Her name is Charis! !

ブリジットはどこに行ったのかを妄想した 後編

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たった一つの理性を捨てて
開き直った不死身のお馬鹿
鬱とシリアスを叩いて砕く
主がやらねば誰がやる




そしてブリジットはどこに行ったのか?
              ~そして次の物語へ~


光に満たされた病室の中央でフワフワと舞う神々しい少女の姿はあまりに見覚えがありすぎて、全員が同じ名前を口にする。

「「「「「ブリジット~~~!!??」」」」」
『はい、その通り!なんかもうヤケになっちゃったからテンション高めで登場しちゃいました!ブリジット改め、アルティメットブリジットです!よろしくね!!』

あはははは!と顔を真っ赤にしながら腰に手を当てて大笑するアルティメットブリジット。目尻に浮かんだ涙から察するに、本人は死ぬほど恥ずかしいに違いない。
アルティメットブリジットがトリエラに向き直る。純白のドレスの裾がヒラヒラと舞って実に乙女チックだ。変わり果てた親友の姿に、トリエラは一瞬前に死にかけていたことすら忘れて大爆笑する。

「な、なんて格好してんのよブリジットwwwお、お腹痛いwwwやっぱり私、君と一緒のところに行くのはやめとくわwwwそんな格好死んでもゴメンだものwwwww」
『う、うっさい!助けに来てやったんだからちょっと黙ってなさい、この死に損ない!!』

がーっ!と吼えたアルティメットブリジットがトリエラに手をかざす。その手のひらから「みょみょみょみょみょ」と奇妙な効果音を立てて光の輪が放たれ、ガクガクと痙攣しながら笑うトリエラの身体に吸い込まれていく。

『ほら、クラエスもペトラもアンジェリカもリコもそっちに並んで!回復光線当ててあげるから!』
「わ、わかったわ」
「回復光線ってなに!?」
「て、展開についていけない……」
「ていうか、アルティメットブリジットってなに?」
『質問は一切受け付けておりません!』

一昔前の特撮の合成映像のように放たれた黄金の光が義体の少女たちを包み込み、ゆっくりと吸い込まれていく。暖かい光線を吸収した少女たちは自身の身に何が起こったのかわからず互いの身体を確かめながら首を傾げている。
そんな中、一人置いてきぼりにされたヒルシャーが目をパチクリさせながら目の前の奇妙奇天烈な少女に問いかける。

「あー、ブリジット?聞いてもいいか?」
『アルティメットブリジットです』
「あ、アルティメットブリジット。聞きたいんだが、これはいったいどういうことなんだ?そして君はいったい何になってしまったんだ?」
『実は私も自分がどうなっているのかよくわかってません。ですが、これだけはわかりますよ。ヒルシャーさん』

朝日のように荘厳な後光を背に、アルティメットブリジットは惚れ惚れするような微笑みをヒルシャーに向ける。

『義体の少女たちが泣くことはもう二度とないということです。だって、私という守護神がいるんですから』

その女神の微笑みは、どんなに立派で高額な歴史的絵画よりも神秘的で、美しかった。
アルフォドが恋したのも無理は無いと思わず見蕩れてしまったヒルシャーから視線を外し、アルティメットブリジットがトリエラたちに振り返る。

『これであなたたちは義体から普通の女の子に戻りました。これからの人生を大切に。神様からの一言でした!それでは、さようなら~!』
「ま、待って!」

満面の笑みで言い放つと、ふわりと天井の光へ吸い込まれるように浮き上がる。アルティメットブリジットの役目は果たされたのだ。そんな、あまりに唐突な別れに誰よりも早く反応して跳び起きたのはトリエラだった。
風前の灯だったはずの彼女が見せた健康そのものの動作に、少女たちは己の身に起きたことを理解して頬をなで合う。人工のものだった頃とは違う人肌の感触に、頬を涙が伝い落ちる。
トリエラが宙に浮くアルティメットブリジットの手を必死に掴む。

「行かないで、ブリジット!」
『アルティメットブリジット』
「行かないで、アルティメットブリジット!君はまた、私の傍から離れてしまうの!?」

もう二度と会えないと思っていた少女がまた会いに来てくれた。そして自分たちにまた幸せな未来を与えてくれた。よりにもよって神様なんて大それたものになって。
でも、トリエラがもっとも欲しかったものは、傍にいて欲しい一番の親友は、また彼女から離れてしまおうとしている。

