Her name is Charis! !

ブリジット最新話更新&ブリジット三次創作終わり

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H&Kさん、最終回までの全力疾走に入ったみたいだね。次々に更新されて嬉しい。でも終わりが見えてきて悲しい。ううう。最後の最後にガンスリ劇場来ないかなあ。
第79話 ブリジットという名の少女【ついでにブリジットのこと】5


そして秘密の三次創作も第一部完です。続きは未定。脳内で終わることになるかもしれない。

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第一話 後編
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話 前編
第六話 中編

第六話・後編 さよならドイツこんにちはイタリアの日 【第一部完ッ!!】



♂ ヒャーリスサイド ♂


「さあ、もっと飛ばせ、ブランク!出発まで時間がないぞ!」
「ここはアウトバーンじゃねえよ!ったく、戻ってきたと思ったらいきなり元気になりやがって。なあ、ツェンダー夫人の家で何かあったのか、ヒャーリス?」
「特に何もありませんでした、ヘンデル少尉」
「ふーん、そうかい」

そう言いつつも、リヒャルドさんが明るくなってゴリラも気が楽になったのか口の端がちょっと笑ってる。行きの車内はみんな黙ってて気マズかったからなあ。
俺が再調整の影響を受けていないと暗に伝えてみたところ、リヒャルドさんは今までの沈みようが嘘のように明るくなった。その喜びようときたら、見てるこっちが恥ずかしくなるほどだ。あんまり落ち込んでるもんだから気の毒になったんだけど、教えなかったほうがよかったかもしれない。
そう!何を隠そう、俺は再調整を受けさせられる可能性を考慮して、すでに対策を執っていたのだ!なんたってブリジットもリコの代わりにホテルボーイを射殺した記憶を消されたりしてたからね。その後味覚が狂っちゃったみたいだし、そんなことをされたら堪らないというわけで、裏工作は早いうちから取り組んでいたのさ!ヒャーリスちゃんマジ天才。
深層意識の中でのDQNとの殴り合いは序盤は少し苦戦した。でもDQNは麻薬とタバコのせいで早々に息切れしだしたのでデンプシーロールでフルボッコにしたったら「降参だよファック!」と言い残して俺に吸い込まれた。なんとも呆気無い。
いやしかし、洗脳されたフリをするのは想像以上にキツかった。ターミネーターみたいにとつとつと抑揚なく喋るのも意外に疲れるものだ。勉強やら訓練やらもハードだったが、イタリアでブリジットたちに会うためだと思えばこちらは苦にならなかった。
何よりも精神的に大変だったのは、リヒャルドさんのことだった。俺から目を離した隙に再調整をされたことに罪の意識を感じていたみたいだ。苦しみっぷりが見ていて痛々しかったし、気の毒だったねアレは。あのままだったら、ブリジットの人格をリセットされたせいでブチギレて「おのれ社会福祉公社、ゆ゛る゛ざん゛!!」ってことになったアルフォドさんの二の舞になりそうだった。さっきのおばさんのところで知ったが実はアルフォドさんと親戚らしいから、そういうところも似てるのかもしれない。まあ、思い詰めてた時の顔を思い出せば今の子どもみたいな浮かれようも許してやろうかという気になる。
でもあんまりはしゃぎ過ぎると監視役のゴリラに怪しまれるから少し落ち着いてもらおう。喰らえ!必殺、太ももつねり!!

「よし、ヒャーリス!帰ったらさっそく服を着替イデデデデッ!?」
「ど、どうしたリヒャルド!?」
「いつつ……。い、いや、何でもない。久しぶりに知人に会えて少し興奮しただけだ。少し落ち着くよ。すまなかった」
「そ、そうか」

なんかリヒャルドさんが隣から咎めるような視線をチラチラ送ってきますが今の俺は再調整された可哀想なヒャーリスですので無視します。別に「僕の妻です」とか恥ずかしいことを言われたから怒ってるわけじゃないぞ。
久しぶりに沈黙が落ちる。でもやっぱりリヒャルドさんはニヤニヤしてる。
ふと、バックミラーでゴリラがリヒャルドさんをチラチラ見てることに気付いた。やべ、もしかしてバレた!?

