Her name is Charis! !

Her name is Charis!! 第二部 第三話 中編その1

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聞いたかみんな!H&Kさんがやってくれたぜ!!↓
HEAVEN HEART HEART 【ついでにパラレルワールドみたいなもの】
続きが楽しみだな!!

そして第三部中編。今回は少し短めでお送りします。小説を書くのは楽しいね。


第三話・中編その1

大使館での一日目の日【ついでにフラグも幾つか】


♂リヒャルドサイド♂


彼―――ブランクは、僕の腕の中で死のうとしていた。
傷と血に塗れたゴツい身体から徐々に熱が失われていく。弾むようだった息遣いも段々と弱まり、小さくなっていく。

『ブランク、大丈夫だからな。すぐに救援が、ヒャーリスたちが駆けつける。絶対に助かる。僕を信じろ』

自分の生命力を分け与えるように彼を強く抱き締める。せめてこれ以上体温が下がらないように必死に抱擁する。本当に生命力を分け与えることができたらどんなに良かったか。できることなら僕の命を彼に捧げたい。彼を生かすことが出来るのなら、僕の命などくれてやる。

『リ、ヒャルド。俺は、幸せ、だったぜ♂』

掠れたような小さな声が、最期の言葉を紡ぐ。

『俺は、お前のために戦えて、お前のために傷ついて、お前のために死ぬ。すこぶる幸福だったぜ♂』
『違う、そんなのは幸せじゃない!それは兵器の役割だ、君は男―――って』


………
……



「わあああああああアッ―――!!??」

恐ろしい悪夢に驚愕して飛び起きる。ぜえぜえと肩が上下する。冷や汗と鳥肌が一向に収まらない。実にひどい夢だった。ヒャーリスが死ぬ夢の次くらいに嫌な夢だ。夢オチにこれほど感謝したことはない。夢で良かった。本当に良かった!
十字架のペンダントと聖書を荷物の中から引っ張りだして抱き締める。僕は敬謙なクリスチャンなのだ。断じてホモではない。

「主よ、今の夢は何のお告げなのですか。そうか、彼が僕を狙っているということなのですね!わかりました、今すぐあのゴリラを神の名において退治します!」
「……一人でなにやってんだ?」
「ぎゃああ!出たな悪魔め!!」

背後からの呆れ声に振り返れば、ブランクが扉を開けてこちらを見ていた。その節くれだった手には―――女物のネグリジェが!!

「な、な、なんだそれは!?まさかお前、本当にそんな趣味が!?僕はノーマルだぞ!!」
「アホか!朝起きたら俺の荷物に混入されてたんだよ!どうせまたクソガキのイタズラだろうから保護者のお前に届けに来てやったんだ!」
「そ、そうなのか」

心の底から安堵の息をついてネグリジェを受け取る。落ち着いて見れば、そのネグリジェは見覚えがあった。

「これは僕がこっそりヒャーリスの荷物に紛れ込ませたものじゃないか。残念だ、彼女は着てくれなかったか……」
「どこがノーマルなんだ。この変態カトリック教徒め」
「旧約聖書の箴言には『汝の若い妻と多いに喜び楽しみなさい』というありがたいお言葉があるんだよ、ブランク君。それと、何度も言っているが僕はプロテスタントだ。カトリックの『貞潔護るべし』なんて掟は適用されないのさ」

「妻じゃねーだろ」というツッコミは聞かなかったことにして、ネグリジェを大切にしまい込む。飄々とした性格のヒャーリスのことだからもしかしたら少し淫らなこのネグリジェも平然と着てくれるのではないかと期待したのだが、やはり恥ずかしかったのだろう。残念に思う反面、彼女にも女の子らしい恥じらいがあるのだとわかって嬉しく思う。

