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性転換

ふと思いついたSS 「エルフになって勇者と一緒に魔王を倒しに行くお話」

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「飛龍になりました!」というSSと「銀凡伝」というSSを読んだ後に思いついたSS

 ある日突然、変な神さまのせいで女エルフとして別世界に転生させられる。そこで騎士と接触。世界が魔王に脅かされていること、エルフがその危機を救うという伝説があることを知らされ、まあいいかと協力する話。主人公は非常に軽くて適当な性格をしているのだけれどそれが勘違いされて「エルフ様すげえ!」とどんどん持ち上げられる、という趣旨にしたい。ちょっとした息抜きに書いていくつもり。では始まり始まり。


♀エルフサイド♀


「あー、これは間違いなくエルフだな」

波一つない鏡のような湖面に映るのは、異常にでっかい銀色の月と、鬱蒼とした葉葉の影と、エルフ―――つまり俺の顔だった。

しかし、美少女になったもんだ。原型がどこにもないじゃないか。目と鼻と口のパーツの数と位置が同じなだけで、造形がまるで違う。前の俺の顔が、小学生が夏休み最終日に鼻くそほじりながら片手で作った粘土細工だとしたら、今の俺は国宝級の超一流造形師が絶命する間際に完成させた至高の芸術品、といったところか。
シミ一つない病的なまでに真っ白な肌、繊細な銀細工のような長髪、もはや手の加えようもない可憐な容貌、しなやかな体躯は完璧な黄金比を体現している。何分見続けても飽きることがない。
つーか、人種からしてまったく違う。俺は日本人そのものの平凡な顔立ちだったが、今ではすっかり白人っぽくなってしまった。唯一どちらとも違う点は、

「うっわ、耳すげー尖ってるし。本物だよこれ」

耳だ。耳輪の部分が後ろに向かってぴんと突き出している。ファンタジー映画やゲームで見たエルフそのまんまだ。その上、背中に流れる髪はうっすらと発光して輝いている。光ファイバーで出来てんのか?と疑って調べてみたが、手触りがめっちゃ気持ちよかった以外は普通の髪の毛だった。
他にも身体中をできる限り調べてみたが、下の毛も銀色だったということ以外は人間と同じ作りをしていた。宇宙人とか妖怪とかその類ではなさそうだ。

よーするに、俺はエルフになったのだ!なんかもうそれでいいや!

「はて、俺はエルフに転生するようなイベントに遭遇したっけか?」

呟いて、それはないなと断じる。トラックに跳ねられたとか理不尽な事故に巻き込まれたみたいな悲劇には遭ってない。部屋でマウス片手にオナニーしてたら不覚にも居眠りしてしまい、気付いたら森の湖のほとりにぼーっと突っ立っていたのだ。
もしも達した後に転生してたら、女賢者にでもなったんだろうか。

あ、そういえば、眠りこける寸前に何か声が聞こえた気がする。アンプがぶっ壊れそうなくらい低い声で、「くっくっくっ、君に決めた!」とかわけのわからん台詞が。

まー考えても仕方がない。今はこの身体を楽しもうじゃないか!

ええじゃないかええじゃないかと身に纏っていたワンピース?を脱ぐ。細かいところは気にしないのが俺のいいところなのだ。どんな状況も楽しんでみせるのが大人の男の余裕ってもんだ。今は女だが気にしちゃダメ!

丈長のワンピースらしき純白の服は、ぺらっぺらに薄いくせにやけに生地がしっかりしてて脱ぎにくかった。ナイロンみたいに肌触りが良くて脆そうだが、多少力を込めても破れそうな気配はない。エルフ専用装備かなんかか? 今気付いたが、この服も微妙に発光してるし。

服を脱ぎ捨て、同じく純白のブラジャーとパンツもその上に放る。人生で初めて女物の生下着をまじまじと見られることに興奮する反面、自分の下着にハァハァしている自分が無性に気持ち悪くなったので視線を外す。

「さ、気を取り直して、水浴び水浴びっと♪」

目の前には謀ったように美しく澄んだ湖が広がっている。これは水浴びフラグってことに違いない。真っ裸になって自分の美貌を再確認しなさい、という天の粋な謀らいだ。

一歩、湖に足を進める。湖水のひんやりとした突っ張るような感覚が形のいい指先からふくら脛を伝って太ももをふるふると震わせる。おおう、すげーエロい。
身体を冷温に馴染ませながらゆっくりと水に身体を浸けていく。はぅ、と思わず唇から漏れた声が超絶的に色っぽい。
腰のあたりまで浸かったところで動きを止めて湖面を見る。
再び鏡に戻った湖面には、女神が映っていた。
きゅっと引き締まった腰のくびれ、水蜜桃のように瑞々しいおっぱい、柔らかそうな華奢な撫で肩、見るからにスベスベしてそうな鎖骨、柳のように細い首……。やばい、自分で自分に惚れそうになってきた。

ん?なんか向こうから光が近づいてきたぞ。ホタルにしては強い光だな。しかもでけえ。よーく見たら、なんか人間みたいな形してやがる。リカちゃん人形くらいのサイズだ……。

うおっ!これティンカーベルじゃね!?妖精さんじゃねえか!兄貴じゃない方の、本物の妖精だ!透明な羽根も生えてるし!可愛いし!

妖精さんおっすおっす!初めまして!


「くっくっくっ……」


……アンプがぶっ壊れそうな低い笑い声。おい、まさか。

「私だ」
「お前だったのか」

じゃねーよ!!何言わせてんだよ!!

「君に決めて正解だったな。これからおもしろくなりそうだY☆」

Y☆!?

「何一人でニヤニヤしてんだ!その声、お前だろ、俺をエルフにしてこんなとこに連れてきたのは!」

腹黒そうな笑みを浮かべたティンカーベルがひらひらと俺の目の前まで近づく。

「いかにも、全て私が行ったことだ。自己紹介が遅れたが、私は“神”だ。君の世界と、この世界―――“セシアーヌ”を管理している。今回君にこちらの世界に来てもらったのには重要な理由があるのだ。だが、まあ、」

「……なんだよ?」

「その話は第一村人から聞くといい」

はあ?何言ってんだこの厨二神は。いいからさっさと説明汁――――


(ガサッ)


「っ!?」

尖った耳は伊達じゃないようだ。後方で、茂みを揺らす生き物の気配を察知する。大きさはちょうど人間くらいだ。
その人間から、何やらぞわぞわとした嫌な感情が向けられている気がする。覗きか!?ゆ、許さん……絶対に許さんぞ虫けらめ!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!

不意を突かれた焦りと、無意識に掴んだ湖底の石ころが投擲にちょうどいい大きさだったため、音のした方向に振り返りざまに力いっぱいぶん投げる。

うおっ、すげえ豪速球!180出たんじゃないか!?エルフの運動神経マジぱねえ!


「―――ッ!?」
(キンッ!)


ぇえええええええええええええええええ!?なんか剣で弾かれたみたいなんですけど!?なにそれこわい!!どういう鍛え方したらそんなこと出来んの!?

察知されたことに気付いた人間?がざざざっと茂みをかき分けて急速に近づく。足疾っ!やばいまずい怖い!

無駄だともわかりつつも再び湖底に手を突っ込んで石を掴み上げ、

「待て!待ってくれ!襲いに来たんじゃない!俺の話を聞いてくれ!俺には、いや世界には君が必要なんだ!

飛び出してきた男の必死の叫びに動きを止めた。


――――え?告白?
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