Her name is Charis! !

最近ブリジットの更新が待ち遠しくて眠れません

 ←ブリジット三次創作の続きの続きの……続きくらい? →「ジャコモオオオオオオオオオオオオオッ!!」
皆まで言うまい。『第77話 ブリジットという名の少女 【ついでにブリジットのこと】3』が投稿されたのだ。仕事に行く前に読めたのは幸運だった。これで活力が漲り、今日も一日夜まで頑張ることができそうだ。H&Kさんにはマジで感謝してる。また一つ、僕の人生が豊かになった。

そしてまた三次創作書いたったぞwwwやべえwww他の小説が手につかねえwwwどこか区切りの良い所でやめとかないといけないのにとまらねえwww
オリジナルブリジットの物語が終わりに近づくに連れて三次創作もシリアスになりつつありますが、何とか元のお馬鹿なストーリーに戻していきたい。75話でH&Kさんが「ドイツに漏れた義体情報はブリジットとヘンリエッタのもの」と書いていたので、早くもそれを利用した話が思い浮かびました。まさか、H&Kさんはこれを狙っていた……?やっぱりあの人は神やでえ。



第5話 それぞれのギャップありすぎな日 【シリアスなんてなかったんや!】




♂ リヒャルドサイド ♂


「ふざけるなッ!!」

ガキっと鈍い音と共にブランクの巨体が背後の強化ガラスに激しく叩きつけられる。チタン製の義手の拳で殴られたブランクの鼻が歪んで大量の血が滴り落ちる。だが、この男にはこんな仕打ちでは足りない。彼女を殺した―――この男には!!
胸ぐらを掴んで無理やり立たせ、もう一度横っ面をぶん殴る。ブランクはそれに抵抗することなく、甘んじて受け止めた。殴られた勢いで口の中から血と歯の欠片が飛び散る。その「仕方がなかった」とでもいうような静かな態度がどうしようもなく不快で、胸ぐらを掴んだまま再び背後のガラスに背中を叩きつける。
ガラスの向こう―――義体隔離室には、簡素なベッドに静かに横たわるヒャーリスの裸体が見える。白い天井を見つめる虚ろな瞳には、すでに彼女の魂はない。太陽のようなあの笑みを、彼女はもう浮かべることができない。
僕の責任だ。一人にしないでと言われたのに、目を離してしまった。その僅かな間に、彼女は大佐の差し金で再調整を受けてしまった。担当官は急に変更できなくても、義体ならすぐに再調整できる。まさか、こんな乱暴な行動に出てくるとは予想もしていなかった。予想すべき、だったのに。

「……命令だったんだ。俺みたいな脳筋兵士は上の命令に疑問なんて持たねえ」

呟くような声は普段のブランクからは想像もつかないほど小さかった。

「やりたくないけど、やらなくちゃいけない時だってある。KSKで俺たちはそれを学んだじゃねえか」
「それを認めたくなかったから、僕はKSKをやめたんだ!」

 兵士用の強化義手がアクチュエータを唸らせてブランクの首を締め上げる。苦しげに呻いてもブランクの目は悲しそうに僕を眺めたままで、それが無性に悔しかった。
KSKでの最後の任務―――ある国に潜伏していたとある凶悪な無政府主義者の暗殺任務で、僕らは一般人を殺してしまった。作戦決行の直前に、目標の男が潜伏先を民家に移したのだ。僕らは突入を躊躇った。だが、司令部からの命令は「Töten Sie es(殺害せよ)」だった。
 結果として、任務は大失敗に終わった。テロリストは逃げおおせ、民家にいた家族はテロリストの爆弾によって全員が死亡した。大勢の戦友が殺され、僕も腕を一本丸ごと失うほどの大怪我を負った。後の調査でわかったが、民家の家族はテロリストの協力者ではなく、テロリストに利用されただけの極普通の平凡な家族だった。
それを最後に、僕はKSKを離れた。ブランクも僕を追うようにKSKをやめた。僕はそれが、僕に賛同してくれた故の行為だと思っていた。だが、違ったのだ。彼はKSKが犯した間違いを繰り返した。
僕の非難の視線に耐えきれなくなったブランクが目を逸らす。彼の目にはヒャーリスの人形のような横顔が映っている。すぐ隣の部屋で乱闘が起きているのに、彼女は無反応のままだ。反応する心をなくしたから。