「……リヒャルド」
「な、なんだ?」

神妙な口調で名を呼ばれてリヒャルドさんもさすがに表情を引き締めた。今さら真面目そうな顔しても遅いっつーの!また再調整受けることになったらリヒャルドさんのせいだからな!

「お前も知ってる通り、俺は頭がよくない。命令に従って身体を動かしてるほうがずっと性に合ってる。軍に入らなかったら今頃単純労働者かマフィアの捨て駒にでもされてた。だから、俺を拾ってくれて、活躍できる場所をくれた軍には感謝してる。忠誠を尽くそうって考えてた」
「……ああ」

よかったぁ。俺に気付いたようではないらしい。でもシリアスな話なのは変わりなそうだから黙って聞いておこう。

「だからって親友を傷つけるのは嫌だ。でも軍はそれをさせた。“今もさせてる”。だから俺は……この任務が終わったら、軍を辞めようと思う」

ゴリラも俺の再調整に加担したことを後悔してるようだ。こいつもリヒャルドさんの落ち込みっぷりに罪悪感を感じていたんだろう。暗に「自分は監視役だ」と伝えてきてるし。はっきり言わないってことは車の中に盗聴器でもあるのか?命令に逆らえない軍人さんってのもけっこうつらいものがあるんだなぁ。

「ブランク、除隊するな。僕は気にしていない。僕にはお前の助けが必要だ」
「だが、俺はお前から大切なもんを奪っちまった。取り返しが付かないことをしちまった。その娘を、俺は……」

リヒャルドさんの説得に、ゴリラの目がバックミラー越しに俺を見る。なんだか俺を哀れんでるようでいて、実は自分を哀れんでるような悲しそうな目をしてる。よく見るとこいつの目にもクマが出来てるじゃないか。彫りが深すぎて気づかなかった。
ゴリラは頑固者だから、ケジメをつけようとか思ってるんだろう。義理堅い奴だ。そういうの嫌いじゃないぜ。
仕方ない、ちょっと助け舟出してやりますか。バックミラーでこっちを見るゴリラに目を合わせてパチッとウインクしてやる。これくらいすればゴリラでも気付くだろう。

「―――ッ!?ヒャーリス、お前……!!」

お、気付いた。あまりの驚きっぷりにハンドルがブレて車が左右に揺れる。うええ、酔いそう。無表情保ってないといけないんだから勘弁してくれ。義体だから車酔いしないってわけじゃないんだぞ。

「おいおい、落ち着けよ、ブランク。“どうかしたのか”?」
「ど、どうかしたかって―――……いいや、どうもしない。ちょっとした目の錯覚だ。くそっ!」
「そうか。大変だな」
「ああ、まったくだよ!」

リヒャルドさんの含みを持たせた言葉に、ゴリラも察しがついたらしい。苛立たしげに悪態をついてまたこっちを見てきたから、今度は唇の前に人差し指を立ててウインクしてみる。一瞬目を丸くしたゴリラが「このクソガキめ!」と口パクした。やっぱり盗聴されてるんだな。

「もう一度言うぞ、ブランク。“僕たち”は気にしていない。“僕たち”にはお前の助けが必要だ」
「……」
「除隊なんてしないな?」
「……ああ、わぁったよ!除隊しない!地獄の果てまで付き合ってやるよ!」

言葉の裏に「これでお前も共犯だぞ」という脅しが隠れているのがよくわかる。リヒャルドさんも意外に良い性格してるよな。もしかして俺の影響?
隣をこっそり見上げれば、いつの間にかこっちを見ていたリヒャルドさんと目が合った。凄いドヤ顔でウインクしてきたのでもう一回太ももを思いっきり抓ってやったのは言うまでもない。調子のんな!