「ニヤニヤしやがって、新婚じゃあるめえし」

鼻を鳴らしたブランクがボリボリと角刈りの頭を掻く。

「相手が10以上年下のメスガキだとか、義体だとか、もうそういうのにはツッコまねえけどよ。あのクソガキはけっこう手強いと思うぜ」
「手強い?」
「アイツは抜け目なさそうに見えて、色恋沙汰には鈍そうだからな。お前のことを男として見てるか怪しい。いくら思わせぶりな態度取ったって気付かずにスルーされるだけだぜ。たぶん、今のお前は世話焼きな兄貴くらいにしか思われてないんじゃないか?」
「う、」

心当たりがありすぎて、押し黙ってしまう。
信頼はされている、と思う。無防備な笑顔を向けてくれるから、親愛の情もそれなりに厚いだろう。条件付けという枠を越えて、ヒャーリスは僕に親しみを感じてくれているという確信はある。だけど、女として僕という男を愛してくれているだろうかと問われると―――自信がない。彼女の心はまるで風に舞う蝶のようで、手を伸ばしてもひらひらと宙を揺れて掴めない。

「義体との恋の結末なんてしみったれた説教をするつもりはないけどよ。アイツに残された時間が不透明なら、早い内に伝えたほうがいいと思うがね」
「……ああ、わかってる」

彼女の寿命のことを言われて、すうっと思考に霜が降りる。ヒャーリスに残された時間はわからない。本家の義体ですら、発展途上の技術で作られているから正確な寿命は不透明だという。それの模倣体であるヒャーリスも同じなのは当然だ。むしろこちらの方が不安要素は多い。
だからこそ、カタラーニ博士の助力が何としても必要になる。今回の作戦の成功を誰よりも願っているのは他でもないこの僕だ。彼女を生かすためにも、彼女ともっと長く過ごすためにも、必ず博士を亡命させなければ―――。


ガガガガガガガガガ!!


「うおっ!?なんだ、なんの音だ!?」
「が、ガレージからだ!」

僕の思考を遮った耳を劈く騒音に、二人して飛び上がる。音はガレージの方から聞こえた。ヒャーリスのための整備用ガレージではなく、大使館用の車両整備ガレージからだ。

「レオパルト2(ドイツ軍の主力戦車)だってこんな騒々しい音は立てねえぞ。車の整備にしたってこんな音はしねえだろうに」
「こんな朝早くからはた迷惑なことをする人間がいたものだな、まったく」

ドイツ人の朝は、冷たい牛乳と白小麦のパンから静かに始まると相場が決まっている。小鳥の囀りを聞きながらマーマレードとヨーグルトをたっぷり塗ったライ麦パンをゆっくり味わうのが心地良いのに、これでは台無しだ。こんな暴挙に出たのはいったい誰なのか、顔を見てみたいものだ。
しかし、なぜだろう。とても嫌な予感がする。この感覚はヒャーリスが車を見ながらヨダレを垂らしている時に感じたものに似ている。
寒気を覚えながら廊下に出ると、若い職員から声をかけられた。昨夜に車を預けた車両整備係だ。

「お早うございます、ウェーバー少尉。一応、確認をとりたいのですが、本当にヒャーリスさんに許可をお与えになったのですか?」
「……は?」

許可?何の話だ?
驚きのあまりつい厳しくなった表情に、整備員がオロオロとしつつ答える。

「い、いえ。別にヒャーリスさんを疑っているわけではありません。ただ形式的な確認でして。
しかし、妹さんの整備の腕は凄いですね。あんなに美しいのに瞬く間に車を別物のようにチューンしていくのですから驚きました。あれほど大規模な改造はなかなか出来ませんよ」

整備?チューン?改造?
頭蓋の中で「ドドドドドドドド」という切迫した効果音が鳴り響き、頭蓋の外では「ガガガガガガガガ」と工作機械のような騒音が響きわたっている。
おそるおそる隣を見れば、ブランクも顔をピクピクと引きつらせてこちらを見ていた。

「……な、なあ、坊主。念の為に確認しときたいんだが、あのクソガキ様はいったい何の車を改造しているんだ?」

クソガキ様がヒャーリスのことを指すと察した整備兵がにこやかに笑いながらのたまう。

「もちろん、大使館の車両ですよ」


「ヒャ―――リ――――ス!!!」「クソガキ――――――!!!」


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<ファッキング☆ガンスリ劇場>
シリアス好き?ひゃあ、ブラウザバックだ!【なんぞこれ】
H&Kさんに怒られても文句は言えない【ガンジーですら助走をつけて殴るレベル】