「一緒にいよう、アルティメットブリジット!またみんなで遊ぼう。お喋りしよう。お菓子を食べよう。遊園地に行こう。お洒落をしよう。買い物に行こう。
 やりたりなかったことも、これからできるようになることも、君がいないと寂しいだけだよ!」

トリエラはアルティメットブリジットの腰に手を回し、縋り付くように抱き締める。義体でなくなった彼女の腕力は歳相応に弱くて、それがたまらなく悔しかった。
ふわりと、彼女の頭が柔らかく撫でられる。涙ぐんだ瞳で見上げれば、アルティメットブリジットは母親のような嫋やかな微笑みを浮かべていた。

『私はいつも私が愛する人たちの傍にいるよ。だから、安心して』
「そんな月並みの言葉じゃ安心なんてできないよ!ねえ、全ての義体を救うというのなら、君はどうなるの?君だけは例外だなんて私が許さない!
 本当は、みんなと一緒にいたいんじゃないの!?アルフォドさんと一緒に幸せな人生を生きたいんじゃないの!?」
『……うん、正直に言えばその通り。さすがトリエラ。私のことをよくわかってるね』
「だったら……!」

子どものように嫌々と首を振ってしがみついてくるトリエラの涙をそっと指先で拭い、アルティメットブリジットは『大丈夫だよ』と優しく囁く。

『私は大丈夫だよ、トリエラ。ちゃ~んと自分のことも救うようにしているから。その辺は抜け目なく万事オッケー。それに、心配しなくても私にはまた会えるから』
「また会えるって―――どこで?」

その問いに、アルティメットブリジットが頬を桜色に染めて気恥ずかしげに答える。

『私はいつも愛する人・・・・の傍にいるって言ったでしょ?』
「―――ああ、なるほど」

頷いて、縋り付いていた手を放す。なら、ヒルシャーが現在進行形で探している最中だ。ドイツに帰国したまではわかっているらしいから、もうすぐ探し出せるに違いない。
彼がいるところに、ブリジットもいる。それがわかっただけで十分だ。

「それじゃあ、またね。アルティメットブリジット」
『うん、またね。トリエラ』

トリエラの手のひらを滑り、アルティメットブリジットの身体がゆっくりと頭上の光に消えていく。再開の誓いを交わして見つめ合う二人の瞳にすでに涙はない。あるのは笑顔だけだ。別れるのは寂しいが、今生の別れではないのだから。
果たして、気がつけば病室を満たしていた壮麗な眩い光は跡形もなく消えていた。キテレツな女神が訪れる前と唯一変わっているのは、死にかけだった病室の主が力強い笑みを浮かべて親友が消えた天井を見つめていることだけだ。
全員が呆然として立ち尽くす中、トリエラだけが拳を握りしめて不敵に宣言する。

「すぐに捕まえに行くから待ってなさい、黒猫!」


………
……



「ヒルダとブリジットの餌は車に積んである。取ってきてもいいよ」
「アルファルドさんはどうするの?」
「暫くここにいる。ここで待っているよ」

穏やかに告げるアルファルドに従い、二匹の猫を携えてブリュンヒルデは丘を駆け下りていく。それと入れ替わりに、春だというのにロングコートを纏った男と金髪の少女が麓から歩いてくるのが見えた。
アルファルドはその様子を見て、目を見開いた。

「ヒルシャー、それにトリエラまで……」
「久しぶりだな、アルフォド。いや、もうここではアルファルドか」
「お久しぶりです、アルファルドさん。お元気そうで何よりです」

アルファルドはしばし驚愕に声を出せなかった。ブリジットと同時期に造られた初期の義体であるトリエラは、ビアンキの言によるならすでに動けなくなっていておかしくない。いや、正確に言えば―――死んでいないほうが不可思議なのだ。しかし、己の二本足で地に立つトリエラは健康体そのものだ。無理をしているようにも見えない。
目を白黒させるアルファルドに、ヒルシャーが苦笑して説明する。