「いつか……いつかこうなるんじゃないかって思ってた。お前がヒャーリスに熱を上げるのを見てて、俺は怖かった。お前だってわかってたはずだ。あの娘と添い遂げるなんて土台無理だって、わかってたはずだ」
「黙れ!それでも、それでも僕は……!」

ブランクの言う通り、心の何処かでは常に警鐘が鳴り響いていた。彼女は義体だ。人間としてすら定義されていない。結婚も、出産も、恋すら許されない。未来は目に見えていると冷静な自分が叫んでいた。

「それでも、僕は―――ヒャーリスの笑顔が好きだったんだ……」

身体から力が抜け、ズルズルと滑り落ちる。愛する女の笑顔すら護れなかった己の情けなさに涙する。
だが、もう取り返しはつかない。電気的に、薬理的に記憶を処理された彼女の脳からは、きっと僕についての記憶は全て消去されただろう。条件付けも変更され、人格も歪められたに違いない。
彼女の尊い魂は、太陽のような微笑みは、それを望まない大人たちによって汚され、永久に失われてしまった。

「ブランク……彼女は、最後に何と言っていた?」
「……っ」

抜け目ないヒャーリスのことだ。きっとブランクに何か言い残したに違いない。それはブランクの動揺を見れば明らかだ。
しばし逡巡して、搾り出すように彼女の遺言を呟く。

「……『ごめんなさい』『安心して』。それと……俺を、許せと」
「……そうか」

思わず苦笑が漏れる。彼女らしい言葉だ。自分本位のようで、本当は他人への配慮を忘れない優しい少女は、今はもういない。

「ヒャーリスが許せと言ったなら、僕はお前を許す。恨みはしない」

そう言うと、僕はゆっくりと立ち上がって義体監視室を後にする。僕はまだ担当官だ。一度彼女を引き受けた身として、これからもずっと彼女を支え続ける。そう、約束したんだ。
恨んでくれたほうがマシだ、と背後で呻く声が耳にこびりついた。




「……ヒャーリス、気分はどうだ?」

僕の言葉に反応したヒャーリスの瞳がギョロリと蠢き、僕の顔を映す。『目で見られた』というより『カメラに映された』と表現したほうが相応しいような無機質な瞳に背筋がゾッとする。何かの間違いで悪霊がとりついてしまった精巧な人形のような悍ましさに震え、そうなる前は誰よりも人間らしかった彼女を思い出して視界がじわりと歪む。

「問題ありません、“ウェーバー担当官”」
「……そうか。君はもう、僕のことをリヒャルド様とは呼ばないんだな」
「はい。担当官への過度の依存は危険です」

危険なのは君にそんな条件付けを施した大佐たちの方だ。そう言ってやりたかったが、今のヒャーリスにそんなことを漏らせば上官への反逆行為と判断されてねじ伏せられるに違いない。ヒャーリスはもう、僕の知っている優しい彼女ではないのだ。
男に裸体を晒しても物怖じひとつしない少女の純白の身体をシーツで隠してやる。シミひとつない雪のような肌が、消されてしまった彼女の心を連想させて悲しかった。

「ヒャーリス、イタリア派兵の任務は達成できるか?」
「イタリアでの“使用”には何の問題もありません。敵性義体を排除し、目標を回収します」

その言葉に、失笑が漏れるのを禁じ得なかった。僕があれだけ“派兵”だと主張していたのに、当の本人が“使用”だと平然と言ってのけたのだから。
これで確信できた。もう、ヒャーリスには彼女の面影は残っていない。彼女はいなくなり、僕の言葉も届くことはなくなった。僕の一ヶ月半の恋は、死に別れという最悪の結末で幕を閉じたのだ。
僕の不自然な笑みに訝しげな目を向けていたヒャーリスの視線が、何かを察知して僕の背後の扉に移動する。一拍遅れて、アルミ製の強化扉が開いて冷たい美貌の女性士官が入室してくる。ヒャーリスの戦闘機能は健在のようだ。

