ないとも」

魔法使いの言葉にコクリと同意を返す。たしかに、世界ではかつて複数の神が信じられていた。けれど、数百年を経た現代ではコリエル神がほぼ唯一神の扱いをされている。文化や技術と合わせて広まっていったからだ。今では、王立教会神官にだって他の神の存在を知る者は少ない。





ピーコート
去年、ガルベストンのコートがないと寒いところに行きたくないって私がワガママを言ったの。その時にクリスが買ってきてくれたコートよ。ガルベストンのじゃないって、私はヘソを曲げて受け取らなかった。でも、彼はそのあとも大切に持っていてくれたみたい。いつか私が寒さに凍えるようになったときのために。

ねえ、リン

あの人、優しかったんだね

目尻に熱が灯る










「無事について何よりだ、ルナリア」
「ええ、無事についてみせましたわ、ミネルヴァお兄様」

上っ面だけのねぎらいを受け流し、さらに皮肉を効かせて返したルナリアにただ事ではない“成長”を垣間見て、ミネルヴァ王子の頬がピクリと引き攣った。それを一秒未満で面の皮の下に押し隠してみせるのはやはり第一後継者といったところであった。

紹介したい者がいる

奇遇ですわ。私にも紹介したい者がいるのです。

それを合図としたかのように両者の影から一人ずつ男女が姿を表す。

ミネルヴァ側の男こそ、今代にして歴代最強の勇者ハント。

「その剣の鞘、誰の服を使っているのか聞いてもいいかな?」
「拾い物です。誰かが捨てたのでしょう。用済みのボロ雑巾として」
剣呑な視線

「そのローブ、見事だね。僕も欲しいな。どので手に入れたんだい?」
「貴方には関係がない」

突き放す。ビリビリとした殺気。

これから手を携えて共にガメニアを護るため戦おう

握手
どちらも視線を外すことがない



視線と視線がぶつかる。まるで至近距離から放たれた2発の銃弾が空中でぶつかったような交わりだった。





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