♂ リヒャルドサイド ♂


「ウェーバー担当官、急いでください。飛行機の離陸まであまり時間がありません」
「ま、待ってくれヒャーリス。ちょっと足が痛くて……」
「元KSKでしょう。それくらい堪えてください」

太ももがヒリヒリと痛んで早歩きすらできない。ヒャーリスの馬鹿力で肉を抓られたせいだ。引きちぎられるかと思った。
キャリーバッグを転がしながら前を歩くヒャーリスに抗議してみるが、彼女は現在演技中なので素っ気なく返される。いや、演技をしてなくても素っ気なく返されたかもしれないが。
段々遠のいていく小さな背中は、なぜか怒っているように見えた。何を怒っているんだろうか。やはり妻の役をさせたことか……?

「ぶ、ブランク。頼む、荷物だけでも持ってくれ」

隣を歩くブランクに助けを求める視線を送ってみる。彼には車内でヒャーリスが機転を効かせて再調整の影響が無いことを伝えたから、絶賛共犯中だ。
ブランクがチラとこちらを一瞥する。

「元KSKだろ。それくらい堪えろよ」

フフンと鼻を鳴らしてそう言い放つと歩を早めてさっさと進んでしまう。さっきの意趣返しだとでもいうのか!

『ルフトハンザドイツ航空852便、イタリア・フィウミチーノ空港行きはご搭乗の最終段階となっております。当便にご搭乗予定のお客様は41番ゲートよりお進みください。なお、ファーストクラスのお客様は―――』
「く、くそっ!薄情者どもめ!」

いいだろう。元特殊部隊を甘く見るなよ!

「うぐぉおおお!」

痺れて上手く動かない足を無理やり引きずって、宛ら戦場の負傷兵のように駆ける。周りの視線が痛い。もっと荷物を軽くすればよかった。だがこの中にはヒャーリスの着替えが全て入っているのだ。ヒャーリスはそんなにいらないと言っていたが、これだけは置いていくわけにはいかない!
ひぃひぃと息を吐きながらアナウンスに従ってファーストクラス専用の搭乗口に走る。僕たちは駐在武官付の補佐官という立場で特別待遇を受けている。実はファーストクラスに乗るのは人生で初めてなので少しワクワクしているのだ。
それに、ヒャーリスと隣り合って座れば、なんだか本当に新婚旅行のようじゃないか。一緒についてくるゴリラは、あれだ、ペットとでも考えればいいのだ。ペットは貨物室にでも放り込むべきだ。

だが、搭乗口には僕の囁かな楽しみを無残に打ち消す女が待ち構えていた。

「あら、遅かったわね。ウェーバー少尉。足はどうしたのかしら?」
「……少し捻っただけだ、メンデルスゾーン少尉。それより、なぜ君がここにいる?」

シューマン大佐の腹心にして、冷たい美貌を持つ牝狐だ。彼女の傲慢な態度と何よりヒャーリスにした仕打ちには、例えヒャーリスが無事だったことがわかっているとしても怒りが湧き上がるのを抑えられない。自然に声が低くなる。
何か知っているかとブランクを見れば、こいつも訳がわからないという顔をしている。監視役にも知らせていないとは、いったい何用だ?
改めて牝狐の格好を確かめる。僕とブランクと同じように軍服で正装し、肩に駐在武官付き補佐官を示す飾緒をぶら下げている。手荷物は持っていないが、代わりにヒャーリスのキャリーバッグが倍に増えていた。

「決まっているでしょう?イタリアでの作戦に私も参加するのよ。正確には、私が作戦の指揮を執るのよ。正式な命令書もあるわ」
「……そんな話は聞いていないが」
「当たり前でしょう?あなたのような一士官に話すべきことではないもの」