「驚くのも無理はない、アルファルド。僕にもよく理解できないことが起きたんだが、端的に言えば、トリエラも、他の義体の少女たちも、人間に戻れたんだ」
「―――は?」
「ああ、詳しくは聞かないでくれよ。奇跡が起きたとしか言いようが無いんだ。詳しく説明したいのは山々なんだが説明のしようがないのさ」
「いや、でも、だって、ええ!?」

混乱するアルファルドの目がヒルシャーとトリエラの顔を行ったり来たりする。無理もないその動揺っぷりに二人は苦笑を交わし合う。

「まあ、色々聞きたいことはあるだろうが、まずはこれを受け取ってくれ。僕の妻のロベルタがブリジットから預かっていたものだ」

そう言って取り出されたのは色あせた赤い日記帳だった。いつかのクリスマスに、アルファルドがブリジットへ贈ったものだ。

「これは?」
「さあな、中身は僕も知らない。ただブリジットは君へいつか届くことを願っていたらしい」

ヒルシャーはそれだけを告げて手にしていた花束をブリジットの墓へ添えた。しかし、膝をついて死者に祈りを捧げることはしなかった。トリエラも黙ってその墓石に一瞥を向けただけだ。まるで彼女がそこにいないことを誰よりも理解しているようだ。
トリエラがアルファルドにぺこりと別れの礼をする。

「ヒルシャーさん、私は先に戻っていますね。アルファルドさん、また遊びに来ます。お元気で」
「あ、ああ。君もいつまでも元気でな、トリエラ。ブリジットもきっとそう願ってる」
「ええ、今から本人に聞いてみます」
「えっ?」

踵を返しながら呟かれた最後の言葉は海からの風に遮られてよく聞こえなかった。しかし、一瞬だけ見えたその横顔は、あたかも今から親友に会いに行くような幸せそうな微笑みに満ちていた。


………
……



「それで?アルファルドさんには何時になったら正体を明かすつもりなの、ブリジット?」

貰ったチョコレートを齧りながら、トリエラがもごもごと行儀悪く問いかける。その隣で同じくチョコレートを頬張るブリュンヒルデ・・・・・・・が「んー」としばし視線を宙に漂わせる。

「私からは言わないつもり。アルフォドが気付くまで、私はブリュンヒルデという名の少女なのさ」
「ったく、君はホントにいい性格してるよ。お墓参りをしてるアルフォドさんを見て何とも思わないの?」
「私の正体に気付いた時の喜びっぷりを想像してニヤニヤしてるよ」

ブリュンヒルデの―――いや、ブリジット・・・・・の悪戯っ子のような台詞にトリエラは「やれやれ」と苦笑して肩を竦めた。
アルフォドは知らない。ブリジットがいつも、愛する男の傍にいるということに。

「話は変わるんだけどさ。君は全ての義体の少女を救うんだよね?それなら、エルザはどうなるの?それに、今の状況じゃあ結局ブリジットという義体の少女が死んでしまったことに変わりはないよ」

存命していた義体たちは、普通の少女となって人並みの人生への一歩を踏み出し始めた。彼女たちは救われたに違いない。しかし、死んでしまった義体たちはそのままだ。
眉を顰めるトリエラに、ブリジットが心配無用だと胸を張る。

「それなら大丈夫だよ。もうすでに適役を見つけておいたから」
「適役?」
「そう。私たちの欝でシリアスな物語をぶっ壊して、コミカルでハッピーなエンディングに導く、救いようもないほどにお馬鹿でハイテンションな奴をね」

自信ありげに鼻を鳴らすブリジットに、トリエラは「ならいっか」と軽く頷く。なんたって神様の言うことなのだから、大丈夫と言われれば大丈夫なのだろう。

「まあ、楽しみにしてるわ。あ、チョコレートもう一個ちょうだい」
「え~。最後の一個なのに」
「いいじゃない。どうせアルフォドさんからたくさん貰えるんでしょ」
「まあ、それはそうだけど」

二人の取り留めもない会話はそれからしばらく続いた。それはどこにでもあるような、友人同士の会話だった。


………
……



「うへへ……ブリジットぉ……」
『寝言で私の名前呼ぶなんて、よっぽど私の物語にハマってるのね』

深夜。眠りこける青年を見下ろしながら、アルティメットブリジットが彼を起こさないように静かに囁く。
青年は見るからに日本人顔で、見るからに間抜け面をしていた。八重歯が人並以上に伸びて目立っていることを除けば、どこにでもいそうな少し小柄の青年だ。
アルティメットブリジットは青年の枕元に静かに両膝をつき、彼の頬をそっと包む。「むにゃ?」と気持ちよさそうなアホ面を浮かべる彼の額に額を乗せて祈るように囁く。