「あら、ウェーバー少尉。さっそく義体と交流を図っているようね。順調かしら?前みたいに仲良くなれそう?」

美貌に走った亀裂のような嘲笑は、まるで童話に出てくる牝狐のようだった。知らずに拳が握り締められる。

「……順調だとも、メンデルスゾーン少尉。極めて順調だよ」
「あらそう。よかったわね、あなた。あなたの担当官はあなたを見捨てないみたいよ」
「はい、メンデルスゾーン少尉」

悪意に満ちた手つきで頬を撫でられるヒャーリスは、やはりただ無表情を返すのみだ。その無反応が嬉しいのか、メンデルスゾーン少尉はヒャーリスの鼻梁や唇を愛でるように指先で弄ぶ。牝狐がちらりと僕に流し目を送ってくる。「躾けられるのはお前だけではない」と宣言するような得意げな眼だ。
その醜悪な目付きから、それが僕への当て付けだということに気付いた。指がヒャーリスの剥き出しの眼球に触れ、ぐいと乱暴に押しこむ。ヒャーリスは反応しない。拳の中で爪が肉に食い込み、奥歯がギシリと削れる。

「メンデルスゾーン少尉、大事な任務の前に義体を傷つけかねない行為は慎むべきだ。特にシューマン大佐の秘書官である君ならな」
「―――ふん、わかっているわ、そんなこと。ただちょっと、どこまで無反応でいられるか試してみたかったのよ」
「それは君の管轄ではない。少なくとも僕の目の前では、軽挙は慎んだ方が身のためだ」
「……っ!」

この時ばかりはKSKで培った経験と精神力を最大限に利用し、殺気を込めて牝狐を睨みつける。肩幅に広げた両足に力を込め、いつでもその細い首に手刀を振りおろして叩き折れる体勢をとる。
僕の纏う気配が激変したことを察知した牝狐は、喉を鳴らすと気圧されたように後退りする。

「……ふん、まあいいわ。イタリアでの任務についての詳細資料をここに置いておくわ。後ほど、諜報部の人間やイタリアのドイツ大使館の人間とも打ち合わせがあるから、今の内に一字一句まで頭に叩きこんでおくのね。もちろん、そちらの義体にも覚えこませなさい」
「了解した、メンデルスゾーン少尉。大佐にも“よろしく伝えてくれ”」

射殺すような鋭い視線に貫かれ、冷や汗を浮かべた牝狐がすごすごと退室した。眼球は大丈夫かと慌ててヒャーリスの顔を覗き込めば、左目が充血して頬に一筋の涙が伝い落ちていた。あんな見かけばかりの女に好き勝手にされて不平一つ漏らさないヒャーリスにも苛立ちが募る。

「ヒャーリス、なぜ抵抗しなかった」
「メンデルスゾーン少尉への抵抗は禁じられています、ウェーバー担当官」
「身を守るための抵抗なら許可されているだろう!」
「『義体開発計画』を推進する軍高官及びメンデルスゾーン少尉に対しては一切の抵抗は認められていません」
「……くそッ!」

生身の方の腕で壁を叩きつける。重い激痛が骨身に走るが、僕はこれの何倍もの苦痛をすでに心で味わっている。そして彼女は、それを感じる心すら奪われた。
牝狐が出ていった扉を強く睨みつける。
今は亡きヒャーリスに誓おう。いつか、大佐たちには相応の代償を支払わせてやる。必ずだ。
手のひらから血が滴り落ちるのも構わず、僕は決意を込めて扉を睨み続けた。


♀ ヒャーリスサイド ♀


『ファックファックファックファックファ――――――ック!!!!』
『ひいいい!!DQNだあああ!!』

シューマン大佐とメンデルスゾーン少尉の差金で再調整されることになった俺はゴリラに拉致られて洗脳をされたのだが、気づいてみたら真っ暗な空間に裸で突っ立っていて、目の前に見るからにやばい感じの外人DQN女がいたのだ!!やっべえ超こええ!!
髪の毛真っ赤っ赤で両耳にピアスジャラジャラついてるし裸の身体はタトゥーだらけだし、なんだこいつ!?