階級は同じだろう、牝狐め!
閉じた口腔内で悪態を吐き捨て、顔に感情が現れないように臍を噛んで堪える。
なんということだ、こいつまで着いてくるとは。ブランクを監視役としてつけておきながら、その実彼すらも信用せずに直前で部下を参加させるとは、大佐の冷酷さが窺える。
黙りこくった僕に、何を思ったのか優越感に満ちた笑みを浮かべると牝狐は踵を返してさっさと搭乗ゲートに向かう。そのスマートな後ろ姿はたしかに瀟洒でスタイルもいい。男ウケは大層良いのだろうが、垢抜けすぎていて僕にはどうしても受け付けられない。ヒャーリスの方がよっぽど人間らしくて親しみやすい。

「いらっしゃいませ、お客様。パスポートと搭乗チケットをご確認させてください」
「ええ、そうね。ヒャーリス、私のバッグを持って来なさい!」
「はい、メンデルスゾーン少尉」

ヒャーリスをメイドか召使いのように扱う態度にさらに怒りが募る。ヒャーリスは従順に振舞っているが、内心では相当キツイだろう。これがイタリアまで続くと考えると憂鬱だ。とんだ新婚旅こ―――いや、とんだ作戦になったものだ……。

「パスポートと搭乗チケットなら、ここに―――………………あ、ら?」
「あ、あの、お客様?」
「……なあ、なんかあの女の様子がおかしくねえか?」
「え?」

先ほどまでクールビューティーそのものだった牝狐の顔からさあっと血の気が抜け、いきなり自分のバッグに手を突っ込んでゴソゴソと漁り始めた。なぜそんなにポケットが必要なのかと言いたくなるゴチャゴチャしたバッグをひっくり返して何かを探しているが、目当てのものは一向に見つかる気配がない。
それを後ろで見ていたヒャーリスが不思議そうに小首を傾げる。

「どうされました、メンデルスゾーン少尉」
「何をボーッとしているの、ヒャーリス!あなたも早く探しなさい!パスポートと搭乗チケットと作戦命令書を―――」
「もしかして、パスポートと搭乗チケットと“極秘の作戦命令書”を失くされたのですか?」
「―――あ、」

ヒャーリスのどこか責めるような言葉にビクリと肩を跳ね上げさせた牝狐が、真っ青になった顔でヒャーリスをゆっくりと振り返る。大きな失態を犯してしまったクールビューティは手負いの牝狐となった。
牝狐からは死角となったヒャーリスの背中で、後ろ手に組まれた手がぐっと親指を立ててみせる。それを見てブランクと共にクスリと笑ってしまう。相変わらず、彼女には敵わない。

「聞いたかい、ブランク!作戦前に少尉はとんでもないことをしでかしてしまったようだ。まさか大佐の腹心である君ともあろう者が、そんな重要なものをなくすとはね!」
「ああ、まったく考えられねえな。KSKだったら今頃腕立て伏せ1000回を言い渡されるレベルだぜ!」

僕とブランクの追撃に牝狐の表情がヒクヒクと引き攣る。

「ま、待っていなさい!今大佐にご報告をして何とか―――」
「あ、あの、お客様?もう離陸までお時間がないのですが……」
「ッ!?」

受け付けの職員がもうタイムリミットであることを控えめに伝えた。牝狐の目が見開かれ、唇がわなわなと震えている。いかな駐在武官の権力を持ってしても、飛行機の搭乗時間は遅らせられない。そんなことをすれば、それこそ彼女の軍人人生は終末を迎える。
残念だが、君は妖精に嫌われてしまったのだ。我が愛しき人工妖精、ヒャーリスに。
硬直して動かない牝狐の横を素通りして受け付けにパスポートと搭乗チケットを見せる。ブランクとヒャーリスも彼女を無視してそれに続く。どうやら僕らで搭乗受付は最後だったらしく、職員が慌ただしくゲートを封鎖する。

「では、作戦終了後にまた会おう、メンデルスゾーン少尉。くれぐれも大佐によろしく伝えておいてくれ。もっとも、君が更迭されなければの話だが?」
「―――!!お、覚えていなさい、ウェーバー!!この借りはいずれ必ず―――ちょっと、離しなさい!ハイジャックじゃないわよ!?」