『あなたにはこれから、あなたにしか成し遂げられない物語を紡いでもらいます。どうか、昔の私を、ブリジットという名の少女を助けてあげて』

そして、額にそっと口付けを落とす。それは青年の意識を遥か彼方に―――『ブリジットという名の少女』の世界に飛ばす、神の御業に他ならない。
青年の意識が時間も空間もありとあらゆる法則も超越して目的の身体に転移したことを確認し、アルティメットブリジットは再び出てきた黄金の光の中に戻ってゆく。光に消える寸前、アルティメットブリジットは新しい物語の主人公にエールを送る。

『頑張ってね、ヒャーリス』



そして、ドイツにて問題児・・・が産声をあげた。


「ぅうおっしゃああああ!!!やったるでええええええええ!!!待ってろよブリジットぉおおおおおおおお!!!」



そしてブリジットはどこに行ったのか? - 完 -



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第一話 後編
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話 前編
第六話 中編
第六話 後編

<ファッキング☆ガンスリ劇場>
シリアス好き?ひゃあ、ブラウザバックだ!【なんぞこれ】』

<Her name is Charis!! 第二部一覧>
第一話

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~ Comment ~

なんてことだ・・・ 

我々はいつからブリジットが神じゃないと錯覚していた・・・!
知っていたはずだ、彼女が人々から崇められるだけのすばらしい存在であるということを・・・!
これぞ正に主、主クオリティ・・・!

ヒャーリスは責任重大だなwww

ところで、俺気付いたんだよ。
本編と劇場でのヒャーリスを比較してみたんだ。
・・・・あれ?こいつあんまり変わってなくね?

 

>上条信者さん
死を生に。苦痛を幸福に。涙を笑顔に。報われなかったキャラクターたちに最高のハッピーエンドを。それが主クオリティです。
ヒャーリスが爆誕した背景にはブリジット神のご意思があったという設定は、実はつい昨日に悦さんのコメントを読んで思いつきました。悦さん様々です。
ヒャーリスの肩にはアルティメットブリジットの切なる願いが乗っかっているのですが、本人はまったく気にもせずに本編だろうが劇場だろうが同じハイテンションで突っ走り続けるでしょうね。どうしようもない奴ですよまったく!

出遅れた 

遅かったか。

作者の覚悟は見届けました。涙が出てしかたがない。
こうしてヒャーリスの物語は始まるのか。色々やるんだろうなぁ。ぎりぎり(?)アウトなのに、なんとかなるように女神が与えた補正がかかった聖女だしな。

失敗する姿が想像できないのが恐ろしい。

 

>悦さん
「ブリュンヒルデ=ブリジット転生後」説はおそらくブリジットファンなら誰もが一度は脳裏に浮かんだものだと思います。今回はそれを使ってヒャーリスの物語へと繋げてみました。

>聖女
聖女……このアホの子にもっとも似合わない称号ですねwww
女神補正は最後の最後でまた出てくる予定です。ヒャーリスの目的は失敗なんてしないさせない。しかしヒャーリス自身の結末まで幸せかどうかは分からない、と意味深なことを言ってみたり。

 

アルティメットブリジットwww
ブリジットもブリジットで結構抜けてるところがあるから、加護が当てにならない可能性もwww
とにかく頑張れヒャーリス。
  • #151 エトムント・ヘックラー 
  • URL 
  • 2012.04/20 15:35 
  •  ▲EntryTop 

 

>エトムント・ヘックラーさん
やべっ!エトムントさんに見つかった!!
アルティメットブリジットとか悪ふざけしすぎたかもしれないとビクビクしていましたがお許しいただけているようで安心しとります。ホッ。
ヒャーリスは頑張りますよ!中途半端な気持ちと態度で三次創作を手がけるのは嫌なので、arcadiaに持っていくのは小説家になろうで手がけているSSを終えた後にしようと思います。しっかり集中しないといけないですから。それまで、しっかりリメイクして手を加え続けて良い作品にする作業を続けていきます。
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