『なんだこいつはこっちの台詞よ糞ジャップ!!なーに勝手に他人の身体を乗っ取って好き勝手してるわけえ!?今すぐ出てけ!すぐ出てけ!ファックオフ!ゲラァウ!!』
『……あ、もしかして、この身体の元の持ち主さん?』
『当たり前でしょうが!こちとらずぅ~~~っとアンタに閉じ込められてたのよ!他人の身体と頭を好き勝手に改造しやがった腐れ軍人どもを殺してやりたいわ!ファック!!』

うひー、こわっ。外人のDQNはレベルが違うな。
そういえば、リヒャルドさんが少年院行きがどうとか言ってたっけ。うわあ、オリジナルのブリジットの中の人とは似ても似つかない女の子だな。清楚という言葉を唾吐きかけて蹴り飛ばしたような人間といえばわかりやすい。こりゃ少年院行くのも仕方ないわ。
ブリジットとヒルデガルトが深層意識で会話するシーンがあったけど、おそらくこの状況も同じものなんだろう。新しく上書きされた人格の俺と、元々あった人格のこのDQNが深層意識の中で会話しているのだ。ブリジットがそうだったように、俺の姿もヒャーリスのままだし。
あ、もしかして、ヒャーリスとしての俺の口調の端々にスラングが混じるのはこのDQNの影響だったのか?俺はファックとか日常会話で使ったことないから不思議だったんだけど、ようやく合点がいった。これだけ下品な言葉連呼してる女の子も珍しいなあ。

『まあまあ、落ち着いてくだしあ』
『サノヴァビッチ!これが落ち着いていられるかっつーの!つーかアンタもズルすぎ!あんな真面目なイケメン、今時化石みたいに貴重なのになに独り占めしてるわけ!?っざけんな!ファック!!』
『あらら、リヒャルドさんお気に入りなんすか?』
『当たり前でしょ!?強くて優しくて一途で真面目で几帳面で、オマケに軍人公務員!最っ高の物件じゃない!!私が表に出てたらセックスしまくってとっくに既成事実作ってやってるわよ!ああ、リヒャルド様ぁああ!!』
『うわぁ。ディープだなあ』

ピアスがぶら下がった耳たぶをぶらぶらさせながら恍惚とした表情を浮かべるDQNさん。うーん、キモい!こいつを元にブリジットそっくりの女の子作ろうと思った奴らの神経を疑うね。

『聞こえてるわよ糞ジャップ!』
『気のせい気のせい。ところで話は変わりますけど、ちょっと協力してもらえないっすかね?』
『ああ?もしかして表に出るつもり?なら無理よ無理。諦めなさい。ファッキンビッチが再調整しやがったせいでガッチリ蓋が閉められちまったわよ』

そういうと、ケッと唾を吐き捨てていじけたようにその場に胡座をかく。大事なとこも丸見えだがちっともエロくない。
そうなのだ。さっきから意識を取り戻そうとなんとか頑張っているんだが、出られないのだ。巨大な井戸の底に落ち込んで蓋が閉められてしまったみたいな暗く重い感覚だ。俺という人格も一緒に封印されてしまったのだろう。
だが、ブリジットはヒルダと意識を融け合わせることで外に出ることに成功した。だから、俺たちもなんとかなる。

『それでなんとかなるくらい奇跡がホイホイ量産されてたら私は全身火傷して義体化なんかされてないっつーの!アスホール!』
『それがなんとかなっちゃうんだなあ、これが。ほれ、あれ見てみ』
『あん?』

二人して遥か上空を見上げる。見るからに鈍重そうな巨大な蓋が天を覆っている。あれこそ、俺たち二人を閉じ込めている洗脳による封印だ。
唐突に、その蓋にピシリと小さな亀裂が走った。小さかった亀裂は倍々ゲームのように次々に枝分かれしていき、蓋のあらゆる場所に伝播していく。呆然と見上げるDQNの顔にパラパラと破片が落ちる。

『マイアス……糞ジャップ、あんたいったいどんなズルしたわけ?』
『はっはっはっ。こんなこともあろうかと、ちょっと保険をかけておいたのだ。んで、協力する?俺と融合して、ヒャーリスという人格になればおk。そうしたらすぐにあの蓋ぶっ壊せると思うよ。ただし、どっちがメインの人格になるかはお楽しみって感じだけど』
『―――はっ!キライじゃないわよそういうの!』