搭乗ゲートの格子を掴んでこちらに吠える形相はまさに檻の中の猛獣だった。彼女が空港警備員という名の飼育員に取り押さえられて喚き立てるのを背後に聞きながら、僕たちは飛行機へと搭乗通路を歩く。
同行して作戦の指揮をとれ、と命令を受けたのにすごすごと帰還して「乗れませんでした」などと報告すれば、さしもの牝狐も大佐に見限られるだろう。ざまあみろ、だ!
搭乗通路の半ばまで来た。ここまで来れば、牝狐には聞こえないだろう。そう判断して、僕は隣を無表情で歩くヒャーリスにそっと許可を下す。

「もういいぞ、ヒャーリス。君は自由だ」
「―――ぷっ、ふふふ……あはははは!見ましたか、リヒャルド様!あのファッキンビッチの悔しそうな顔を!ざまあみろです!他人の目をグリグリしやがった罰です!」
「うおっ!?ついに化けの皮を脱いだな、糞ガキめ!」

許可を得たことで唐突に演技を止めたヒャーリスがさも愉快そうに吹き出した。やはり彼女も牝狐からの仕打ちには含むところがあったようだ。ケラケラと腹を抱えながら笑い出したヒャーリスに、ブランクがビクリと驚愕する。
一週間前までの自然なやり取りが戻ってきたことに僕も堪らず笑いを漏らす。やはり彼女には笑顔が一番似合う。

「ヒャーリス、メンデルスゾーン少尉の大事な荷物はどこへやったんだい?」
「さあ、私には何のことやら。でも、ゴミ回収車がそれらしいものを引っ掛けていくのは見た気がします」
「な、なんつーことを……」

素知らぬ顔でとんでもないことを言うヒャーリスに、ブランクが頭を抱える。しかし笑みを浮かべているその口は隠しようがない。彼もメンデルスゾーン少尉のことを好いていないのはその態度を見ればよくわかる。

「ははは。ところで、ヒャーリス。そろそろ教えてくれてもいいだろう。どうやって再調整を回避したんだい?」
「そうだそうだ。義体の分際でいったいどんな手品をしやがったんだ?」

二人して、不思議そうにヒャーリスの笑顔を覗き込む。それが一番疑問だったのだ。
僕たちの追求の視線を平然と受け止めて、ヒャーリスはにんまりとイタズラ少年のような笑みを浮かべる。思い出した。古来から妖精はイタズラ好きと決まっているのだ。

「ええ、もちろん教えて差し上げますよ。でも、その前に“彼ら”に挨拶をしてもよろしいですか?」
「「彼ら?」」

不可思議なことを言うやいなや、ヒャーリスが搭乗通路の窓から空港の屋上に向かって手を振る。それにつられて僕たちも屋上に目を凝らしてみる。
そこでは、男二人と女一人がこちらに向かって大きく手を振っていた。ヒャーリスを見つけると、一際大きく手を降りだす。
私服を着ているが、彼らには見覚えがあった。

「あれは確か、義体洗脳プロセスの主任をしてるリスト兵曹と、副主任のベッケンバウアー伍長じゃないか」
「隣にいる奴は、たしか洗脳装置の整備を担当してるハラルドだな。ヒャーリスにしつこく言い寄ってた上等兵だ」

よし、ハラルド上等兵か。その顔と名前は覚えておくぞ。
しかし、なんで彼らがこんなところに……?

