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悪役令嬢ゴルゴ最新話試作

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 雷神が天上から鉄槌の怒号を発したというのか。否、怒号は大地から発せられていた。そして、その鉄槌を落とした神は、王子の隣に泰然と座る少女、エリザベートに他ならない。
 轟きが津波のように大地を伝わっていく。見下ろす森の一点から、噴火の如く土くれが巻き上がり、灰色の煙の塔が天をつくように立ち上がる。驚いた鳥の群れが一斉に飛び立って雲霞のごとく一帯の上空を逃げまどい、キイキイと甲高い悲鳴をあげている。無数の翼が乱れるバサバサという音と大気を揺るがす轟音が不気味な|交響曲《シンフォニー》を為す。その場にいる全員が、何が起きたのかは理解できなくても、悪いことが起きたに違いないことは理解出来た。
 一葉に顔を青ざめて重く静まり返る王子たちをよそに、エリザベートの通信球からは戦争のプロフェッショナルの会話が途切れることなく続く。

『こちらデルタ|観測班《スポッター》。敵集団への命中を確認。効果は限定的。続いて|修正射《アジャスト》を要請。諸元を送る。|観目方位角《DIR》、|距離《RNG》、|座標《GRID》、送信』
『フォックストロット|指揮官《シックス》、修正諸元を受領。修正射準備完了、発射まで3、2、1、|発射《ショット》』
『こちらデルタ|観測班《スポッター》。敵集団への命中を確認。手前に30ミル、左へ50メートル修正。|効力射を要請《ファイア・フォー・エフェクト》』
『フォックストロット|指揮官《シックス》、修正諸元を受領。全迫撃砲班、|効力射《FFE》準備完了』
『こちらエコー|射撃統制《ファイアズ》、デルタ|先任下士官《パパ》、|遮蔽物に隠れろ《テイク・カバー》』
『こちらデルタ|先任下士官《パパ》、|了《ログ》』
「こちら|総指揮官《アクチュアル》、|擲弾発射開始《オープンファイア》」

 聞いたこともない言葉ばかりで、何をしようとしているのか検討もつかない。この世界の住人は、“効力射”が正しい射撃諸元を得たあとに行われる本格射撃命令であることを知らない。知らないが、それが無慈悲な攻撃の合図であることは今までのことから嫌でも予想がついた。エリザベートは今、トドメを刺そうとしている。なんの呵責もなく、遠慮もなく。顔も知っているだろうユーリを、極めて無関心に、雑草を切り取るかのような心の籠もらない表情で、この世から消し去ろうとしている。
 森の周囲の茂みから次々と眩しい光が打ち上がった。ほとんど垂直に打ち上げられたそれらは、攻撃魔法のファイアボールだった。とてつもない破壊力が凝縮されたファイアボールが太陽に負けじと激しく燃焼している。それらは個々に違った放物線を空中に描いた。だが、次の瞬間、驚くべきことが起きた。ファイアボールは森のなかのある一点を目掛けて、まるで意思を持っているかのように寄り集まり、落下のタイミングを合わせ始めた。それは極限まで高められた練度による弾着調整の結果だったが、王子たちの目には魔法か奇跡にしか映らなかった。

「ユーリ───」

 たまらずに漏れ出た騎士団長の悲痛な呟きは、稲妻のような爆音にかき消された。
 皿のように見開かれた彼らの目に、再び爆炎が写り込む。今まで誰も見たこともないような、世界を捻じり切ろうとするかのような爆発だった。今度の轟音は度を超えて凄まじく、王子の頭上では天幕の生地がビリビリと振動し、ところどころに音を立てて切れ目が生じた。視界に映る平野全てから鳥たちが弾けるように一斉に飛び去る。DNAレベルで経験したのない大地の大激震に王子の取り巻きたちが腰を抜かして尻もちをつくも、エリザベート側には魔法の障壁が最初から張られていたらしく、風のそよぎすら感じていないようだった。着弾点にあった太い木々がバキバキと音を立てて根本から傾き、先ほどよりも激しい土煙の柱が立ち昇る。数拍も遅れてから突風が殺到してきて、破れた天幕の隙間からはパラパラと土塊が降り落ちてくる。それは衝撃の度合いを連想させ、爆心地にいたユーリたちの末路をも容易に連想させた。



予備の通信球が?