鋭い笑みを浮かべたDQNがすっくと立ち上がる。臍についていた特大ピアスがぶらんと揺れた。い、痛そう。裸を見ても興奮しない女の子とか嫌すぎる。

『さあ、愛しのリヒャルド様が待ってるんだから、さっさとここから出て猛アタックすんのよ!今までの反応からして、あの人はヒャーリスにべた惚れしてるわ!モノにするなら今しかない!』
『べた惚れぇ?俺にはそうは見えなかったけど』
『マザーファッカー!やっぱりアンタみたいなニブチンはリヒャルド様にはもったいないわ!つーかそもそもアンタの中身男だし!なんでアンタみたいなのに惚れちゃうのか理解できないわよ!』
『俺に言われても』

べた惚れ……ねえ?どちらかと言えば、リヒャルドさんは妹が心配でたまらない兄貴だと思う。俺も歳の離れた兄貴みたいに思ってたし。
まあ、兄貴を護るのは妹の役目だ。担当する義体が突然こんなDQNになっちゃったらリヒャルドさんのストレスがマジでマッハになりかねない。負けるわけにはいかないな。ったく、放っておけない人だなあ。

『じゃ、俺と向き合って。すぐ正面にね』
『アンタと見つめ合うなんて吐気がするけど、どうせアンタはこれから私に取り込まれてクソッカスみたいな存在になるんだから許してあげるわ。で、これからどうすんの?』

ブリジットはヒルダの記憶を追体験することでヒルダとの融和を果たしたが、正直このDQNの人生の追体験とかお断りなので、手っ取り早い方法を使います。
その名も、『どんなに啀み合っている二人でも気が済むまでケンカをすればやがて夕日の下の河原に寝そべって互いの健闘を讃えながら友情を結べるんだぜ作戦』~~~。

『は?それってつまり―――』
『殴り合いです♪レディ、ファイト!』
『はあ!?ちょっと待っぎゃわぶぅ!!』

シリアスなんてぶっ壊せ!!


♂ リヒャルドサイド ♂


「―――ファッキンビッチめ」
「……え?」

背後で呟かれた小さな声に、僕はハッとして振り返った。今となっては懐かしく感じる、毒を含んだスラングが聞こえた気がしたからだ。
しかし、そこに横たわっているのは人形のように表情を凍りつかせたヒャーリスだけだった。何の感情も見いだせない双眸が再びギョロリと僕を見返す。

「どうされました、ウェーバー担当官」
「……いや、何でもない」

一瞬、彼女の魂が戻ってきたかと思った。奇跡が起こり、彼女が自分のもとに戻ってきてくれたのかと。だが、所詮儚い幻想だ。
弱い己の心が生じさせた幻聴だったのだと断じ、僕は胸ポケットからサングラスを取り出してかける。これを似合わないと教えてくれた少女も、自分の前では外してくれと頼んだ少女も、今はいない。

「ヒャーリス、立って服を着るんだ。これから一週間、君は市街での自然な身の振り方やイタリア語の習熟、作戦の徹底した理解などで休む暇はなくなる。復習の時間などないから一度習ったことは絶対に残らず身につけろ」
「はい、ウェーバー担当官」

自然に口調が厳しくなるが、ヒャーリスはそれを意にも介さず平然と返す。それがたまらなく不快だ。
僕には、このヒャーリスは、ヒャーリスを模して作られた人形にしか見えなかった。彼女を殺し、彼女の居場所を奪い、まんまとすげ変わった、作られた軍の狗。
それでも、彼女に約束したのだ。もう離さないと。それを果たすまでは、僕はこのヒャーリスの傍に居続ける。そう、決めた。

「だからサングラス似合ってないんだってば……」

後ろから再び小さな声が聞こえた気がしたが、これも幻聴だと切り捨てた。
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~ Comment ~

 

おい中の人(真)あんたドイツ人だろ、スラングはドイツ語でOKですよw

 

>サナギトウカさん
おお!!コメントどうもです!!そしてそのことに突っ込んでくれたのはあなたが最初です!!
どこかのホームページかブログで「ドイツのスラングは英語と同じ」みたいなことを見かけた記憶があるんですが、本当にそうなのか不安でした。でもドイツ語独特のスラングとかが載ってる本もサイトも見つからないので、ヒャーリスの中の人(真)はアメリカ人とドイツ人のハーフ、という設定に変更することにしました。その辺の矛盾は、arcadiaさんへの投稿時に修正するつもりです。
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