「皆さん、私の大事な“お友だち”なんですよ?」

ヒャーリスの静かなヒントに、僕たちの顔も「まさか」とさあっと青ざめてゆく。
そうだ。義体は自らの意思で再調整を拒否することは出来ないが、そもそも再調整の処置自体がまともに行われなければ、そんなことは関係ない。
しかし、いつの間にそんな協力関係を築き、いつの間に打ち合わせをしていたというのか。

「は、はは……」「く、糞ガキ!お前、アイツらにも片棒担がせたのか!?」
「担がせるなんて、ひどい言い方ですねぇ」

それでも否定はせずにクスクスと微笑んで屋上の三人にペコリと一礼すると、再び飛行機に向かって歩き出す。僕たちも屋上の三人に小さく敬礼をしてからその後に着いて行く。視界の隅で三人がビシリと答礼をするのが見えた。その敬礼は僕らよりもヒャーリスに向けられているような気がした。前を歩く彼女の背中は小さいようで、とてつもなく大きい。

「なあ、リヒャルド」
「なんだ、ブランク」
「もしや我がドイツ連邦軍は、とんでもない悪魔を産み出してしまったんじゃねえだろうな?」
「……否定はしないよ」
「聞こえていますよ、お二人とも。Shut the fuck up(黙ってろ)です」
「「……すみません」」

彼女の聴覚は人間の数倍に強化されているのだった。彼女に隠し事などできそうにもない。この調子では、イタリアでも彼女に振り回される日々が続きそうだ。
だけど、

「何をボケっとしてるんですか、リヒャルド様。さあ、早く行きましょう。イタリアへ!」

太陽のような笑顔と共に、輝くように白い手が差し出される。

だけど―――それはきっと、とても楽しい日々に違いない。



♀ ヒャーリスサイド ♀


はーはっはっはっはっはっはっ!!!
こんなこともあろうかと、洗脳処置とその装置の整備を担当してる人たちと事前に仲良くなっておいたのだ!そして再調整をされる直前にその人たちのところに涙目でお願いに行って、人格リセットを極一時的なものにしてもらったというわけさ!!
そう、リヒャルドさんの部屋で飯くった後に貰った自由時間の出来事だ!ギリギリのタイミングだったが、見事にフラグを回避したぜ!
さあ、ファッキンビッチも追い払ってやったし、もはや後顧の憂いなし!!目指すはブリジットの待つイタリアだ!!
うお―――!!待ってろよ、ブリジット――――!!!

「……おい、ヒャーリスがテンション上げまくってるぞ」
「きっと僕との相席が嬉しいのさ」
「………」




勝ったッ!第一部完ッ!
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~ Comment ~

ほう? 

勝った。第一部完?

ほう?では誰が続きを書くって言うんだ?まさか文才のない私じゃないよなぁwww

どうもこんにちは悦です。
まさかのどんでん返し、ファッキンビッチは上司に見限られると(笑)。ザマァみろと言うところですね。やはり周到な準備をしていた側の勝利は美しい。
ともあれお疲れさまでした。

 

>悦さん
読んでいただけて、しかもコメントまでいただけて、本当にありがとうございました。僕のブリジットへの愛に感想コメントというニトロが追加されたことで、この頭の悪い三次創作は無事に一応のゴールに辿りつけました。感想を下さった悦さんやエトムント・ヘックラ―さんに感謝です。

読みなおしてみると、伏線の貼り方やその他の描写に物足りなさを感じてしまいます。それぞれのキャラクターの背景とか性格も筋が通っているのか疑問に思います。超速更新だったとはいえ、もっとこだわってもよかった気がします。もしもH&Kさんから許可をいただいて清書をする機会が訪れたなら、その辺をもっと詰めてみたいです。

やった!大勝利(笑) 

条件付け以外のラブらしきものが仄かに見え隠れすることにもニヤニヤします。
主人公の小悪魔っぷりも素敵です。
さて、当然、第二部もあるんですよね?(笑)
続きをすごく楽しみにしています。

 

>ふぉるてっしもさん
ヒャーリスの「まったく放っておけないんだから」という呆れ半分の感情が果たしてリヒャルドが望むような情念に変化してくれるのか。それは神のみぞ知る。
第二部も作る予定でふ。第二部はイタリアで本家の義体と激突の予定です。さて、どうなることやら!
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