眉をひそめて訝しる

それはつい先日新しい魔術を付与したものだ。なにより私が今朝使って連絡をとったばかりーーー

台詞が尻すぼみになっていく
騎士団長の顔面が見る見る蒼白になり、どっと頭から滝のような汗が流れ落ちる
操り人形のようなぎこちない動きで彼はエリザベートの横顔に顔を向ける

エリザベート公爵令嬢、我が騎士団に、何をした?

エリザベートは何も答えない
しかし背後に立つ公爵の喉が緊張にグビリと上下したことが明確な答えになった

「まさかーー」


「小僧、貴様王子の御前であるぞ!」
「至急、至急の伝令なんだ!通してくれ!」

背後から怒号が飛んできて、追求は乱暴に中断された。エリザベートと公爵を除く全員がそちらを目を転じれば、まだ騎士叙任前の年若い少年が護衛を押しのけて馬から転がり落ちるようにしてこちらに駆け寄ってきていた。その引きつった目からはボロボロと恐怖の涙がこぼれ落ちている。尋常でない何かを直視したに違いないと、誰もが彼の口にする報告に嫌な予感を感じた。
果たして、現実はその予感を遥かに上回って地獄だった。




王都が襲撃されました!騎士団練兵場、全滅!王城付き騎士も衛兵も全滅、衛兵及び傭兵詰め所も全滅です!

応じの側近の何人かが泡を吹いて卒倒した。

全滅?

にわかには信じがたい、受け入れがたい報告に、誰も何も言えない。少年は胸をふいごのように激しく動かしながら息も絶え絶えに続ける。

下手人の姿は消えました。下手人がどこから来たのか、どこへ消えたのか、誰もわかりません。どこからともなく激しい光と音が弾けて、気がついたら騎士の方々が穴だらけになっていて……。調べようにも、下手人を追おうにも、残されたのは騎士叙任前の我々のような侍従だけです。どうして我々だけ生き残ったのか……。

騎士団長の目が我知らずエリザベートに向けられる。下手人の正体はわかるまい。おそらく証拠すら残してはいまい。しかし、指示をしたものはわかる。
なんということだ。ここまでするのか?どこまでするのか?

さすがの彼も絶望に打ち震えるしかなかった。敵にしてはいけないものを敵にしたのだ。獅子身中の虫どころではない。虫身中の獅子だ。王国はその体内に、到底抱えきれない強大な悪魔を宿していたのだ。

お願いします、至急、近衛騎士たちを王都に!近衛騎士の方々さえ戻って頂ければーーー




いったいどこの手の者が。そんなことができる大軍がどこからどうやって

わ、わかりません。下手人の姿を見た者は全員、生きてはおりません。警邏士が城下を探しておりますが、怪しい者は見つかっておりません。

大軍がただ一人として見つからないなどありえない
少人数でやったということか
気づかれることなく
少人数で
短時間で
姿を消す

視線がエリザベートに吸い寄せられる
我関せず
エリザベートの父である公爵は



生き残った奴らは、訓練生でもいい、全員連れてこい!総攻撃だ!公爵領に攻め込ませてやる!行けえッ行けえーーーッッ!!

伝令

ご乱心だ!

気でも狂ったか、騎士団長!
それはこちらの台詞だ!この国を煤塵と化すおつもりか!

伝令を指差す

伝令を止めろ!戦争になるぞ!

依頼だ!あの伝令を殺せ!

スッと立ち上がる。

何もないところから鉄筒が生えてきた。まるで茂みのなかに透明人間がいるように、恭しく差し出された鉄筒はエリザベートの手に吸い付くようにして収まる。
その鉄筒は、他の公爵軍兵士のものとは形が異なっていた。大きく、頑丈で、力強く、なにより洗練されていた。己の胴体ほどもある鉄筒に懐かしいような表情を向けたと思った束の間───彼女は、撃っていた。
 その場の誰も、彼女が銃を構える動作を判別できる動体視力を備えていなかった。人間が、「目のまばたきはどうやってするんだっけ」と
考えることなどないように、彼女は、鉄筒を持ち上げ、構え、照準をつけ、引き金を引く一連の動作をコンマ単位で完了させたのだ。




(途中)
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