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<名状しがたいオマケ的な何か>

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ブリジットはどこに行ったのかを妄想した 前編
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~ Comment ~

っバットモービル(ビギンズ仕様) 

ヒャーリスにはこういう車の方が似合うと思うんだ。

そして夢落ちとネグリジェwwwリヒャルドがもう色んな意味で手遅れ過ぎるwww

なんという・・・ 

あ、おばさん久しぶり。えっ、引越しの手伝い?明後日から?2日はかかる?トラック貸して?うん、うん・・・・・・。
ふざけろよwwwwwなんなん今年の俺の引き運wwwwこんなところで用事を吸い寄せるように引き込まなくてもさぁwwwwwwただでさえ実家に呼び出されてゴーヤの苗育ててんだぞwwwww

それはそうと順調にヒャーリスに感化されていってますねwww
次回も楽しみにしてますwww

(リヒャルドさんの理性は)もう終わりだあ! 

こちらでは初めて書き込みします。

完全にリヒャルドさんがオチてしまっていて吹きました。
一部中盤の頃の悲壮なリヒャルドさんはどこに行ってしまったんだ(笑)。

 

>ゼミルさん
ビギンズ仕様のバットモービルかっこいいよね!!あのモデルカーが欲しいんですが4万円するらしいです。ボーナス出たら……で、でも4万は痛いorz
ゴツい車を巧みに運転する可愛い美少女っていいですよね!このギャップがいい!ヒャーリスには運転もさせてみるつもりです!
リヒャルドさんはもう完全にギャグキャラ扱いですwww残念なイケメン、リヒャルドさんのハチャメチャな恋の行方をお楽しみに!!

>上条信者さん
頼りにされてるってことですよ!!そうして人脈が太くなって将来に役立つようになるんでっせ!!
おそらく今夜くらいにゴーヤの妖精を名乗る美少女が現れてキャッキャムフフなエロゲ展開になるでしょう。
ヒャーリスがブリジットと大きく違うのは、「ブリジットを助ける」という目的があること、そして「死んでから転生したのではない」ということです。だからヒャーリスはブレなくて、真っ直ぐで、アッケラカンとしていて、水面に拡がる波紋のように周囲の人間を揺らします。ブリジットを助けて欝ブレイクするには、このくらいぶっ飛んだキャラクターが必要なのです。
次もヒャーリスが調子に乗りまくる予定です!お楽しみに!!

>TINコッド
歪みねえ初コメントありがとうございます!!読んでもらえて嬉しいです!!悲壮なリヒャルドさん?そんなのはいなかったのさ……。
リヒャルドもブランクもシリアス・ギャグどちらにも使える良いキャラクターです。特にリヒャルドは苦労人に見えて実はその状況を楽しんでいるような楽しいキャラなので気に入ってます。
ヒャーリスが好き過ぎる人、リヒャルドさんは今日も明日も平常運転です。

 

これはまさかのトランスフォーm
さすがにないか(´・ω・`)

それはそうと今更なんですがヒャーリス、空港の金属探知機どうやってスルーしたんだろうか…
常時ガンスリン劇場的な補正でそこらはなんとかなってそうですが

 

>名無し人生さん
そこに気付くとは、やはり天才か……。
えー、ほら、リヒャルドさんも義手だし、手術で金属埋め込んでるとか言ってなんとかなったんじゃないでしょうか。この作品にリアルさを求めても仕方ないってもんですよ!?

↑の書き込み見て追記 

世界にはお尻に残った弾丸が金属探知機に引っかかって止められた少年が居ましてですね…

 

>ゼミルさん
ググったら『デトロイト・コップ・シティ』と『ヨルムンガンド』が出てきた。サミュエル・L・ジャクソンを少年と定義しないのなら、きっと後者の元少年兵君のことだと思う。
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